アミル再び
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レナとサラの前に現れた人物は、アミルであった。
「なんで、アミルがここにいるのよ?」
「レナこそ、何故ここにおる?」
「私は、魔物討伐に来てるだけよ❗」
「我は、独断で動いている魔族を捕まえにきたのじゃ❗」
ここで、サラが口を挟む。
「あのぉ、この魔物は魔族が率いているんですか?」
「それは、わからん。その前にお主は誰じゃ?」
「私は、サラと言います。レナちゃんの幼馴染みです。あなたの名前をお伺いしてまよろしいですか?」
「サラか。我は、アミルじゃ❗レナとはフィール王国で会ったな。種族は、魔族じゃな❗」
「えっ?魔族?レナちゃんどういうことかな?」
「取りあえず、目の前の敵をどうにかしてからにしない?」
三人が話し込んでいる間に、魔物の群れが近づいてきていた。
「そうじゃな、話は終わってからじゃな❗」
「しょうがないなぁ、終わったらちゃんと教えてね、レナちゃん?」
「わかったわよ❗さっさと始めましょ?」
「久し振りのレナとの共闘じゃな、心踊るわ❗」
そういうとアミルは駆け出した。それに続いてサラも駆け出す。
「アミルっていう魔族がどのぐらい強いかこの眼で確かめないと❗」
レナは、そんな二人を見ながら溜め息をついた。
(あの二人が居れば私はいらないんじゃないかな?まぁ、アミルも私と一緒に戦えるのを楽しみにしてるみたいだし、私も行きますかね。)
そう思いレナも二人に続いて駆け出した。
こうして、レナ、サラとアミルの三人対魔物多数の戦いが始まった。レナとサラの武器は変わらす刀であるが、アミルの武器が素手から双剣に変わっていた。服装は相変わらす変わりはないが武器が変わるだけで戦闘の仕方も変わっていた。
レナは、魔物を殺しながらアミルを見て思った。
(武器が変わるだけでこうも戦い方が変わるのも珍しいわね?アミルの双剣は厄介ね。今アミルと戦えば負けるかもしれないわね❗私も、もっと鍛練して強くならないと❗)
サラはサラで、アミルの戦いを見た間近で見て驚愕した。
(何この馬鹿げた戦闘力は?私なんかじゃ勝てない・・・。引き分けにするのがやっとかもしれない。なんで、レナちゃんはこんな強い魔族と知り合いなの?)
アミルは、レナとサラの戦いぶりを見て感心していた。
(さすがは、レナですね❗一年前よりさらに強くなっています。私も、この一年で強くなったつもりでしたがまだまだのようですね?それに、サラという子もやりますね❗レナの幼馴染みで、尚且つ武器も一緒。ただ、型が違うぐらいですか。クリスより遥かに強いですね❗)
三人は、お互いの強さを認めている。故に負けたくないと思っていた。
大体、魔物の群れが半数になった頃、騎士団が準備を整え街の門の前に集まっていた。そこに、突然魔族が現れる。魔族の出現にいち早く気づいたサラが動く。
なんとか、騎士団への攻撃の前に魔族と騎士団の間に立ったサラは魔族に問いかける。
「なぜ、この街を襲うのですか?」
「これから死ぬ者が聞いてどうする?」
「死ぬと決まったわけではありません❗」
「脆弱な人間が何を言うかと思えば・・・。我等、魔族より弱い分際でよく言えたものだ❗」
「弱いかどうか、試してみますか?」
そういったサラは、魔族に襲いかかる。
「ふん❗その程度の攻撃で我等魔族に傷をつけるなど・・・。」
魔族は、言い終わる前にサラに斬られた場所を手で押さえる。
「なぜ、血が出ている?人間などに私が傷を受けるわけがない❗」
「では、なぜ血がでているんですか?それは、私の攻撃が効いた証拠ですよね?」
「貴様、何をした?私が傷つくなどあるはずがない❗」
「私は、ただ斬っただけですよ?」
「そんな訳があるか❗」
「お前に原因があるからに決まっているからじゃ❗」
魔物の群れをレナに任せ、アミルは魔族の前に立った。
「ちょっとぉぉぉ❗なんで私一人で魔物の相手しないといけないのよぉぉぉぉ❗」
レナの叫びは、サラとアミルには聞こえていない。むしろ、届いたら凄いとしか言いようがない。それなりの距離があるからである。
「貴女は、アミル殿ではないですか?なぜ、このような所にいらっしゃるのですか?」
「決まっている、貴様を止めに来たのだ❗」
「魔族が人間の味方をするのですか?」
「そうではない。人間同士の争いに魔族が荷担するのを防ぐためじゃ❗」
「何の意味があるのですか?人間など我等魔族に殺されるが世の理。私の邪魔をするなら容赦はしません❗」
魔族は、アミルに襲いかかる。アミルは、難なく避ける。
「さすがに、近接戦闘では貴女に敵いませんか。仕方がありません、私の切り札を出しましょう❗」
魔族は、何か呟き出す。それを聞いたサラは、魔族に仕掛ける。だが、魔物が邪魔をし行く手を阻む。アミルも動いたがサラと同じく魔物に邪魔をされる。
サラとアミルが、魔物を排除し魔族に近づこうとして瞬間、サラとアミルの居た場所で爆発が起こる。
ドカァァァァァァン❗
爆発に巻き込まれたことサラとアミルは、大きく弧を描き後ろに吹き飛んだ。地面に叩きつけられたサラとアミルは、ピクリとも動かない。それを見たレナは、叫びながらサラとアミルに近づいた。レナは、二人の心臓に耳をあて心音を確認した。
(二人の心臓はまだ動いている。だけど、このままだといつ止まるかわかんない。騎士団に助けてもらうしかない❗でも、それまであの魔族が待ってくれるかどうか・・・。)
そう思ったレナは、騎士団に声をかける。
「騎士団の人、この二人を安全な場所に避難させて❗それと同時に治療してくれない?今にも心臓が止まりそうなの❗」
レナの必死の呼び掛けに騎士団はすぐに動いた。魔族はというとその光景を眺めるだけであった。
無事に二人が救助され、レナは魔族と向かい合う。
「なぜ、攻撃してこなかったのかしら?」
「弱い者には興味がない❗あの一撃で死ぬようなら雑魚でしかないからな❗」
「あの二人が雑魚ですって?貴方、あの二人を舐めてない?」
「舐めてなどいないさ。弱い者に弱いと言って何が悪い❗」
苛立ち始める魔族。レナは、冷静であるように見えるが内には凄まじい怒りが溢れていた。サラとアミルを雑魚呼ばわりされて怒っていたのである。
「術が完成するまで魔物に二人を相手させといてよく言えるわね?貴方こそ雑魚じゃない?」
「貴様、私を雑魚呼ばわりとはいい度胸だ❗」
「一対一で戦えないような臆病者に言われたらお仕舞いね❗」
「見え見えの挑発には乗らんよ❗所詮は人間か、弱いほどよく吠える。さっきの人間もアミルも弱いくせによく吠えたからな❗」
ブチィィィィン❗
レナがキレた。その瞬間、魔族の頬から血が流れた。レナは、キレた瞬間に魔族の前まで移動し斬りつけ元の位置まで戻ってきたのである。
「貴様ぁぁぁぁぁぁ❗私の顔に傷を付けたなぁぁぁぁぁ❗」
怒り始める魔族。しかし次の瞬間、魔族は怯え出す。
「そんな不細工な顔に傷がついたぐらいで騒がないで❗私の仲間を侮辱した罪、死んで償ってもらうわ❗」
レナは、キレたせいで無制限広範囲に殺気を撒き散らしていた。お陰で、離れた場所に居る騎士団の面々も顔が強張っている。
「人間などに・・・私が恐怖するはずが・・・ない❗」
そう強気でレナに言うが、魔族の足はガタガタと震えていた。
「貴方、足が震えてるわよ?そんなんで私と戦えるの?」
レナは声を低くして言う。
「ふん、このぐらいなんともないわ❗私の切り札を見せてやる❗」
そう言って魔族は術の準備に取りかかる。しかし、レナは動かない。もちろん、動けないのではなく動かないのである。レナは、魔族の術を正面から撃ち破るつもりでいた。
術が完成し、魔族が叫ぶ。
「死んで後悔しやがれ❗」
ドカァァァァァァン❗
レナの居た場所で爆発が起こる。
爆発が収まるとそこにはレナの姿はなかった。
「木っ端微塵になったか❗クズが粋がるからだ❗」
「誰がクズですって?」
声のする方を見た魔族は、レナの顔を見て驚きの声をあげる。
「なっ、なぜ貴様がここに居る?私の術で木っ端微塵になったはず❗」
「ほんと、バカね。あんなの爆発する場所さえ判れば簡単に避けれるわよ❗第一、貴方の術を見るのは二回目だから余計に簡単よ?」
そんなことを言ってはいるが、実際は爆発の余波で怪我をしているレナである。怪我の度合いは重症ではないが軽傷でもない。レナは、怪我を悟られないように耐えているだけである。
「バカな?そんなこと人間に出来るはずがない❗」
「もぅ、いい加減ウザいから終わりにするわ❗サラちゃんとアミルが心配だし❗」
「貴様に私が殺せるわけないだろう❗私は魔族で貴様は人間・・・。」
言い終わる前にレナが遮る。
「結城流抜刀術奥義『雷切・改』❗」
ギャァァァァァァァ❗
魔族の断末魔が辺りに響き渡る。
「この技は、サラちゃんやアミルにすら見せてない技よ。ありがたく思いなさい❗」
絶命した魔族に言い放つが、屍のため返ってくる言葉はなかった。
(さて、後は残りの魔物を・・・。いないわね?居ないならサラちゃんとアミルが心配だから戻るとしましょうか。私も、怪我の治療してほしいし・・・。)
ここで、レナの意識は途切れる。重症ではないが血を流しすぎたのが原因であった。レナが倒れるのを見てすぐさま騎士が駆け寄りレナを介抱し始める。
さて、魔物が居なくなった理由は、レナの放った殺気により逃げただけである。本人のレナは、まったく知るよしもないのである。
こうして、ネフィル皇国の街に押し寄せた魔物の群れは、サラとアミル、そしてレナの活躍により見事撃退されたのだった。しかも、騎士団は無傷である。
このあと、三人は城に運ばれ治療を再開した。その後すぐに、騎士団は各地に赴き魔物を掃討したのである。
そして、三人は体調が完全回復するまで城での療養を余儀なくされた・・・。
アミルの再登場です。そして、次回はレナ、サラ、アミルが怪我をしたので療養中のお話になると思います。
次回は、三十一日の六時の更新予定です。




