鑑定士
「それで、その薬草の話よりも、
ヘビーな話って言うのは何なの?」
モモエが、ロックに尋ねる
「実は、ハバラ村の近くにゴニョゴニョが出まして・・・」
「出たっす!」
「えっ?今、何が出たって言ったの?」
「ゴニョモスです。」
「ちょ~デカかったっす!」
「えっ?良く聞こえないから、もう少しハッキリ言ってよ」
「ベヒモスです!」
「陸の王者っすね!」
「ああ、そうベヒモスが・・・って、ベヒモス~!
た、た、大変じゃないのよ!は、早く王都のギルドに連絡取って、
S級の冒険者を手配して貰わなくちゃ!」
「ああ、そのベヒモスは倒したんですよ」
「サクッとっす!」
「ええ~と、それから、S級の人が来るまでは、
街道を閉鎖して~・・・えっ?今、何て?」
「ですから、ベヒモスは、もう倒したんですよ」
「美味かったっす!」
「何を言ってるのよ、
ロック君達が、いくら強いと言っても、
たったの2人で、ベヒモスなんて倒せる訳が無いじゃないの!」
「正確には、ドボルさんも含めて3人で、ですがね」
「止めを刺したのは、ドボルさんっす!」
「私は、聞いた憶えが無いんだけど、
その、ドボルって人は、腕が立つ冒険者とか騎士なの?」
「いえ、ハバラ村の農夫の人です。」
「野菜作りのスペシャリストっす!」
「農夫って・・・ああ~!分かったわよ、
あなた達、2人して私を、からかおうって言うんでしょ?
ダメよ、人を騙そうって言うなら、
もっと、本当っぽい話をしなくちゃ」
「いえ、嘘とか冗談で無い事は、
これを、見てくれれば分かると思います。」
ロックは、アイテムボックスから、
ベヒモスの指の骨を取り出すと、
会議室の机の上にゴン!と乗せた。
「えっ!?形からすると指の骨みたいだけれども、
長さが1メートルぐらいも、あるって・・・」
「ええ、ベヒモスの指の骨ですね、
他にも、全身の骨や革、それに肉も素材として、
アイテムボックスに入れてあるから、お見せする事が出来ますよ」
「フルセットっす!」
「そう、他の素材も揃ってるの・・・
一応、本物かどうか確かめる為にも、
ギルド所属の鑑定士に見て貰っても良いかしら?」
「ええ、良いですが、ここじゃ無理ですよね」
「床が抜けるっすね」
「ギルドの裏手に、一般の人とか冒険者の目に、
触れてはいけない物を入れている収蔵庫があるから、
そこで、出して見せてくれるかしら、
私は、収納庫の入り口の鍵を取りに行くついでに、
鑑定士に声を掛けて一緒に向かうから、ロック君達は先に行っててくれる」
「分かりました。」
「了解っす!」
ロックとウィルが、ギルドの入り口のドアを出てから、
建物の裏手の方へと向かうと、
余り目立たない佇まいをした倉庫っぽい建物があったので、
その前で、待つ事とした。
「やっぱり、予想した通りの大事に、なっちゃったな」
「そうっすね」
「ベヒモスって、それ程に珍しい魔獣なのかな?」
「自分が聞いた話では、300年くらい昔に、
コウガ王国、当時はフェルナリア皇国っすけど、
そこに、現れたベヒモスを英雄の人が退治したって、
水妖精王様が言ってたっす」
「英雄?それは、勇者とは違うのか?」
「そうっす!魔王を倒した人が勇者で、
それ以外で、世界を救う働きをした人が英雄っすね、
現在で言えば、マッスル王国のライ国王様が勇者で、
コウガ王国のサスケ国王様が英雄っすね」
「ライ国王様が、魔王を倒したのは分かるんだが、
サスケ国王様は、何をして英雄と成られたんだ?」
「世界的な流行の兆しを見せていた『魔王熱』っていう
恐ろしい病を食い止めたそうっす!
何でも、水を媒介とした病だったそうで、水妖精王様も感染されてしまい、
その、お命が危なかったそうなんすけど、
サスケ国王様のお蔭で助かったんだそうっすよ、
だから、全ての水妖精に取って、コウガ王国のサスケ国王様は大恩人なんっす!」
「へ~、凄い人なんだな、
おっ、やっと来たみたいだぜ」
ロックの目に、何者かを伴ったモモエが、
こちらへと歩いて来るのが映った。
「2人とも、お待たせしたわね、
彼が、ここのギルドに所属している鑑定士よ」
ギルド専属という鑑定士の男性は、
見た感じ、軽そうな雰囲気を持った初老のオッサンである
「こんにちは、デカプリオです。
あっ、違うか!オホホホホホッ!」
「何で、デカプリオ知ってるんだよ!」
「レオ様っす!」
「バカ言ってないで、ちゃんと自己紹介しなさいよ!
もう、仕方が無いわね~、
彼の名前はモーカリマッカよ、こう見えても鑑定の腕前の方は確かだから、
信用して貰っても大丈夫よ」
「どうも、俺は冒険者のロックです。
よろしく、お願いします。モーカリマッカさん」
「ちぃ~っす!自分はウィルっす!」
「どうもどうも、これは、ご丁寧に、
私は、モモエさんからも、ご紹介を頂きましたが、
モーカリマッカ・ボチボチ3世です。
3世って言っても、ご先祖は大泥棒じゃ無いですよ」
「だから、何で知ってるんだよ!」
「ふ~じこちゃ~んっす!」




