表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ギガンテスのスター  作者: シュウ
36/252

ケモ耳守り隊

「これだけ大きくて密閉みっぺいされた空間なら、

もしかして、やっほ~!」

ロックは、大きな声を出してみる


『やっほ~、っほ~、ほ~・・・』


「お~、やっぱり音が反響はんきょうして、

木霊こだまみたいに聞こえるな、

よ~し、静かな湖畔の森の影から♪」


『静かな湖畔の森の影から、影から、から・・・』


「もう起きちゃ如何いかがとカッコウが鳴く♪」


『もう起きちゃ如何とカッコウ、カッコウ、カコカコカコ』


「何で、先に進むねん!」


『進むねん、ねん、ん・・・』


「・・・・・。」

ロックは、息をひそめて様子ようすうかがっているが、

特別な変化は無かった。


「ただの、気の所為せいだったのかな?

もう、一度確かめてみるか、ある~日♪」


『ある~日、る~日、ひ・・・』


「森の中♪」


『森の中、の中、か・・・』


「熊さんに♪」


『熊さんに、さんに、に・・・』


「出~会った♪」


『ドナドナドナド~ナ、ド~ナ、ナ・・・』


「何でやねん!」


『何でやねん、やねん、ん・・・』


「い~や、もうだまされないぞ、

誰か、柱の裏辺りにかくれているだろ!」


『ギクッ、クッ、ッ・・・』


「ギクッって、口で言ってるじゃん・・・

もう、あきらめて出て来たらどうだ」


『居ませんよ、せんよ、よ・・・』


「いやいや、もう受け答えしちゃってるから」


『しまった、まった、った、た・・・』


「もう、エコー掛ける必要無いでしょ」


「それも、そうじゃな」

柱の影から、白髪しらが頭に、

同じく白くて長いひげやした

仙人せんにんみたいな、見た目のおじいさんが出て来た。


「お爺さん、いつも、

こんな悪戯いたずらをしてるんですか?」


「いやいや、ルーキーが来た時だけじゃな、

脱衣所に人影が見えたもんじゃから、

つい悪戯心がいての」


「ルーキーとはかぎらないんじゃないんですか?」


「こんな時間に風呂に入るのは、

ルーキーぐらいなもんじゃよ、

普通の冒険者だったら、

飲みに出掛けているか、

明日にそなえて寝ているかじゃからの」


「なる程、それで分かったんですか」


「第一、この風呂場には、

音の反響はんきょう五月蠅うるさく無い様に、

反響防止の結界がめぐらされているからな、

普段から利用している連中なら、だまされんのじゃよ」


「へ~、そんな結界があるんですね」


「うむ、ここの女将おかみに頼まれて、

ワシが結界を張ったんじゃよ」


「お爺さんは、魔法使いなんですか?」


「いや、一般的な魔法使いでは無くて、

魔導具を造っとるんじゃよ、

街で『ジョゼ爺ィのマジカルショップ』という

店を出してるから、

何か魔導具を入用いりような時は顔を出してみるんじゃな、

ちなみに、店の名の『ジョゼ爺ィ』は、

ワシの名前のジョゼッペから来て居るんじゃよ」


「はい、その時はお世話になります。

申し遅れましたが、

俺は、ホワタ村から冒険者になる為に、

この街へ来たロックと言う者です。

ジョゼッペさん、今後ともよろしくお願いします。」


「ワシの事は、ジョゼ爺ィと呼べば良いぞ、

他のもんも、そう呼んどるからな、

それはそうと、ホワタ村のロックと申したか?

もしかして、ラックやリック達と・・・」


「はい、兄弟です。

俺が一番下の、5男坊になります。」


「ほう、そうかそうか、

あやつらの弟なら、将来の見込みは十分じゃな」


「ジョゼ爺ィさんは、兄達の事を良く知ってるんですか?」


「うむ、2人とも、

この街で、冒険者としての腕を上げてから、

巣立って行き居ったからな、

そうじゃ、お主はリックの冒険者パーティーの名を、

知って居るかの」


「ええ、確か『ケモ耳守り隊』ですよね」


「そうじゃ、今は、

そう名乗って居るが、

もともと々のパーティー名は『神々の黄昏ラグナロク』と、

名乗って居ったんじゃよ」


「へ~、そうなんですか」

(どう考えても、その方がマシだと思うんだが・・・)


「ところが、ある日の事じゃが、

仲間の故郷こきょうの村が、A級の魔獣におそわれての、

この街の冒険者ギルドにも救援要請きゅうえんようせいが来たのじゃが、

お主も知っての通り、この村の冒険者は低級な者ばかりじゃ、

A級魔獣など、とてもじゃないが対処のしようが無かったんじゃよ、

しかし、リック達は仲間の故郷を見捨てる事が出来なかったんじゃな、

皆で、禁断の魔導具を身に付けると、

魔獣を討伐とうばつするために、村へと向かいおった。」


「それで、魔獣は討伐出来たんですか?」


「うむ、かなりギリギリの戦いであったが、

魔導具のお蔭もあって、何とか倒せたんじゃ」


先程さきほど、禁断の魔導具とおっしゃっていましたが、

それは、どの様な物だったんですか?」


「その魔導具は、頭に装着そうちゃくするんだが、

数時間の間、攻撃力と防御力を1000増やすんじゃよ」


「それは凄いですね!?」


「しかし、恐るべき副作用ふくさようがあっての、

装着したが最後、一生ケモ耳しか愛せなくなって、

しまったのじゃ・・・」


「そんな、恐ろしい副作用が・・・」


「うむ、サルで実験した時は、

何とも無かったんじゃがな」


「あんたが造ったのかよ!

人の兄貴に、何してくれちゃってるの!?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ