大改造
「そんじゃ、次の魔法に行きますね」
「ネクストっす!」
「おう、頼むわ」
「ドボルさんは、連作障害ってのを、ご存じですか?」
「作者急病の為ってヤツっすか?」
「何だ、そりゃ?」
「畑で作物を育てる時に、
同じ物を続けて植え付けると、出来が悪かったり、
育たなかったりする事がありませんか?」
「俺達は腐ったミカンじゃねぇっす!」
「ああ、あるある、
そう言う場合は、違う物を植えると良くなる事とかがあるな」
「ええ、その原因なんですけど、
作物っていうのは、その種類によって、
土から吸収する成分がマチマチなんですよ、
だから、同じ作物ばかりを植えると、
土の中から、同じ成分ばかりが吸収されてしまい、
土の成分のバランスが崩れてしまうんです。」
「バランスは大事っすね」
「へ~、そんな原因があったのか」
「そこで、役に立つのが『壌改』の魔法です。」
「土壌改良の略っすね」
「その魔法を使うと、同じ作物を続けて植えられるのか?」
「そうです。」
「おお~!っす」
「そりゃ便利だな、イチイチ畑の植え付け方や、
肥料を変えなくて済むからな」
「そうですよね、
では、さっそく『壌改』の練習に入りますが、
特別、難しい魔法という訳では無くて、
一番大事な事は、魔法を発動させる際のイメージになります。」
「それが一番大事~♪っす」
「イメージ?」
「はい、畑の土が作物に取って、
最適になる様にイメージするんですよ」
「グッドですよ~っす」
「そりゃまた
えらく抽象的な魔法なんだな」
「ええ、一般の人では大変だと思いますけど、
俺とか、ドボルさんみたいに、
適応職種が農夫の場合は補正が入るから大丈夫ですよ、
作物に取って育ちやすい土になる様に思いながら、
魔法を発動すれば、自動的に補正してくれます。」
「全自動っす」
「マジか!?」
「ええ、取り敢えずは、
実際に、やって見せますから、
発動までの流れなんかを見ていて下さい。」
「括目せよっす!」
「おう、分かった。」
「まずは、畑の土に、こう両手を着きまして、
魔法を発動させる範囲を設定します。
この際に、範囲が広すぎたり、地中深くまで設定してしまうと、
とんでもない量の魔力を消費してしまうので、注意が必要ですね、
そうですね・・・最初は10㎡で、
深さ50センチぐらいにした方が良いと思います。」
「ズバリ要点っす」
「分かった。」
「そこで、いよいよ魔法を発動させる訳なんですけど、
作物に取って快適な環境の土壌になる様にイメージすれば、
農夫の職業が補正してくれるんですよ、
じゃ、やってみますよ・・・『壌改』っと」
サスケを中心として、10㎡程の範囲の土がホンワカと湯気を上げた。
「土がホカホカっす!」
「ああ、土の質も軟らかくなった感じだな」
「どうですかね?
ドボルさん、感じは掴めましたか?」
「グッと来てパ~ンっす!」
「ああ、何となくだがな」
「では、実際にやってみましょう」
「レッツトライっす!」
ロック達3人は、ロックが魔法を使った場所から少し移動をすると、
今度は、ドボルが魔法を使ってみる事とした。
「よし、じゃあ、やってみるぞ、
作物が育つのに良い、土になる様にイメージして・・・『壌改』どうだ?」
今度は、先程のロックの時とは違って、
土から湯気が上がっていなかった。
「ちょっと調べてみるんで、待って下さいね」
ロックは腰を下ろして、畑の土を摘まみあげると、
パクリと口の中へと放り込んだ
「土の味で分かるのか!?」
「美味いんっすか?」
「ええ、一番分かり易いですね、
あとウィル、美味い訳無いだろ、
俺はミミズじゃ無いんだから」
「それで、どんな感じなんだ?」
「そうですね、ちょっと酸性が強い感じかな?
多分、ドボルさんが育てていた作物が、
酸性の土に適したものが多かったからじゃないかと思いますね、
今度は、全ての作物に適するイメージで、やってみてくれますか?」
「おう、全ての作物に適したイメージだな、分かった。
じゃ、やってみるぞ・・・『壌改』今度はどうだ?」
今度は、先程とは違い、ロックがやった時と同じ様に、
土からホカホカと湯気が立っている
「今度は大丈夫そうですね、
一応、確かめてみるんで、ちょっと待って下さいね」
ロックは、同じ様に土を口に含んでみる
「どうだ?」
「合格っすか?」
「うん!良いバランスです。
この土なら、どんな作物でも良く育ちますよ」
「よっしゃ!」
「やったっすね!」
それから、ロックとドボルは2人で手分けして、
畑の土から『抽出』の魔法を使って不純物を取り除くと、
今度は『壌改』の魔法を掛けて、土の質を改良して行き、
そして、2人の後を追い駆ける様にして、
ウィルが、水魔法を使って土に水分を含ませて行くと、
ドボルの畑は、見違える様になった。
「おおっ!
この畑なら、何でも大豊作になりそうだぜ、
ロック、ウィル、ホントありがとな」
「ええ、美味しい作物が出来たら、ご馳走して下さいね」
「ゴチっす!」
「おう!俺に任せろよ!」




