打ち上げ
「「「「「カンパ~イ!!」」」」」
王都の冒険者ギルド内にある、
打ち合わせ場所を兼ねた酒場に、
ヒデブの街から王都までの、護衛クエストを無事に終えたロック達が集まって、
祝杯を挙げている、
18歳までは酒を飲まないと決めているロックと、未成年のウィル、
そして、何故か参加をしている、
ガッポリ商会の娘であるカネーは果実水で乾杯をしていた。
この光景を見れば分かる様に、
ガッポリ商会の商隊は、無事に王都へと辿り着き、
ロックとウィルの、初護衛クエストは大成功にて終える事となった。
商隊のリーダーである、ガッポリ商会の副会長ゼニーオ・ガッポリより、
護衛クエスト完了のサインを貰ったロックらは、
その足で、王都の冒険者ギルドへと向かって、
クエストの完了報告と報酬の受け取り、
『シャッキーン・バード』の討伐の報告と、素材の売却、
そして、盗賊団の討伐の報告を行った。
運が良い事に『シャッキーン・バード』と盗賊団には討伐依頼が出ていたので、
ロック達は、その分の報酬も受け取る事となり、
最終的な収入金額は、新人冒険者パーティーとしては考えられない、
一人頭1200万ギルと破格な値段に跳ね上がった。
「俺達、こんなに貰っても良いのかな?」
「まあ、正当な報酬なんだから、
運が良かったと思って、無駄遣いを控えるんだな」
「でも、良い武器と防具は欲しいよな」
「仕事に役立つ物になら、多少は使っても良いんじゃない?」
「ああ、折角、そこそこの金持ちになったのに、
クエストで死んじまったら詰まんないからな」
「皆さん、それはフラグって言って、
本当になり易いから、気を付けた方が良いですよ」
「要注意っす!」
「おいロック!折角、気持ち良く飲んでんだから、
縁起が悪い事を言うんじゃねぇよ!」
「ワレラさん、このクエストが終わったら結婚するとか、
田舎に帰って畑仕事をする予定は無いですか?」
「テンプレっすね!」
「ねぇよ!」
「ブルース達とオス☆カル達は、帰りはどうするんだ?」
「私達は、暫くの間、
王都に留まって観劇三昧ね」
「俺達は、仲間のスタロンが、
タワバの街で開かれる拳闘大会に出場するから、
皆で、その応援に行くんだ」
「エイドリア~ン!」
「だから、何っすかソレ!?」
「ああ、エイドリアンっていうのは、
スタロンが可愛がってるカメの名前なんだよ、
クエストなんかで、何日か離れていると、
時々、この発作が起きるんだ」
「一緒に連れて歩けば良いんじゃないんですか?」
「それが、『温泉ガメ』って種類のカメなんだけど、
温泉のお湯でしか生きられないもんだから、
ヒデブの街にある『ジゴクノカマ亭』に預けて来たんだ」
「あっ、俺達『ジゴクノカマ亭』に泊まってますよ」
「常宿っす!」
「お前達、ルーキーなのに良い宿に泊まってるな~」
「あら、ロック君達はルーキーだけど、
ヒデブの街の、冒険者ギルドの稼ぎ頭なんだから、
良い宿に泊まってるのは、当たり前じゃないのよ」
「何!?って事は、バフンキノコを発見したのはロック達なのか?」
「レック兄ィ、皆さんになら話しても良いかな?」
「リークっすね!」
「ああ、こいつらなら大丈夫だぞ」
「では、皆さんには話しますが、
確かにバフンキノコを見付けたのは、俺とウィルですね、
でも、俺達が採取したのは最初の何個かだけで、
後の権利は冒険者ギルドに移譲したんで、
それ程は、儲かっていませんよ」
「富の独占は厳禁っす!」
「ああ、お蔭様で、
俺達も稼がせて貰ってるよ」
「ええ、ロック君とウィル君には、
足を向けて寝られないわね」
「いや~、偶々、運良く見つけただけなんで、
気にしないで下さいよ」
「ラッキーっす!」
「それよソレ!何かロック君達って、異様に幸運に恵まれているわよね」
「でも、俺って戦闘系のスキルとか魔法を持っていませんよ?」
「投擲と土魔法っすよね」
「そのスキルや魔法を、あそこまで高められるのが幸運なのよ、
普通だったら、冒険者にも成れずに田舎で一生を終えるのが当たり前なんだから」
「確かに環境には恵まれていましたね」
「奇跡の村っす!」
「ああ、ホワタ村だっけ?
確かに、あの村出身の冒険者が一流になったり、
騎士になったりしてるって聞いた事があるな」
「ここ数年で急に聞く様になったわよね」
「アレは、ロックが作った冒険者育成カリキュラムで、
村の子供達を鍛え始めてからなんだよ」
「えっ!?レック、
ロック君が作ったカリキュラムって、
一体、ロック君が何歳の時に作ったのよ?」
「あれは、俺が13歳の頃だから、
ロックが8歳ぐらいの頃だな」
「いやいやいや、8歳が訓練内容を決めるって在り得ないだろう」
「当時のロックは、既に見た事も無い様な土魔法を使って、
村にトレーニング・コースを造っていたぜ」
「はぁ・・・やっぱり天才って言うのは、
子どもの時から天才なんだね」
「いえいえ、天才だなんて、
俺なんか、ちょっと小器用な子供ですよ」
「ロック先輩って謙虚っすね」
「「「「「それは無いな!」」」」」




