ゴールデン
「では、こちらが売買契約書と領収書になりますので、
お確かめ下さい」
タヌキノが、ロックに先程と同じ様式の書類を手渡した。
「ああ、分かった。
え~と・・・今度は大丈夫かな?
一応カネーちゃんも確かめてくれるか?」
「確認第一っす!」
「ええ、良いわよ、
どれどれ・・・うん、今度は大丈夫みたいね」
「そうか、サンキュー
タヌキノさん、書類は大丈夫みたいなんで、
俺達は、これで帰ろうかと思います。」
「バイ・ナラっす!」
「そうですか、ロック様、
当商会をご利用頂きまして真にありがとう御座いました。
またのご来店をお待ちして居ります。」
「ああ、奴隷を購入する機会なんて、
そうそうに、あるとは思えないけど、
また何かあったら、お願いするよ」
「フラグじゃ無いっすよ」
「ありがとう御座います。」
「じゃ、帰るからカレンとファニーは、
目が見えないアンジェラさんの手を引いて行ってくれるか」
「「畏まりました。」」
「2人とも済まないねぇ」
「アンジェラさん、それは言わない約束でしょ」
「君達、何でそのネタ知ってるの!?」
「ガチョ~ンっす!」
「ロック君、これから、どうするの?」
タヌキノ商会の建物から出ると、カネーが聞いて来た。
「取り敢えずは、
俺達が泊まってる宿にアンジェラさん達の部屋を取ってから、
アンジェラさんとファニーには部屋で休んでて貰って、
カレンは、俺達と一緒に装備や馬車の買い出しに付き合って貰おうかな」
「ショッピングっす!」
「「畏まりました。」」
「済まないね」
「じゃあ、ウチの店にいらっしゃいよ!
冒険者の装備は元より、馬車の手配もして貰えるわよ、
父や兄に言って、お友達価格にして貰うわ」
「おおっ!馬車まで手配出来るのか、
流石は王都でも名が通った商会なだけはあるな、
ウィルとカレンも、それで良いか?」
「全然、オッケーっす!」
「ガッポリ商会で装備が買えるなんて夢の様です!」
「大丈夫みたいだな、
じゃあカネーちゃん、一先ずは俺達が泊まってる宿まで付き合って貰えるか?」
「レッツラ・ゴーっす!」
「ええ、良いわよ」
一行は、ロック達が泊まっているホテルに向かう事となった。
「ロック君達、ここに泊まっているの!?」
ロックの案内でホテルの前まで行くと、
カネーが驚きの声を上げた。
「ああ、王都の冒険者ギルドが手配してくれたんだよ」
「至れり尽くせりのサービスっす!」
「うわ~!立派なホテルですね~!」
「お城みたいだね!お姉ちゃん」
「何て言うホテルなんだ?」
感激しているカレン達を余所に、
目が見えないアンジェラが、そう尋ねた
「『ゴールデン・デリシャス・ホテル』ですよ、アンジェラさん」と、
カネーが教えてあげる
「何だって!?超一流どころじゃないか!
何で冒険者ギルドが、ロック様の為に、
そんなとこを用意するんだい?」
「あら、アンジェラさん、
ロック君達は『シャッキーン・バード』を討伐出来る程の、
優秀な冒険者なんですから、
ギルドが優遇するのは、当たり前じゃないですか」
「それは、ここ王都に向かう最中の護衛クエストでだろ?
一流のホテルなんて直ぐに押さえられるものじゃ無いんだから、
ロック様達が、ヒデブの街を出た時には既に予約が入れてあったとしか思えないね」
「おお~!アンジェラさん、なかなか鋭いですね、
ロック君、アンジェラさん達にも今回の積荷の事を話しても良いかしら?」
「ああ、アンジェラさん達はパーティーの仲間になるんだから、
話しても良いぜ」
「内輪の話っす!」
「積荷だって?」
「はい、今回、ロック君達に護衛して貰ってた
ウチの商会の積荷なんですけど、
ロック君達が討伐した『ベヒモス』の素材なんですよ」
「『ベヒモス』だって!?」
「アンジェラさん、『ベヒモス』って魔獣の名前なんですか?」
「『ベヒモス』美味しい?」
「ああカレン、『ベヒモス』って言ったらS級の魔獣で、
討伐する為にはS級の冒険者パーティーか、
A級の冒険者パーティーが数組は必要なんだよ、
それとファニー、『ベヒモス』の味は私も食べた事が無いから分からないね」
「ふぁ~、もの凄い魔獣なんですね、
でも、それを倒すなんてロック様方は、もっと凄いですね!」
「なる程ね、確かに『ベヒモス』を討伐したなら、
一流ホテルを押さえたのにも納得出来るね、
冒険者ギルドの名声と利益に多大な貢献を果たしたんだからさ、
それで、ロック様、『ベヒモス』の討伐には、
何組の冒険者パーティーで挑んだんですか?」
「3人だよ」
「そうっすね」
「え?30組ですか?」
「3人、正しくは冒険者は俺だけで、
後はウィルと、農夫のドボルさんとだな・・・」
「瞬殺っすね」
「え?冗談だよね?」
「ロック君、それは私も初耳だわ」
「3人でも倒せるものなんですか?」
「それがさ・・・」
ロックは、アンジェラらに『ベヒモス』討伐へと至る経緯を説明した。
「そんな事が、在り得るのかね・・・」
「ロック君達って、何気に豪運持ってるよね」
「流石はロック様方です!」
「ロック様、『ベヒモス』食べたいです。」
「そんな訳で、大金が入って来る予定だから、
カレン達も急いで借金を返そうとしなくても良いからね、
それとファニー、『ベヒモス』の肉なら、
俺のアイテムボックスの中に入ってるから、後で皆にご馳走するよ」




