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プロローグ

二作目の投稿です。


前作と似たような内容にならないように頑張りますので、これからもまた、よろしくお願いします。

現代日本、ここに一人の少女がいる。

名は、『結城(ゆうき)レナ』という。歳は十五歳、今年高校にあがったばかりの現役女子高生である。容姿は、黒髪のロングでまだ幼さが残る顔立ち、綺麗と可愛いを足して二で割った感じである。

彼女の家族構成はというと、両親に弟、祖父の五人で暮らしている。両親は、共働きでありレナが家事全般をこなしている。弟は、十三歳の中学生である。祖父は、道場を開いている。門下生は、一人もいない。それもそのはず、剣道の道場ではなく剣術の道場である。今では、剣術の道場は結城家の『結城流抜刀術(ゆうきりゅうばっとうじゅつ)』を除いて存在しない。いや、正確にはもう一つ存在していた。しかし、今はその流派を受け継いだ者がいないのである。結城流抜刀術は、殺人剣である。今のご時世、殺人剣を好んで学ぶものはいない。故に、門下生は一人もいない。いや、正確には一人だけ存在している。孫のレナである。レナは、幼い頃から祖父に結城流抜刀術を習い、免許皆伝の手前まできていた。そして、今日免許皆伝の試験を受けていた。


「レナよ、今から免許皆伝の試験をする。儂から一本取れれば合格じゃ。」


「わかったよ、おじいちゃん❗」


お互いに礼をし構える。構えてから十数秒、まだお互いに動く気配がない。動かないのではなく動けないのである。互いの実力が均衡し、尚且手練れともなれば精神面での戦いになる。

その均衡が崩れる。先に動いたのはレナである。『縮地(しゅくち)』を用いて一瞬で祖父の懐にはいる。縮地とは、最初の一歩かから最高速になる技である。


「はぁぁぁぁぁぁ❗」


掛け声とともに木刀を右薙ぎする。


「甘い❗」


祖父は、木刀を右脇腹の付近に縦に構え防御をとる。


カーーーーン


木刀と木刀が重なりあい甲高い音が響く。


数合打ち合いをしたあと、お互いに距離をとる。


「まさか、ここまでやるとは思わんかったぞ?さすがは、儂の孫じゃ❗」


祖父に誉められたレナは、笑顔で答える。


「そりゃぁね。毎日おじいちゃんに鍛えられたから❗でも、次で終わりにするよ?」


「ぬかせ、まだ儂は負けん❗」


互いに言い合ったあと、レナが動く。祖父は、上段の構えで待ち受ける。レナは、走りながら木刀を腰の位置に戻す。所謂、居合いの構えである。


「結城流抜刀術奥義『雷切改(らいきりかい)』❗❗」


レナが叫び技を放つ。


「結城流抜刀術奥義『雷切(らいきり)』❗❗」


祖父も負けじと技を放つ。


ちなみに、『雷切』は唐竹(からたけ)袈裟切り(けさぎり)逆袈裟切り(ぎゃくけさぎり)、右切り上げ、左切り上げ、右薙ぎ(みぎなぎ)左薙ぎ(ひだりなぎ)逆風(ぎゃくふう)、突きからなる技で、この九つを最も効率よく繋げた技である。

対してレナが放った技、『雷切改』は九つの前に居合いを放つ。


カンカンカン


お互いの木刀が当たり音が響き渡る。一瞬の攻防故の一瞬での決着。レナの木刀が、祖父の木刀を掻い潜り喉に当たる直前で止められていた。


「私の勝ちだね、おじいちゃん?」


「参った、儂の敗けじゃ。しかし、最後のは儂が教えた奥義と違うが自分で作ったのかのぉ?」


「そうだよ?だって、おじいちゃんの奥義に勝つためには同じ奥義では勝てないから。」


自ら奥義を作ったと答えるレナ。それを驚いて聞く祖父。


「レナの事じゃまだ他にもあるんじゃろ?」


「うーーん、あるにはあるけどまだ実戦で使えないんだよねぇ。」


「なんじゃ、まだ技へ昇華しとらんのか?つまらんのぉ。それはそうと、これでレナも免許皆伝じゃ❗」


「ありがとう、おじいちゃん❗」


祖父はレナに背を向け歩き出す。そしてある物を手にしレナの前に戻ってくる。それは、祖父がレナのために鍛え上げた一振りの刀。それをレナに差し出す。刀を受け取ったレナは・・・。


「おじいちゃん、この刀は?」


「儂が鍛えたレナだけの刀じゃ。」


「えっ?いいの?」


驚くレナに対して笑顔で答える祖父。


「免許皆伝の祝いじゃよ。」


「大切にするね❗」


「その刀にはまだ銘がない。レナが付ければいいじゃろう。」


「銘かぁ、何にしようかな?」


と、答えるレナ。ふいに、祖父は時計を見てレナに言う。


「それはそうとレナ。時間はいいのか?」


「時間?」


時計を見るレナ。


「あぁぁぁぁぁぁぁぁ❗❗」


「これは遅刻するのぉ。」


「なんで、もっと早く教えてくれなかったのよぉぉぉ❗」


慌てて道場を飛び出し、着替えて家を飛び出した。


学校に向かう最中、レナはふと思い出した。


(そう言えば、昔はよくおじいちゃんと二人で山に行って修業してたなぁ。川で魚を捕ったり、野生のウサギや猪を捕まえたりして過ごしてたんだよねぇ。それに、捕まえた獲物を捌くのには苦労したよ。おじいちゃんは、何も教えてくれないから見て覚えなきゃいけなかったし。また、連れてってくれないかな?今度、聞いてみよ❗)


そんなことを思いながら学校へ急ぐレナであった。


レナは、なんとか遅刻は免れた。


レナは、クラスメイトに挨拶をするが手を挙げて答えるか無視であった。何故かと言えばレナには、仲の良いクラスメイトはほとんどおらず高校に入ってから二ヶ月経つというのにクラスの中で浮いた存在だった。最初の自己紹介で失敗したのが原因ではあるのだが・・・。


「結城レナといいます。家は道場で祖父から結城流抜刀術を習っています❗これから一年間、よろしくお願いします❗」


「結城流抜刀術とはなんですか?」


担任に聞かれ素直に答えるレナ。


「剣術の一つで殺人剣です❗あっ、余程の事がない限りは使いませんので安心してきださい❗」


「そ、そうですか。ぜったいに使わないでください❗」


この自己紹介が原因でクラスから浮いてしまったのである。この出来事が切っ掛けになり素直だったレナがクラスメイトにだけひねくれた性格になっていったのである。


話を現在に戻そう。


先生が来るのを待っている生徒たち。しかし、中々先生が来ない。すでに、朝のホームルームが、終わる時間になっても現れない。そんな時は、何故かレナの居るクラスにだけ校内放送が流れはじめた。


『皆さん、おはようございます。唐突ですが、皆さんを異世界に召喚します。私が管轄する異世界で、有る国が勇者召喚の儀を執り行ったからです。皆さんには、私の加護を与えます。それが、勇者の証になります。それでは、召喚の準備に入ります。』


「なんだよ、異世界って?」


「勇者になれる?」


「行きたくないぃぃぃぃ❗」


「どうなるの?私達。」


などなど、思い思いに叫ぶ生徒もいれば冷静な生徒もいる。

レナだけはどこかズレていた。


(おじいちゃんに習った抜刀術が試せるの?でも、家族に会えなくなるのはいやだなぁ。あっ、刀は家に置いてあるんだった・・・。あれ?なんでここに私の刀があるの?)


何故かレナの腰に刀があった。レナが、刀の確認をしたと同時に足元に魔方陣が描かれた。


『それでは、召喚します。みなさん、無事に生き抜いてくださいね?』


そこで、意識が途絶えた・・・。



再び意識が戻った。そこは、見知らぬ場所であった。周りを見渡したレナ達、石造りの壁で周りを囲まれていた。


「異世界から来られた勇者様方、お初にお目にかかります。私は、フィール王国第二王女ラピス・フィールです。以後お見知りおきを。」


と、レナ達に説明した。クラス委員長が更なる説明を求めた。


「今この国は、魔族の侵攻を受けております。勇者様方には魔族を撃退していただきたいのです。」


「魔族と殺し合うのか?」と、男子生徒その一。


「はい、勇者様方には魔族と戦って頂きたいのです。他国も、魔族と戦うために戦力を蓄えています。しかし、魔族には女神の加護を受けた勇者しか討伐出来ないのです。」


「それでも、殺したりするのはイヤよ?」と、女子生徒その一。


「元の世界に戻してよ?」と、女子生徒その二。


動揺するクラスメート達。レナは、ラピスの言葉を冷静に分析していた。レナは不意に気づいた。周りを見れば何かブツブツ言っている者達が数名いるのを発見した。


(ふぅーん、王女様の声が少し大きいのは後ろに居る人達の声を聞きづらくするためね。何かありそうみたいだし、精神力を強くしとないと危なさそうね。)


そう、解決した矢先に状況が変わる。


「わかりました。魔族討伐は私達が引き受けます❗」


クラス委員長が、そう宣言した。


(何故?さっきまであんなに不安や苛立っていたのに。もしかして、王女の後ろにいた人達がしていたのは洗脳?)


レナの、予測は正しかった。魔法ではないが、洗脳する術である。この世界には、魔力は存在しているが魔法は存在しない。そのかわりに、術が発達している。その一つが今の洗脳術である。

レナは、何とか直前に洗脳を回避した。


「それでは、勇者様方の了承を得られましたので能力を見たいと思います。」


そう言って後ろに控えていた者が、台に載った球体を運んできた。


「これは、身体に害があるものではありません。皆さんが持っているであろう女神様の加護を見るものです。ですので、順番にお願いします。」


ラピス王女は、球体に触れるように促した。

最初に球体に向かったのは、やはりクラス委員長だった。


「私が最初にやります。」


「お願いします。」


と、ラピス王女が言うとクラス委員長は球体に手をのせる。

球体が神々しく光はじめる。


「流石ですわ。これ程の強い光を持っているなんて。」


クラス委員長は、頬を掻きながらテレる。光が収まりクラス委員長が離れると次々にクラスメートが並び始める。

出遅れたレナは一番最後になった。


順調にクラスメート達は、球体に触れていく。

そしてようやくレナの番になった。

レナが球体に触れると・・・。


何も起きない。


「あら、貴女は女神様の加護を受けていないのですね?でしたら勇者ではありませんね。」


ラピス王女は、今までクラスメートを見ていた穏やかな眼から蔑んだ眼に変わる。


(そっか、私は勇者じゃないんだ?なら、ここに居る必要はないかな。どうせ、出ていけとか言われるだろうし。)


「なんだ、結城。女神様の加護がないのかよ、ダサいな❗」


クラスメートの男子がレナに言ってきた。しかし、レナは待ってましたとばかりに言い返す。


「そうみたいね?なので、王女様。」


「はい、なんでしょうか?」


相変わらず蔑んだ眼で見てくるラピス王女。


「私は、ここを出ていきます。勇者ではないみたいなので。」


「そうですか、仕方ありませんね。ですが、このまま行かせてしまう訳にもいきません。取り敢えず、着替えてください。その格好では、目立ちすぎますので。服は、何着か用意させますので気兼ねなく貰っていってください。」


ラピス王女は、メイドの一人に指示を出しレナについていくようにいった。レナは、それに従いメイドについていく。


メイドについていくと、ある部屋に通される。中に入ってみると着替えが用意されていた。ただ、量が半端なかった。何百にもなる服の山である。メイドに訪ねたところ、勇者のために用意した服なのだそうだ。


レナは、気兼ねなく服を選び始める。


結果、レナの選んだ服は、黒のTシャツに赤のジャケット、赤のスカートに黒のニーソである。レナは、なぜこの世界にニーソがあるのか不思議に思った。しかし、異世界から勇者召喚する世界だから何があっても不思議ではないと考えを改めた。


着替え終わるとメイドに「付いてきてください。」と言われレナは、メイドの後に付いていく。着いた場所は、王城の門である。


「これを王女様から預かっています。」


と、レナに袋を差し出した。


「中に金貨十枚入っています。」


レナは、袋を受けとりこの世界での通貨を聞いた。


銅貨十枚で銀貨一枚

銀貨十枚で金貨一枚

金貨十枚で白金貨一枚である。

日本円にするとこうなる。

銅貨一枚で百円

銀貨一枚で千円

金貨一枚で一万円

白金貨一枚で十万円である。


一応、メイドは丁寧に説明してくれたが最後の一言は素っ気なかった。


「あとは、貴方の好きにしてください。それでは、失礼します。」


頭をさげ、城に入っていく。

レナは、城に背を向けるとそこには街が広がっていた。


(さて、これで自由になったし取り敢えず職をさがさないといけないわね。幸い、私の刀もあるし。そう言えばこの刀の銘を決めてなかったわね。何にしようかしら?そうだ、『紅蓮(ぐれん)』にしよう。今日からよろしくね、紅蓮❗)



刀の銘も決まり、レナは歩き出す。



これが、後に『真紅の死神(しんくのしにがみ)』の二つ名で呼ばれる事になる結城レナの旅の始まりである・・・。

今回も主人公の武器は日本刀になりました。

作者自信が日本刀が好きなのでどうにもなりません。

ですので、どうか見放さないでください。


前作の一日二話更新は辛かったので、今回は余裕を持って一日一話更新にしたいと思います。もしかしたら、更新出来ない日があるかもしれませんがその時は許してください。



では、次回は七日の六時に更新を予定しています。

今作も、どうぞよろしくお願いします。

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