それぞれの歩む道
本編第十五話です。
気が付いたらPVが10000を超えていました。読んでいただきありがとうございます。これからも引き続き頑張っていきますのでよろしくお願いします。
ブクマ、評価などしていただけると嬉しいです。
クリスの最終試験が行われた日から三日後、レナはようやく動けるようになった。なぜ、試験から三日後なのかは言うまでもない。レナとアミルの模擬戦が壮絶なものだったからである。
「レナさん、おはようございます。もぅ、起きても大丈夫なんですか?」
「おはよう、クリス。ええ、大丈夫よ。今回も迷惑かけたわね、ごめんなさい。」
「そんなことはありませんよ。二人とも、怪我はあまりないのに同時に倒れるんですからビックリしましたよ❗」
結果だけをみれば、クリスが言うとおり引き分けである。ただ、模擬戦の後が大変なことになった。レナは、宿に連れていけばいいがアミルはそうもいかない。アミルは、魔族だからだ。よって、アミルの介抱はその場でやることになりアミルが気がついてからレナを宿に連れていったのである。
模擬戦の翌日にはギルドにある依頼が貼られていた。その内容とは、街の近くに出来たクレーターの調査の依頼である。クリスはこの依頼を見て顔が青くなった。それもそのはず、クレーターの原因を作ったのがレナとアミルの二人である。二人の戦闘で出来たクレーターの調査、これは解決しないだろうなぁとクリスは思いながらギルドを後にするのだった。
そして、現在である。
「レナさん、これからどうするんですか?」
「そうね、クリスの試験も終わったしそろそろ旅に出るわ❗」
クリスは、寂しそうな顔をした。そんなクリスの顔を見ない振りをし続ける。
「一年の約束だしね。それに、アミルとやってまだ私も強くならないといけないと思ったしね。」
「そうですか・・・。」
「クリスはどうするの?敵討ちに行くの?」
「まだわかりません。でも、レナさんともっと一緒に居たいと思ってます。まだ、レナさんから学びたいことがたくさんあります。出来れば、レナさんの旅に付いていきたいです❗」
クリスは、レナの目を見て話した。レナは、クリスの真剣な目を見て答える。
「私と一緒に行くのは構わないわ。」
「いいんですか?」
喜ぶクリスに、レナは続ける。
「でも、私と一緒に旅をするなら覚悟を決めてね?私は、もしかしたらこの世界の人間を敵に回すかもしれない。それでも私と旅をしたいなら構わないわ。」
「・・・。少し考える時間を下さい。」
「別に構わないけど。あんまり長くは無理よ?今日はまだゆっくりするけど、明日の昼には街を出るわ。期限は明日の昼までね。」
「分かりました。ありがとうございます。」
クリスは、そう言うと宿を出ていった。一人残ったレナは、これからの事を考え始めた。
(午前中は、ゆっくりして午後に買い物とギルドに挨拶して今日は終わりかな?アミルには明日、昼に街を出てから伝えればいいわね。さすがに、アミルまで一緒に行くとは言わないだろうし。)
一方、クリスはなぜかアミルと一緒に居た。
『そうか、レナは旅に出るのか。寂しくなるのぉ❗』
「しかも、人間を敵に回すかもしれないって言うんですよ?」
『当たり前じゃろ?今、クリスが喋っている相手は誰じゃ?』
「あっ❗」
人間を敵に回すの意味を理解したクリス。この世界は、魔族は悪である。そんな魔族と親しげに話をしているのは、レナとクリスぐらいである。
『ようやく解ったか。レナの言うのはそう言うことじゃ。』
「アミルさんは、魔族ですもんね。すっかり忘れてました。」
アミルは、急に笑いだした。
『師匠が師匠なら、弟子も弟子か❗生まれてからこんなにも笑ったのは初めてじゃ❗』
「笑わないでくださいよ、私は真剣に悩んでいるんですから❗」
『すまんな。だが、これで我の心も決まった❗礼を言うよ、ありがとう❗』
クリスは、アミルに礼を言われたのに驚いた。無理もない、弱者である人間に魔族のアミルが礼を言ったからである。
「わ、私はお礼を言われるようなことをした覚えはありませんよ?」
『クリスだけではない、お主ら師弟に礼を言ったのじゃ❗』
「そうなんですか?」
『レナにもちゃんと礼を言うつもりじゃ。気にするな❗』
「分かりました。」
『我も我で答えを出した。クリスもクリスで答えを出すのじゃ。』
そう言うとアミルは姿を消した。
「自分自身で答えを出すか・・・。出せるのかな?」
不安を抱えながら街に戻ってくクリス。
そして、レナが旅立つ日の午後・・・。
レナは、既に街の門の所に来ていた。クリスの返事を聞くためである。しかし、いくら待っても来ないクリス。レナは、街に一礼をし門の外に出た。
(来なかったわね。しょうがないか、人間を敵に回すと言ったんだから。でも、ちゃんと答えを聞きたかったな。)
そう思いながら、レナはアミルが居る場所に向かった。
『旅に出るか、レナ?』
「えぇ、だから挨拶に来たわ❗」
『その前に、こやつの話を聞いてやれ❗』
アミルの後ろからクリスが現れた。
「来ないと思ってたらここにいたのね?」
「はい、アミルさんに色々聞いていただいたので。」
「そう、答えは出たのかしら?」
レナは、真剣な眼差しでクリスを見る。クリスも、真剣な眼差しでレナに答える。
「私は・・・。私は、一緒に行きません❗」
レナは、クリスの答えに驚いた。クリスが一緒に来ると思っていたからである。
「なぜ?あれほど一緒に行きたがってたのに?」
「アミルさんと話して解ったんです。レナさんの後ろを追いかけてるばかりじゃダメなんだって❗だから、私は私のやり方で上を目指します。レナさんやアミルさんに負けないぐらい強くなります❗」
『大きく出たな❗それが己で出した答えか?』
「はい❗」
「確かに大きく出たわね。なら、私達も負けてられないわね、アミル?」
『そうじゃな、我も上を目指そう❗魔王という高みにな❗』
アミルの爆弾発言に驚くクリス。レナは、冷静に答える。
「やっぱり、目指すのね?」
『レナ達の影響じゃ。お主らが魔族の領域に来やすいようにするためじゃ❗』
「あら、嬉しいこと言ってくれるじゃない?」
「レナさん、嬉しいんですか?魔族の領域ですよ?」
驚きながら話すクリス。更にレナが言う。
「アミルが魔王を目指すなら、私はこの世界最強を目指すわ❗じゃないと未来の魔王様に申し訳ないものね?」
大声で笑いだすアミル。どうにでもしてくださいと諦めるクリス。
『確かに我の相手をするなら、それぐらいやらなければな❗』
「えぇ、これからは三人別々の道を歩んでいくことになるわね?」
『そうじゃな、先が楽しみじゃ❗』
「その中の私も入ってるんですね?」
『当たり前じゃ❗クリス、主は己の力を過小評価しすぎじゃ。すでに、主の力は中級魔族となら勝てないまでも互角に渡り合えるぞ?』
「えっ?私、そんなに強くなってるんですか?」
と、レナとアミルを交互に見るクリス。レナとアミルは頷き返す。クリスの実力は、すでにトップクラスにまで成長していた。
「三人のこれからの目標も決まったし、そろそろ行きましょうか?」
と、レナは手のひらを下にして右手を出した。それを見てクリスが続く。アミルはどうすればいいか戸惑っていた。
「アミルさん、私達と同じように手を出してもらえればいいですよ?」
と、クリスがアミルに助け船を出す。アミルは二人と同じようにする。
「それじゃぁ、私達の目標に向かって、そして再会を約束しましょう❗」
レナの言葉にクリスとアミルは頷いた。そして、手が離れ目標に向かって歩き出す三人。
アミルは、魔族の領域に戻るため姿を消す。クリスは、一旦街に戻り準備をしてから旅立つ。レナは、街とは反対方向にある国境の街を目指して歩き出した。
三人は、それぞれの目標に向かって歩み始めた。
目標を達成し、再会を果たすために・・・。
今回サブタイトルに「レナ」が入っていません。理由は、つけてしまうとしっくりこなかったからです。今後もつけないときがあるかもしれませんが気にしないで頂けるとありがたいです。
次回は、二十日の十二時の更新予定です。




