皇王との謁見
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「よく参られた。余がネフィル皇国皇王、エドモント・ネフィルである。」
皇王が名乗り謁見が始まった。
レナは、形だけの臣下の礼をしてはいるが、如何せん場馴れしていないため若干不自然に見える。レナの態度をあまり気にすることなくエドモント皇王は、話を続ける。
「貴殿が、娘であるサラを助けてくれたそうだな?名は何と申す?」
「レナです、皇王陛下。冒険者で、各地を渡り歩いております。」
「レナと申すか、聞けば盗賊風の男を簡単にあしらった様だがそれほどの腕をどこで鍛えた?」
「祖父に教えて頂きました。」
「祖父か?さぞや、名の通った武人なのだな。一度会ってみたいものだ。」
「それは叶わないかと思います。祖父は、この世界にはいないですから。」
「そうか、これはすまないことを聞いた。許してくれ。」
「いえ、お気になさらず。」
皇王は、レナの祖父が死んだものと思い謝罪してきた。しかし、祖父はこの世界にはいないのであって現代日本には居る。だから嘘はついていない。
「実力で言えば、サラ皇女様も・・・。」
喋り始めたレナが、最後まで言い終わる前にサラの咳払いが遮った。
「ゴホン、ゴホン❗」
サラは、レナに目線を合わせ訴える。視線を感じたレナは、サラを見て理解した。
(実力を隠しているのね。王族になると面倒でしかないわね。)
レナは、頷き話を続ける。
「それで、皇王様。私をここに呼んだ理由をお聞かせください。」
レナは、自分が城に呼ばれた理由を尋ねた。ある程度、呼ばれた理由をわかってはいるが一応確認のために聞いたのである。
「呼ばれた理由か?もちろん、娘を助けてもらった礼をするためだ。」
「では、なぜ私以外の冒険者がいないのですか?サラ皇女様の護衛をしたのは私だけではありません。」
「確かにそうだ。レナ殿以外の冒険者にも城に来るように使いを出したのだが、全員がレナ殿がすべて片付けたと言って断られたのだ。」
皇王の言葉を聞きレナは思った。
(私に、全部押し付けたわね?まぁ、気持ちは判らないでもないんだけど・・・。今度会ったら何か奢ってもらわないと割に合わないわ❗)
「そうですか、わかりました。」
「そこで、謝礼についてだが、何かあるか?」
皇王は、レナに謝礼として何が欲しいかを尋ねてきた。レナの中で答えはすでに決まっていた。
「謝礼については、何もいりません。」
「何でもよいのだぞ?」
「それでもです。どうしてもと言うのであれば、皇王陛下、サラ皇女様に出会えたことが私にとってのお礼でいいです。」
「それでは、礼にはならない❗」
ここで、大臣らしき人物が話に参加してきた。
「陛下、本人もいらないと申していますのでそれでいいではないですか?」
「だがな、皇国の威信に関わることだ。故に、謝礼金を渡す。これだけは譲れぬ、理解してもらえないかな、レナ殿?」
「皇王陛下がそこまで仰るなら受け取らさせて頂きます。」
「受け取ってくれるか、助かる。そこでだ、レナ殿は宿は決めたか?」
「いえ、決めようと歩いていた所で城に呼ばれたのでこの後探す予定です。」
「なら、丁度よい。城に泊まってくれないか?謝礼を渡す手間も省ける。何より、サラがレナ殿の事を気に入ったみたいでな。」
レナは、視線をサラに向けたがサラは、眼を反らした。
(サラちゃん、後で覚えておきなさいよ❗)
サラは、冷や汗を垂らしながら思った。
(うわぁ、レナちゃん凄く怒ってる気がするよ。この後怖いんだけど・・・。)
「わかりました。今日だけお世話になります。」
レナは、今日だけを強調して言った。しかし、皇王はレナの言葉を気にせず続けた。
「今日だけとは言わずに、気のすむまで滞在してくれて構わんぞ?」
「そうですね、私の事を気に入ってくれたサラ皇女様が私に飽きるまで居させていただきます。ですが、私は冒険者です。世界を見て回りたいので、いつ旅立つかわかりません。その事だけは忘れないでください❗」
「わかった。好きなときに旅立てばよい。それでいいな、サラ?」
「わかりました、お父様。」
皇王の言葉にしゅんとするサラ。皇王は、謁見の終わりを告げる。
「これで、謁見を終わる。メイドに案内させるゆえ、レナ殿は少し待ってもらう。」
「わかりました。」
皇王とサラは、謁見の間を出ていく。二人が出ていくのを見計らって大臣らしき人物がレナに話しかけてきた。
「冒険者風情がいい気になるなよ?たかが、盗賊風情を倒したぐらいでな。どうせなら魔族を倒して見せろ❗」
嫌味を言われたレナは、嫌味で言い返す。
「自分が倒せないから私に押し付けるの?どうせ、貴方では最低ランクの冒険者すら倒せないでしょうけどね❗」
「なっ❗貴様、サラ皇女様の恩人とはいえ許さんぞ?」
「別に本当の事を言ったまでよ。言われて怒るなら自覚はあるみたいね?」
大臣は、何も言い返せなくなり騎士を連れて謁見の間を出ていく。程なくしてメイドがレナを迎えにきた。
メイドに案内された部屋に入るとそこにはすでにサラが待っていた。扉を閉めたレナは、サラに言う。
「サラちゃん、覚悟はできてるよね?」
「なんの覚悟かな、レナちゃん?」
若干顔を歪めるサラ。しかし、レナは問答無用でサラに近づき脇をこしょぐり始める。
「イヤァァァァァ❗レナちゃん、許してぇぇぇぇ❗」
時間にして数分間こしょぐられたサラは、あられもない姿をしてベッドに横たわっている。
「さて、本題に入るわよ?」
ゆっくりと起き上がるサラを見てレナは話を切り出す。
「もぅ、手加減してよ❗」
「手加減したらお仕置きにはならないじゃない❗そんなことはどうでもいいからさっさと本題を話して?」
「しょうがないなぁ。えっとね、最近ちょくちょく命を狙われているのよ。だから、レナちゃんに私の護衛を頼みたいの。」
「イヤよ❗」
「えっ?即答で断るの?」
「当たり前じゃない❗なんで、自分から厄介事に飛び込むバカがいるのよ❗」
「確かにそうだけど・・・。幼馴染みが命を狙われてるんだよ?助けようとは思わないの?」
「実力を隠してる人に言われたくないわ❗」
「ぐぅぅぅ。それは、立場があるじゃない?私、一応皇女な訳だし。」
「私の知ってる国の王女は、自ら私に戦いを挑んできたわよ?」
サラは、驚いて声を上げる。
「えっ?レナちゃんに挑んだ王女がいるの?その王女は命知らずなんだね?」
「そういう問題じゃないでしょ?まぁ、いいわ。どうせ、すでに巻き込まれてるみたいだしね❗」
「レナちゃん、もぅ巻き込まれてるの?大変だね?」
「サラちゃんのせいでしょうがぁぁぁぁぁぁ❗」
レナの絶叫が響き渡る。そこに、扉を叩く音がした。
「どうぞ、開いてます。」
レナは、答えると扉が開く。そこにいた人物はエドモント皇王だった。
「楽しく話をしているところ悪いな?」
「いえ、大丈夫ですよ。お父様。」
「話も一段落しましたから。」
「畏まらなくてよい、ここは謁見の間ではないのだからな。娘と接するようで構わんよ。」
笑いながら話す皇王。レナとサラは、話し声を聞かれていたことを悟った。
「お父様、私たちの話を聞いていたのですか?」
「あれだけ大きな声を出せば誰でもわかるぞ?」
顔を赤くして恥ずかしがるサラ。対称的にレナは、冷静に答える。
「皇王自らここに来ると言うことは、私に何か用があるんじゃないですか?」
レナの言葉にサラと皇王は真剣な顔になる。
「そうだな、簡単に言えば大臣がレナ殿の実力を試したいと言ってきた。」
「やっぱりそうですか。」
「何かあったの、レナちゃん?」
サラの言葉にレナは、謁見の間でのことをサラと皇王に話した。
「その様なことがあったのか?それは、申し訳ないことをした。」
「で、レナちゃんはどうするの?」
「断れるなら断るわよ?どうせ、無理でしょうけどね?」
レナは、言いながら皇王に視線を戻す。
「無理だろうな。」
「では、受けるかわりに条件を出してもいいですか?」
「条件とはなんだ?」
レナは、一瞬サラに眼を向けすぐに戻した。
「条件は、サラちゃんも一緒に戦うことです❗」
「ちょっ❗レナちゃん❗」
「サラちゃんは黙ってて❗これが私の出す条件です。相手の人数はおまかせします。」
「なぜサラもなのだ?」
「今はお答えできません。ですが、当日になればわかると思います。」
「そうか、わかった。その事を大臣に伝えよう。場所は、城の中庭でやる。時間は朝食後にする。異存ないな?」
「構いません❗」
「私は無視ですかぁぁぁぁぁぁ❗」
サラの絶叫だけが残り、この話は終わりを告げる。
そして、翌日・・・。
城の中庭にはレナとサラ、騎士達が二十人が中央にいる。周りには、皇王に大臣、他の騎士達が観戦に来ていた。
「サラちゃん、この騎士達は精鋭かしら?」
「そうだよ、騎士団長も副団長もいるから。レナちゃんのせいで私も巻き込まれたじゃない❗」
「サラちゃんが実力を隠してるのが悪いのよ?隠していなければ狙われることもないのにね?」
「そうかもしれないけど・・・。こうなっちゃったんだから諦めるよ❗」
ここで、皇王が話始める。
「これは、模擬戦であって殺し合いではない。真剣を使うがそれをわきまえよ❗両者とも準備はよいな?」
皇王の言葉に騎士達は声をあげる。
「「オオォォォォォォォ❗」」
レナとサラは、淡々と答える。
「いつでもどうぞ?」
「もぅ、好きにしてください❗」
「では、始め❗」
こうして、レナ&サラ対ネフィル皇国騎士団の戦いが始まったのである・・・。
ネフィル皇国での厄介事に巻き込まれるレナとサラです。このあともまだ少し皇国での話が続く予定です。
次回は、二十七日六時の更新予定です。




