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ギガンテスのスター  作者: シュウ
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スキルの有用性

「はぁ・・・」

(ザンネンの運命から逃れたんじゃ無かったのかよ・・・)

両親と共に、ホワタ村へと帰ったロックは、

子供部屋のベットに腰掛けると、

深く、ため息をいた。


「そう、落ち込むなよロック。」

「そうそう、戦闘スキルが無くても、

冒険者をやってる人は結構居るぜ。」

ロックの兄の、ルック14歳とレック10歳が、

なぐさめの言葉を掛ける。


教会でおこなった『神の祝福の』によって、

前世の記憶がよみがえったロックであったが、

さいわいにもロックとして生きて来た5年間の記憶は、

そのままだったので、

家族が分からなくなって困ると言う事は無かった。


ちなみに、ロックは5人兄弟の末っ子で、

長男のラック18歳と、次男のリック16歳は、

すでに冒険者として活躍している。


「でも、一流と呼ばれる人達は、

皆、戦闘スキル持ちでしょ?

実際に、ラックぃとリック兄ぃだって、

パパから大剣のスキルを受け継いだから、

あの若さで活躍してるじゃない。」

村を出て、大きな街で冒険者デビューした兄たちは、

それぞれの冒険者パーティーで、

前衛職ぜんえいしょくとして活躍していると、

定期的に村をおとずれる、行商のオジサンから聞いたのだ。


「そりゃ、兄貴たちは、

子供の頃から、親父にミッチリとしごかれていたからな、

あれだけ扱かれて、剣の腕が上達しなきゃウソだぜ。」


「それに、ルック兄ぃもパパから大剣スキルを、

レック兄ぃはママから弓矢スキルと火魔法を受け継いだから、

冒険者になれば、引く数多あまたが間違い無いじゃん・・・」


「まあ、そりゃそうだけどな。」

「俺たちのスキルは一番オーソドックスだからな、

まあ、需要じゅようが多いのは否定出来ないな。」


「僕なんか、身体能力向上と投擲とうてきスキルだよ?

体をきたえたとしても、

後ろから何かを投げる事しか出来ない後衛こうえいに、

どんな需要があるって言うの?」


「そ、それはアレだよ、なあ!」

「お、おう!後ろから短剣とか投げて牽制けんせいするとか・・・」


「そんなの、魔法で攻撃した方が効果的じゃない。」


「で、でも、ほら、ロックだって、

土魔法が使えるんだろ?

なら、ロックバレットとかで攻撃出来るんじゃ無いかな?」


「ママから聞いた話じゃ、

ロックバレットはスピードが遅いから、

動きが早い魔獣には当たらないし、

動きが遅い魔獣は、

大概たいがい、体が硬いから効果が薄いって言ってたよ。」


「おふくろってば、そんなホントの事を、

お前に言ったのか!?」


「やっぱり、土魔法は冒険者向きじゃ無いんだ・・・」


「うっっ・・・、

ま、まあ一般にそう言われているけど、

冒険者になる、使い手が少ないだけで、

その有用性が知られていないだけかも知れないから、

ロックが、戦闘での使い道を発見すれば良いじゃないか。」


「土魔法の、戦闘での使い道か・・・

僕の知識で考えられるのかな?」

(この世界の知識水準は、現代日本と比べたら、

かなり低いものみたいだけど、

日本で硬太郎として生きて居た頃は、

物心が付いた頃から、野球漬けの生活だったから、

勉強なんてしなかったもんなぁ・・・

ハッキリ言って、高校の入学試験だって、

名前だけ書いたら合格にしてくれたし・・・)


「お、おい、ロック、

魔法の使い方は、おいおい考えるとして、

まずは、体を鍛える事から始めたら良いんじゃないのか?」

突然、黙り込んでしまったロックに気を使ったのか、

レックが提案して来た。


(そうか、体の鍛え方なら色々な知識があるからな、

取り敢えずは、体造りからやって、

戦闘スタイルに付いては後から考えるか。)

「うん、分かったよ、レック兄ぃ。」


「そうか、良かった。」

「そうだな。」

ルックとレックは、ロックの表情が明るくなったので、

ホッとしている様だ。


(でも、子供の頃の筋トレって良く無いんだったっけ?)



その夜、

ロックがベットへと入って眠ろうとしたところ、

突然の金縛かなしばりがロックの体を襲って、

頭の中にヤツの声が聞こえて来た。

『5年振りの、おひさ~硬太郎くん、

ああ、今はロック君だっけ?

あたなの味方、ザンネン神です。』


「・・・!・・・!」


『ああ、今はしゃべれないけど、

頭の中で考えれば、僕に伝わるよ。』


(おい!こら!ザンネン神!

お前、どのつら下げて、俺んとこに現れやがった!)


『向こうの世界で、

君の命を奪った事は、確かに申し訳無かったけど、

でも、ああしないと、

君がザンネンな運命から逃れられなかったんだから、

仕方が無いじゃないか。』


(でも、生まれ変わった

こっちの世界でもザンネンな事になってるぞ!)


『それは、偶々(たまたま)だよ、

ちゃんと君は、ザンネンな運命からは逃れているから、

安心してくれて良いよ。』


全然ぜんぜん、結果がともなっていないのに、

安心出来るか!)


『でも、君はザンネンだって考えているみたいだけど、

君が授かったスキルだって捨てたもんじゃないよ、

身体能力向上スキルは、

体を鍛え上げれば、他の人の数倍の速さで強くなれるし、

体に障害が出ない仕様になってるから、

その年から鍛え始めてもガンガン強くなれるよ、

それに、投擲スキルにいたっては、

君の専門分野じゃないか、

硬くて重い物を、強く高速で投げれば、

その破壊力は、計り知れないと思うけどな。』


(そうか!

土魔法でロックバレットを飛ばすんじゃなくて、

出来るだけ硬く重く作った岩を、

鍛え上げた体で投げた方が強力かもな。)


『そうそう、要は君が発想力を使えば、

ザンネンに見えるスキルだって有用性があるって事さ。』


(まあ、今回については礼を言っといてやるよ、

それで、今夜は何しに出て来たんだ?)


『君が、余りにもガッカリしていたから、

ちょっと『神の祝福の儀』の補足説明にね、

あの儀式では、

スキルと魔法と職業適性しか分からないから、

君が、他の人たちより優れているところが分からないんだよ、

冒険者となって、ギルドカードを作れば分かるんだけど、

君は、他の人たちより、体力や魔力にひいでているんだ。』


(体力や魔力?)


『具体的な数値で説明すると、

一流冒険者と呼ばれる人のうち、

戦士の人の体力が500、

魔法使いの人の魔力が1000だとすると、

君は5歳にして体力が800、

魔力に至っては3000もあるのさ。』


(え~と、それって何か良い事なのか?)


勿論もちろんだよ!

体力と魔力が高いって事は、君が体を鍛えたり、

魔法を練習したりしても疲れにくいって事なんだから。』


(ああ、他の人より訓練が多く積めるって事か。)


『そう言う事、

君は、この世界の人たちよりも、

効率的に体を鍛え上げる方法を知ってるんだから、

あっと言う間に、

世界でもトップレベルの肉体を手に入れられるよ。』


(おおっ!向こうに居た時以上の体に成れるのか、

そりゃ、楽しみだな!)

1日置きの更新となります。<(_ _)>

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