レナ、ギルドへ報告とアミルとの会合?
本編第十二話です。
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レナが眼を覚ました時、そこはこの街で泊まっといた宿であった。ちょうどその時部屋の扉が開く。部屋に入ってきたのはクリスだった。
「レナさん、目が覚めたんですね?起こしても起きなかったので応援に来てくれた冒険者の人に頼んでここまで運んでもらいました。」
クリスは、これまでの経緯を話した。盗賊は壊滅、生き残った盗賊は後日騎士団に引き渡されることに決まった。冒険者の被害は三人が犠牲になり、半数は大小の怪我をした。応援に来たのを率いていた人物はギルドマスターであった。クリスは、ギルドマスターにその場で現時点での報告を済ませていた。そして、街に戻るときはギルドマスターが戻るときに一緒に戻ってきたのである。別れ際にレナが目を覚ましたら早めにギルドに顔を出すように伝言を頼まれていた。レナが、目を覚ますまでクリスがレナの看病をおこなっていた。
「迷惑をかけたわね、ごめんなさい。そして、看病してくれてありがとう。」
「いえ、私を庇って怪我をしてしまったので当たり前です❗」
「それでもよ、ありがとう。」
レナは、再びお礼を言い頭を下げた。
「はい❗一応食事を持ってきたんですが食べれそうですか?」
クリスはお粥をレナに差し出した。レナは、受けとり答える。
「頂くわ、ありがとう。」
そう言い、食べ始めるレナ。クリスは、レナの食べる姿を見てホッとした。
「レナさん、ギルドには明日行きますか?」
「そうね、明日にしようかな?まだ、身体を動かすにはちょっと辛いから。」
「そのほうがいいですね。」
明日、ギルドに向かうことが決まった。
レナの食事も終わり一息ついたときクリスが呟く。
「レナさん、弟子入りは諦めます。」
クリスは、レナへの弟子入りを諦めると宣言した。それに対してレナは聞く。
「なぜ?あんなにも私に弟子入りをしたがっていたのに?」
「それは・・・。」
口を塞ぐクリス。レナは、更に聞く。
「私の動きは見えていたわよね?」
「はい。」
「どう感じたかしら?」
「綺麗でした。そして、綺麗なのに怖いとも感じました。」
クリスは、あの時見たレナの感想を述べた。それが嘘偽りないクリスのレナに対する感情である。
「それが、私の使う術である『結城流抜刀術』の真髄なの。無駄な動きを一切省き、相手に死んだことすら認識できない一撃を放つ、人を殺すために特化した殺人剣よ。私が怖いでしょ?」
「正直レナさんの使う術は怖いです。でも、レナさんは怖くないです❗こんな私を心配してくれるし、何より怪我をしてまで私を庇ってくれましたから❗レナさんは優しい人です❗」
レナは、クリスの言葉に意表を突かれた。今までレナは、抜刀術を使うレナではなく、レナ自信が怖いと言われてきたからである。そのため、クリスの言葉は身に染みて嬉しかった。
「ありがとう❗そう言ってもらえると嬉しいわ❗」
「当たり前です❗レナさんは優しいですから❗」
笑顔で言うクリス。そんなクリスを見てレナは決心した。
「ねぇ、クリス。私と友達になってくれないかな?」
「えっ?私がレナさんの友達にですか?」
「嫌かな?」
「嫌さじゃないですよ❗むしろ私からお願いしようと思ってましたから❗」
「じゃぁ、友達になってくれるかな?」
レナの言葉にクリスは即答する。
「もちろん❗こちらこそよろしくお願いします❗」
「ありがとう❗」
二人は、出会って初めて握手を交わす。異世界に来て初めてできた友人である。
「なので弟子入りは諦めます。」
「そうなの?残念ね、私は教えるつもりでいたのに。」
「えっ?教えてくれるんですか?」
驚くクリス。
「クリスが諦めると言うから本人の意思を尊重しないといけないわね?だから、今回は私が諦めるわ❗」
レナは、クリスに意地悪く言う。クリスは慌てて手のひらをかえす。
「諦めなくていいです❗私を弟子にしてください❗」
「今、諦めるって言ったわよね?」
「そんな意地悪言わないでくださいよぉ❗」
「意地悪はやめるわね?でも、弟子入りは無理よ?」
「えっ?でも、今弟子入りしてもいいって言いましたよね?」
「えぇ、言ったわね。友達として教えてあげるわ❗」
クリスはここで気がついた。弟子だと友達ではなくなることに。
「はい❗友達として教えて下さい❗」
「教えてあげる❗でも、厳しいわよ?」
「耐えて見せます❗」
「そぅ、なら友達として手加減無しで教えるわね?」
満面の笑みで言うレナ。それに対してクリスは顔が険しくなる。
「いや、そこは友達として優しくするんじゃないですか?」
「それは、無理ね❗」
「イヤァァァァ❗」
クリスの叫びとともにこの会話が終わる。
レナは、再び眠るとクリスに告げてから目を閉じた。
翌日、レナとクリスはギルドを訪れた。盗賊の討伐の件である。
話の内容は、昨日クリスから聞いたのと大差はなかった。
そして、ギルドマスターから依頼の報酬を受け取り部屋をでようとしたが呼び止めらる。
「レナ、これからもこの街に拠点をおき活動してもらえないかしら?」
ギルドマスターは、レナを引き止めようとした。しかし、レナは、首を振り答える。
「無理ね、私は世界を見て回りたいから一ヶ所に腰を据えるつもりはないわ❗」
「どうしても無理なの?」
「無理ね。でも、最低一年はここに居るつもりよ。」
「えっ?なぜ?」
「クリスを鍛えるからよ❗」
「一年でもいいわ。レナが、居てくれれば助かるから❗」
「じゃぁ、この話は終わりね。あっ、言い忘れたけどクリスに手を抜くように言わないでね?もしそんなことが分かれば・・・、わかるわよね?」
釘を刺されるギルドマスター。
「えぇ、わかっているわ。そんなことはしないわよ。」
「それじゃあ、短い間かもしれないけどよろしく❗」
「お願いするわ❗」
これで、今回の依頼は終わりを告げた。
この後、レナはクリスと明日以降のことを相談し解散した。
レナは、クリスと別れた後ある場所に向かっていた。
『2日ぶりじゃな、レナ?』
レナの後ろから声が聞こえた。振り返るとそこにはアミルが居た。
「そうね、アミル。元気にしてた?」
『まぁな。それよりもレナ、その怪我はどうした?』
レナは、左手の怪我を見ながら答えた。
「この前の依頼でね。仲間を守るために受けた傷よ。」
『治してやろうか?』
「大丈夫よ、この怪我で初心に戻れたから。」
『そうか、ならよい。』
この後は、世間話をしてアミルと別れた。
「また来るわね、アミル?」
『いつでもよいぞ、レナと話をするのは楽しいからな❗』
「ありがとう❗じゃぁ、またね❗」
『あぁ、またな❗』
レナは、宿に戻り明日からのクリスの修行のことを考えながら眠りについた。
その頃、フィール王国の王城では未だに城から出ていない勇者達がいた。ラピス王女が勇者達をレナより強くするために城での訓練をしていたのである。父でもある国王からの要請すら断り続けていた。魔物討伐などの実戦が成長させるとも知らずに・・・。今ではラピス王女に口癖がある。
「レナさんを倒すまでは城から出しません❗❗」
である。レナに勝てるのはいつになることやら・・・。
場所は、レナが滞在している街に戻る。
そして、クリスの修行が開始される朝を迎えた・・・。
今回の話はギルドへの報告とアミルとの会話でした。
これからもアミルの出現率は高くなると思います。
次回は、十八日の六時の更新予定です。




