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ギガンテスのスター  作者: シュウ
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自主トレ開始

「よし!さっそく始めてみるか!」

ザンネン神のお告げ(?)があった翌朝、

今一つ信用が置けないとは言え、

一応は神の範疇はんちゅうふくまれるなら、

うそかないだろうと考えたロックは、

自分の体をきたえ始める事とした。


「まずは柔軟体操からだな。」

ロックは、子供部屋の床に座り込むと、

股関節こかんせつ肩肘かたひじの関節をほぐし始めた。


「ロック、床に座り込んで何やってんだ?」

ロックの、すぐ上の兄であるレックがたずねて来る。


「僕も、今日から体を鍛え始めようかと思ってね、

激しい運動の前に、こうして関節を解して置くと、

怪我をしにくいって誰かから聞いたんだよ。」


「へ~、そうなのか、

なら俺たちも、

父さんの訓練が始まる前にやっとくかい、兄貴?」


「怪我をしにくくなるなら、

やって置いた方が良いかもな。」

3男のルックと、4男のレックは戦闘スキル持ちなので、

すでに元冒険者の父マックより、

戦闘訓練を受け始めているのであった。


ちなみに、ロックの父マックと、母ミリアは、

冒険者時代に稼いだ資金で、

この村を、前の村長から買い取って、

新たな村長に収まってはいるが、

田舎の村の近辺では、魔獣が出る事も多く、

今でも、村長自みずからが率先そっせんして、

魔獣の討伐とうばつへと向かっているので、

戦闘の腕前は、現役時代から然程さほどおとろえていなかった。


「ロックも、父さんに訓練してもらうのか?」


「ううん、僕はまだ、

訓練に着いて行ける程の体力が無いから、

自分で出来る事から始めるよ。」


「そうだな、いきなり親父の訓練じゃ、

体がいくつあっても足りないからな。」

「言えてるよ兄貴。」


ひと通り、柔軟体操で体を解したロックは、

まずは軽いジョギングから始める事とした。


村の周囲をグルリと囲む形で、

魔獣避けの防護柵ぼうごさくが立っているので、

その内側を走り始める。


「あれ?」

少し走ると、ロックは自分の体の異常さに気が付いた

まだ5歳の体なので、大分だいぶ軽めに走ってはいたのだが、

全然と言って良い程、息切れや疲れを感じないのだ。


「意外と、この体ってスペック高いのかな?」

ロックは、もう少しスピードを上げて走り始めた。


「うん!やっぱ全然疲れないな!」

しばらく、走り続けてからロックは、

確認が取れたかの様に声を上げた。

身体能力向上のスキルか、

ありあまる体力の所為せいかは分からないが、

肉体的な疲労は考えないで鍛えられる様だった。

しかも、ザンネン神は、

どんなトレーニングをしたとしても、

体をこわす心配は無いと言っていたので、

ロックは、自分で好きなだけ体を鍛えられると言う事であった。


「こりゃ効率を考えて、

魔法も一緒に鍛えた方が良いな。」

ロックは、ジョギングから、

ランニングのスピードへとチェンジしたばかりか、

同時に、足元の土を、土魔法で整地しながら走り始める、

魔力もタップリとあるので、

全然、魔力が切れる兆候ちょうこうも見えなかった。


(いくら、他の人より魔力が多いって言っても、

こんなに使い続けられるものなのか?)


ロックは、ランニングしながら足元を整地して行くが、

既に、土は真ったいらになってしまったので、

土から飛び出している石や、木の根っこなども、

粉砕ふんさいして行った。

ロックが何周かするうちに、防護柵の内側は、

幅2メートル程のランニングコースへと変貌へんぼうしてしまった。


「ふう、今日のとこは、

こんなもんにしとくか。」

一周1キロメートルはある村の周囲を、

既に、何十周と走ったのだが、

ロックは軽い体慣らし程度の認識で居る様だ。


「よし!次は筋肉造りだな!」

ロックは、自宅の裏手に回ると、

父が燃料用のまきを作るために、

森から切り出して来て置いた直径30センチ、

長さ2メートル程の丸太を、

肩にかついでスクワットしたり、

地面に置いて、上半身の力だけで持ち上げたりした。


「ふう、最初だし、こんな物にしとくか。」

1本では物足りなかったのか、

3本の丸太を地面に降ろしながらロックが言った。


「ザンネン神も言ってたけど、

せっかく投擲とうてきスキルがあるんだから、

投球フォームの練習もして置くか。」

ロックは、前世のフォームを思い出しながら、

最初は、ゆっくりと体を動かしてみる、

前世では、1からフォーム造りをしたのに対して、

ロックの場合は、既に頭の中にある完成形のフォームへと、

近付けて行くだけの作業なので、

然程の時間を掛けずに、納得の行くフォームとなった。


「まだまだ、筋肉とか付けなきゃならないけど、

今の段階で、どの程度投げられるのか調べてみるか。」

ロックは、土魔法で野球のボールの大きさ程度の岩球を作ると、

軽く手首のスナップを利かせた程度の強さで、

30メートル程離れた場所に立っている、

直径30センチ程の立木に投げてみた。

バゴ~ン!ドガッ!

ロックが投げた岩は、立木を突き抜けると、

その後ろ20メートル程離れた位置にあった防護柵へ、

大きな穴を開けてしまった。


「えっ!?軽く投げただけなのに何で!?」


「今の音は何だ!?」

大きな破壊音を聞き付けた父が、

大慌てで、け付けて来た。


「うわっ!まずっ!」

ロックは、慌てて逃げ出そうとしたが、

その首をガシッと、父に捕まれてしまった。


「一応聞いてみるが、

あの立木と、防護柵の穴は、お前が開けたのか?」


「うん、ごめんなさい。」


「どうやって、あんな穴を?」


「投擲スキルを確かめてみたくて、

土魔法で造った岩を投げたんだ。」


「ただの岩を投げただけで、あんな穴が開いたのか!?」


「うん。」


「お父さんの前で、

もう一度、やって見せてくれるか?」


「良いの?」


「ああ、柵なんか後で直せば良いから、

思いっきり行ってみろ!」

ロックが、軽く投げた結果が、

ああなったと知らない父親は、

つい、思いっきり投げて見ろと言ってしまった。


「うん!」

ロックは、また岩球を造ると、

大きく振りかぶってから、

立木に向かって思いっきり投球した。


バガッ!メキメキメキ、ズズ~ン!立木は折れて倒れた。


バゴ~ン!防護柵は5メートル程の幅で粉砕した。


キラッ☆岩球は、どこかへと飛んで行って星になった。


「・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・。」



「ちょっと!今の音と振動は・・・何これ!?」

大きな破壊音と振動におどろいて飛んで来た母ミリアが、

その余りの惨状さんじょうに絶句した。


「あ~、ロック、

お前、しばらくの間は全力投球禁止な。」


「うん。」


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