金運万歳
「おいレック、『収納』は分かるんだが、
『解体』ってのは何なんだ?」
ブルースが、レックに尋ねる
「ロック君のアイテムボックスって『解体』機能付きなの!?」
オス☆カルがビックリした様子で声を上げた。
「オス☆カルは知ってるのか?」
「ええ、極稀になんだけれども、
アイテムボックスに入れるだけで、魔獣なんかを素材に解体出来る能力を持った人が、
居るって聞いた事があるのよ」
「何だ、そのウラヤマ能力は・・・」
「ホントよね、全ての冒険者にとって垂涎の能力よね」
「全くだぜ、
だがレックよ~、俺は不思議なんだがな、
何故、ロックを自分のパーティーに入れなかったんだよ、
その戦闘能力といい、冒険者として役立つ能力が満載の才能といい、
パーティーに入れれば、かなりの戦力アップが見込めただろうに」
「ロックの力を良く知ればこそだよ」
「どういう事だ?」
「ロックの才能は、初心者の冒険者パーティーに納まるもんじゃ無いからな、
直ぐに、持て余してしまうのが目に見えるんだよ、
実際問題として、ソロでは考えられない程の実績を上げ始めてるだろ」
「ああ、そう言えば、最近ギルドで話題の『バフンキノコ』を見付けたのも、
ロック君達なんだってね」
「ああ、良く知ってるな、
ギルド職員には箝口令が敷かれているから、
冒険者で知る者は、殆ど居ない筈なんだがな」
「その辺は、蛇の道は蛇ってね」
「まあ、お前達なら大丈夫だと思うが、
くれぐれも他には漏れないように頼むぜ」
「分かってるわよ」
「おう」
「う~む、お前達になら、
これも話して置いても良いかな」
「まだ何かあるのか?」
「何よ?気になるじゃ無いのよ、聞かせなさいよ」
「じゃあ、秘密にして貰う事を前提として話すが、
今回の護衛クエストで、ゼニーオさんとこのガッポリ商会が運んでいる積荷だがな、
ありゃ、ロック達が討伐した『ベヒモス』なんだよ」
「「ベヒモス!?」」
「シ~ッ!2人とも声がデカいぞ、
誰か様子を見にでも来たら、聞かれちまうじゃないか」
「ベヒモスって、あのベヒモスだよな」
「俺は、一つしか知らんがな」
「A級魔獣のベヒモスよね」
「ああ、そのベヒモスだな」
「ロック君達の強さは普通じゃ無いとは思っていたけど、
まさか、それ程だったとは驚いたわ・・・」
「まあ、本人達が言うには、
運が良くて偶々倒せたって事だがな」
「あれ程の力を持ちながら、運まで良いってんじゃ、
将来が末恐ろしい限りだがな」
「まったくを持って同感だわ」
「うおっ!?」
その時、『シャッキーン・バード』の死体を、
アイテムボックスへと『収納』しながら『解体』をしていたロックが、
驚きの声を上げた。
「どうしたんだ?ロック」
「ああレック兄ィ、今、『解体』した素材を見てみたんだけど、
『シャッキーン・バード』の羽根や皮、肉、油なんかの他に、
お腹の中に飲み込んでいたんだと思うんだけれど、
大金貨、金貨、銀貨なんかが合わせて、約1億5千万ギル分も出て来たんだよ」
「ボロ儲けっす!」
「「「1億5千万!?」」」
「うん、ビックリだよね」
「夢かも知れないっす!」
「強運も極まれりだな」
「全くだぜ」
「そう言えば、最近、王都にある大商会の商隊が、
大商いの帰りに魔獣に襲われたって聞いたわね」
「そういう場合って、その商会に返さなくちゃならないのかな?」
「ガメるっすか?」
「いいや、コイン一つ一つに名前が書いてある訳じゃ無し、
魔獣にしても、盗賊にしても倒した者の物だぜ」
「今回の護衛クエストにしても、
そういう約束になってるから、その金は貰っても問題無しだな、
ロックには申し訳無いが、護衛クエスト中の素材は山分けの契約になってるから、
冒険者の頭割りにはなるがな」
「それは、当たり前だから大丈夫だよ、
レック兄ィ達が倒した魔獣の素材も分けて貰ってる事だしね」
「仲良く山分けっすね!」
「ああ、助かるよ」
「クエスト報酬より多いって、
どんだけ幸運なんだよ」
「ここは、ロック君の強運に肖らせて貰おうかね」




