カレンとファニー
「実は、私と妹は、
この王都にある奴隷商会である『タヌキノ商会』から逃げて来たのです。」
キツネ耳少女は、自らの左手の甲を見せながら、そう告げた。
「その刺青は?」
「二重丸っすね」
少女の手の甲には、黒い二重丸の刺青が入れられて居り、
背負われている少女の妹だという、女の子の手にも同じ物が見て取れた。
「ロック君達、『奴隷紋』を見た事が無いの?」
「ドラ〇もん?」
「ロック先輩、そのネタはヤバいっす!」
「違うわよ『奴隷紋』よ、
ヒデブの街でも働いてる奴隷の人達の手に、描いてあったでしょ?」
「気付かなかった・・・
てか、俺が居た村に奴隷なんて居なかったから、
ヒデブの街に、奴隷の人達が居る事事態に気付いてなかったよ」
「人類皆平等っす!」
「へ~そうなんだ、
じゃあ、私が教えてあげるけど、
あの刺青は奴隷紋っていって、奴隷になった人が奴隷商で入れられるんだけど、
特殊な魔力が付与されたインクで描かれて、
犯罪奴隷の人は刑期奉公を終えるまで、
借金奴隷の人は返済が終わるまで消えないんだって」
「なる程、この刺青には、そんな意味があるんだ・・・
すると、君は・・・え~と」
「あっ、私はカレンっていいます。
背中の子は、妹のファニーです。」
「そうか、カレンちゃんに、ファニーちゃんね宜しくな、
俺は、冒険者見習いのロックっていうんだ
こいつは、相棒のウィルだ」
「ちぃ~っす!自分はウィルっす!」
「私はカネーよ、宜しくね」
「そうですか、ロックさんは冒険者だったんですね・・・
お察しの通りに、私と、この子は借金奴隷なのですが、
実は、ロックさんの様に、冒険者になる為に奴隷商から逃げ出して来たのです。」
「カネーちゃん、奴隷の人も冒険者に成れるの?」
「職業選択の自由っす!」
「ええ、冒険者の人にパーティーメンバーとして買われたり、
自ら借金返済の為に、冒険者登録をして稼いでいる人が、
結構、居るわよ」
「じゃあ、カレンちゃん達も逃げ出さずに、
冒険者の人に買って貰えるのを待てば良かったんじゃ無いの?」
「ええ、私達も、そう希望していたのですが、
『タヌキノ商会』の会長である、トラーヌ・タヌキノが、
私と、この子を性奴隷として売ろうとしているのを知って、
逃げ出して来たのです。」
「せ、せ、性奴隷!?」
「せっせっせ~のヨイヨイヨイっす!」
「あ~、カレンさんは美人だし、ファニーちゃんも可愛いもんね、
奴隷商としたら、高額で売れる性奴隷として売りたいでしょうね」
「そんなに、売れる値段が違うのか?」
「ええ、カレンさんぐらいの年齢と美しさから見て、
一般奴隷として売り出すと、400万ギルぐらいで、
性奴隷として売り出すと、倍の800万ギルは下らないでしょうね」
「倍も違うんだ・・・」
「金利・手数料は当社で負担っす!」
「それで、カレンさん達の借金って幾らぐらいなの?」
「はい、私と妹の分を合わせると、1500万ギルです。」
「勿論、親が作った借金よね」
「ええ、私達は母を早くに亡くしたので、
父が作った借金なんです。」
「借金の形に、娘を売るなんて酷い父親だな!」
「でも良くある話っすね」
「いえ、私達を奴隷商に売ったのは、
父では無くて、奥様と義兄姉様方なんです。」
「どういう事?」
「継母らに因るイジメっすね!」
「はい、話せば長くなるのですが、
私達の父親は、この王都では比較的に大きな商会である、
『ガッカーリ商会』の会長をして居りました。」
「あら、あなた達の父親ってフウンダ・ガッカーリ氏なんだ」
「はい、そうです。
カネーさんは、父をご存じなのですか?」
「ええ、私は『ガッポリ商会』の娘なのよ、
父との取引で、フウンダさんが何度かウチの店へと、
お見えになっているのを、お見かけしたわ」
「カネーさんは、『ガッポリ商会』のお嬢様だったんですか」
「そうなのよ、でも、フウンダさんが会長『でした』って、
どういう事なの?
つい先日まで、バリバリ働いてお見えになったと思うのだけど・・・」
「はい、父は大口の取引を成功させる為に頑張って居りまして、
その努力の甲斐もあり、取引は大成功だったのですが、
取引からの帰りに『シャッキーン・バード』の襲撃に遭って、
売上金の殆どを奪われてしまったのです。」
カネーが、カレンの話を聞きながら、ロック達の方をジ~と見て来た。
「そ、それは、とんでもない災難だったね~」
「ま、まったくっす!」
「ええ、それで父は、
今回の損害の責任を取り、会長の座を辞任しまして、
奥様が新会長になり、義兄姉様方が新役員へと就任したのです。」
「商業ギルドの保険には加入して無かったの?」
「ええ、奥様が加入料が勿体無いと仰られて、
加入して無かったんです。」
「その奥様って人は本妻なの?」
「『実は・・・その奥様はサドだったのです。』っす!」
「はい、私とファニーの母親は、父の妾だったんです。
母は元冒険者でして、父と知り合ったのも、
父の商隊を護衛するクエストに参加していてとの事でした。
父に見初められた母は、冒険者を引退して妾となったのですが、
妹を産んだ後の、産後の肥立ちが悪くて亡くなってしまい、
他に身寄りが無かった私達は、父に引き取られたのです。」
「なる程な、それで本妻さん達の当りが強いって訳か」
「でも、奴隷商に売るのは酷いっす!」




