レナ、クリスの最終試験をする?
本編十四話です。
ブクマ、評価などしていただけると嬉しいです。
クリスを鍛え始めてからあっという間に一年が過ぎ、今日はクリスの最終試験がある日である。レナはまだクリスに試験内容を伝えていなかった。試験は、午後からの予定とクリスには伝えてある。
(さて、試験を午後にしたもののどうしたものかしら?私と模擬戦だとなにか違うのよね。かと言って他の冒険者には頼めないし、実力が違いすぎるものね。あと、頼めそうな人は・・・。あっ、一人居たわね。今からなら午後には間に合うけど引き受けてくれるかしら?最悪は、私が相手すればいいんだけど。取り合えず行ってみよ❗)
レナは、すぐに行動に移した。
その人物は・・・、アミルである。クリスの最終試験に魔族と戦わせるのはどうかと思うが、単に自分が教えて育てたクリスがどこまで魔族に対抗できるか試したかったのである。
「アミル、居る?」
『いるぞ、レナ。今日は何のようだ?』
「頼みたいことがあってきたの。」
『頼みとはなんだ?この前の鉱石はもうないぞ?』
「違うわ、私の弟子と模擬戦をしてほしいの。」
アミルは、なぜレナ自信ではなく弟子と模擬戦をしてほしいと頼んできたのか解らないでいた。
『レナとではなく、レナの弟子とか?なぜじゃ?』
「まぁ、単純に自分が育てた弟子がどこまで出来るか試したいの。私が相手してもいいんだけど、情がはいりそうだから。他の冒険者だと、私の弟子に瞬殺されてお仕舞いだから意味がないのよ。だから、アミルに頼みに来たの❗」
『レナは、我と戦いたくないのか?』
レナは、考えてから答えた。
「戦ってみたいけどね。たぶんだけど・・・、決着はつかないと思うわ。」
『確かにそうかもな。わかった、その話を受けよう。ただし、その後に我と戦え❗それが、我が引き受ける条件だ❗』
「しょうがないわね、その条件でいいわ。引き受けてくれてありがとうね、アミル。」
『気にするな、我とレナの仲じゃ❗ほんと、レナといると退屈しないですむわ。』
と言い出し高らかに笑う。レナもつられて笑いだす。
「じゃぁ、午後にここに来るわね。あっ、手加減はしてよ?じゃないと死んじゃうから❗」
『当たり前じゃ❗レナの弟子を殺しては我が殺されるやもしれんからのぉ。』
「アミルを殺したりしないわよ?友達なんだもん❗」
『我を友と呼ぶのはレナぐらいじゃよ。だが、レナに友と呼ばれるのは心地よいの❗』
「私もよ❗アミルが魔王で、私が人間の王なら戦争も起きないかもね?」
『そうかも知れんな。レナは、我が魔王になった方がいいと思うか?』
「私にとってはアミルが魔王なら助かるかな?」
『なぜじゃ?』
「だって、アミルを助けることが出来るもの❗何処かの国のバカ王女とその勇者達からね❗」
アミルは大声で笑いだす。
『ほんとに愉快じゃぞ、レナ❗勇者を敵に回すか?ならば我と共に来い❗』
レナは、首を振り答える。
「まだ行けないわ。私は、世界を見たいから。まだ行ってない場所、美味しい食べ物とかね。」
『そうか。だが、我は諦めんからな❗』
「覚えておくわ。じゃぁ、一旦戻るわ。またあとでね?」
手を振りアミルと別れた。レナが街に戻ったのは、ちょうど昼頃であった。宿で昼食を食べようとしたらクリスが宿の前に立っていた。クリスは、レナに気付き手を振る。
「レナさん、一緒に昼食食べませんか?」
「いいわよ、ついでに試験の内容も話すわね。」
と、二人は宿の食堂に向かう。レナは、クリスにある人と模擬戦をしてもらうと伝えた。クリスは、気になるようで聞いてくるがレナは黙り続けた。さすがに魔族と模擬戦をしてもらうとは言えない。昼食も終わり、アミルの待つ場所に向かった。
「アミル、待たせたわね。後ろに居るのが私の弟子のクリスよ。」
『ほぉぉぉ、さすがはレナが鍛えただけのことはあるな。』
「クリス、貴女がこれから戦う相手のアミルよ。」
クリスは、アミルを見て驚いていた。いや、むしろ恐怖を感じていた。クリスから見てもすぐにアミルが魔族だと解るからである。
「ちょ、レナさん私の相手が魔族だとは聞いてませんよ?」
「あの場所で言えるわけないでしょ?それに、誰が相手かわからない方がより実戦的でしょ?」
「いや、確かにそうですけど・・・。そうじゃなくて、私殺されますよ❗」
「それは、大丈夫よ。手加減してくれるから。だから、クリスは全力でやりなさい。時間が勿体ないからすぐに始めるわよ?」
『我はいつでもかまわんよ。』
「いや、私が困ります。心の準備が・・・。」
クリスが言い終わる前にレナが言う。
「相手が目の前にいるのに心の準備が必要?そんなことはここに来る前にしなさい。いつどこで誰に襲われるかも判んないのに毎回相手に「心の準備をさせてください。」と言うの?それで、相手が待ってくれる?無理ね❗だから、問答無用で今すぐ始めるわよ❗アミル、くれぐれもよろしくね?」
『心得た❗』
レナの開始の合図が問答無用で放たれる。
「模擬戦、始め❗」
レナの合図と共にクリスが叫ぶ。
「レナさんのオニィィィィィィ❗」
アミルは、一目散にクリス目掛けて駆け出す。その瞬間、クリスのスイッチが切り替わった。
「ヤァァァァァァ❗」
クリスは、掛け声と共に迫り来るアミルに打って出た。クリスの一撃を難なくかわすアミル。クリスは、アミルがかわすことを考えての一撃だったためすぐに次の一撃を放つ。
「ハァァァァァァ❗」
『さすがはレナの弟子じゃな。一撃が鋭い❗先読みも冴えておる。』
アミルは、クリスの二撃目もかわし呟いた。アミルは、クリスと距離を取った。それを好機とみたクリスは更に追い打ちを狙う。
「結城流体術『縮地』❗」
クリスは、一瞬で間合いを詰め自分が今出来る最高の技を放つ。
「結城流抜刀術『雷神・改』❗」
クリスが放った技は、四連撃の後に刀を鞘に納め、投げ技を喰らわすクリスが考え出した技である。 四連撃からの力の反動ををそのまま投げ技に使うので効果は絶大なる・・・はずだった。
アミルは、クリスが刀を納め投げ技にはいろうと組んだ時、瞬時に投げ技だと理解しクリスの脇腹に打撃を入れクリスは地面に膝をつく。
「きゃぁぁぁぁ❗」
「そこまで❗」
クリスの悲鳴と同時にレナが終了の合図を出す。
アミルは、短く息を吐き力を抜く。クリスは未だ立てないでいた。
『さすがはレナの弟子じゃな。危うく負けるところだったわ。』
「クリスが出した技は、私も知らないわ。自分で考え出した自分に出来る最高の技を作ったのね。さすがの私も驚いたわ❗」
ここでようやくクリスが立ち上がる。
「やっぱり、敵いませんよ❗これで、試験は落ちましたよね?」
「なぜ、落ちたの?私は、まだ何も言ってないわよ?」
「だって、負けましたから。」
「クリス、貴女は勘違いしているわよ?私は勝てなんて言ってないし、むしろ勝ったら私を越えたことになるわよ?」
「えっ?勝っていたら私がレナさんを越えた?」
「私がアミルと戦っても引き分けにしかならないわよ?お互いに勝つかとは無理ね❗そう言うわけだから合格よ、クリス。おめでとう❗」
「えっ?合格?本当に?ヤッタァァァァァ❗」
その場で飛び上がるクリスだが、アミルに受けた一撃が痛みだしうずくまる。
「合格祝いよ、クリス。受け取ってもらえるかしら?」
レナは、クリスに刀を差し出す。クリスは目を見開かせ驚く。
「これは、レナさんと同じ武器?もしかして、レナさんが作ったんですか?」
「そうよ、といっても鍛冶屋の人に手伝って貰ってだけどね?ちなみに、鉱石はアミルに貰ったものよ。」
『このために、我に鉱石を頼んだのか。ようやく理解したわ❗』
納得するアミル。クリスは、レナからの刀を受け取りながら涙を流した。
「その刀には、銘がないの。クリスが考えてくれない?」
レナが言うがクリスがすぐにかえす。
「レナさんにお願いしたいです。」
「私でいいの?」
頷くクリス。レナは、諦め刀の銘を決める。
「刀の銘は『神風』よ❗」
「神風、いい銘ですね❗ありがとうございます❗」
『さて、レナの頼まれ事は済んだな。では、私の条件を聞いてもらえるかのぉ?』
アミルは、レナに向いて言う。レナもアミルを見据え答える。
「もちろんよ❗アミルとクリスの戦いを見て体が疼いてしょうがないもの❗」
『我もまだ足りん❗レナとなら本気でやれるからのぉ、楽しみじゃ❗』
「私もよ❗久々に本気が出せる相手が居るんだもん。嬉しくて仕方ないわ❗」
クリスは、レナとアミルの会話についていけず目が点になっていた。
「あのぁ~、どういうことですか?」
『レナに、お主との模擬戦を頼まれたのじゃがな、条件として我と戦えといっただけじゃ。』
「はぁ、そうなんですか?って、全力でですか?」
「もちろんよ、さっきの話を聞いていなかったの?」
「聞いていましたけど・・・。」
『ならよいではないか。では、始めるとするかのぉ?』
「そうね、始めましょう❗」
こうして、レナとアミルの全力での模擬戦が始まった。クリスの絶叫が合図となったことは言うまでもない・・・。
無事にクリスの最終試験が終わりました。
この後の展開はレナが旅立つことになると思います。
次回は、二十日の六時、十二時、十八時の更新予定です。
三話更新しますので、時間が空いてる時にでも読んで頂ければと思います。




