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ギガンテスのスター  作者: シュウ
29/252

ウッカリ屋にて・・・

「おっ、ここかな、

『鍛冶師ウッカリーのウッカリ屋』

どうやら、間違いは無さそうだな」

ロックは、3バカと別れた後、

ウッカリーの店の場所を、

街の住民に、何度かたずねながら、

やっと到着とうちゃくする事が出来た。


それというのも、ウッカリーの店は、

表通りから、何本も入った裏手にあり、

地元の住人でなければ、

通り過ぎてしまいそうな、

路地の奥に、店を構えていたからである。

「あの3バカ、

よく、こんな目立たない場所にある店を知ってたな」


ロックが見た所では、

店は年季ねんきが入っていて古ぼけているものの、

掃除そうじの手は行き届いている様子で、

店の表には、チリ一つ落ちていなかった。

「確かに、地味な表構おもてがまえだけど、

清潔感せいけつかんがあって、良い雰囲気ふんいきの店だな」


ロックが、店のドアを開けて、

中へ入って見ると、

ドアにぶら下げられたカウベルが、

カランカランと軽やかに音を発てた。


「いらっしゃい」

その音を聞き付けたのか、

店の奥から、背が低くガッチリとした体型の男が出て来る。


(おお!初ドワーフだ!)


「こんにちは、

武器と防具を見せて頂けますか」


「おう、うちは武器と防具の店じゃからな、

遠慮えんりょしないで、ジックリと見てって良いぞい、

にいちゃんは、見た所、ルーキーの様じゃが、

よく、ワシの店の場所が分かったのう」


「はい、本日、

ホワタ村から、この街に来て、

冒険者登録をしましたロックと申します。

こちらの、お店の事は、

同じ村のジョセフさんに、お聞きしてりましたので、

街の方達に、お尋ねしながらまいりました。」


「何、ジョセフのヤツから聞いたじゃと?

あやつが、うちの店を紹介するぐらいなら、

ロックと言ったか?

お前は、なかなか々に将来しょうらい有望ゆうぼうな様じゃな、

ジョセフのヤツは、元気でやってるのかの?」


「はい、ジョセフさんは近隣きんりんで一番の猟師であり、

俺の狩りの師匠ししょうです。」


「そうか、あやつに仕込まれたなら、

ロックは、狩りの腕前もカナリの物じゃな、

それで、今日はどんな品物が欲しいんじゃ?」


「俺の戦闘スタイルは、

基本的に遠距離攻撃なんですが、

敵に接近されたさいには、近接戦闘もこなすので、

動きやす革鎧かわよろいと、

ショートソードが欲しいんです。」


「ほう、若いヤツらは、

あれこれと目移めうつりするのが普通なんじゃが、

ロックは、自分の戦闘スタイルを、

ちゃんと、イメージ出来ているんじゃな」


「ええ、ジョセフさんからは、

魔獣などと戦う時には、

どう動けば、自分が戦い易いかイメージしながら、

戦えと言われてましたので、

自然と、自分の向き不向きが分かる様になりました。」


「ほう、ジョセフのヤツめ、

ちゃんと、師匠をして居る様じゃな」


「ええ、沢山たくさんの事を教えて頂きました。」


「予算は、どのくらいなんじゃ?」


「500万ギルまでなら出せます。」


随分ずいぶん気前きまえが良いんじゃな、

普通は、ルーキーの装備なら100万ギルも出せば、

十分に、上等な物がそろえられるぞい」


「ええ、子供のころから、

今日という日にそなえて、

狩った獲物えものの代金などをめていましたので、

まだまだルーキーですが、

最初だからこそ、装備にはシッカリした物をと思いまして」


「フォフォフォ、ジョセフは、

良い弟子でしを持った様じゃな、

その、初期装備にたいしての発想はっそうは、

先輩冒険者からさとされて、初めて気が付くもんなのじゃがな」


「いえ、俺なんて、

まだまだ、これからなんで、

ウッカリーさんも、

俺の事で、何かお気付きになった点が御座ございましたら、

指導しどう鞭撻べんたつほどよろしくお願いします。」


「ロックは、まだ若いのに、

話し方がかたいのう、

まるで、騎士の連中と話してる様じゃわい」


「すいません、

職人しょくにんの方と言うと、

どうしても、気難しい方が多いイメージですので、

俺も緊張きんちょうしてしまいました。」


「まあ、自分の仕事にほこりを持って居る者は、

そういうヤツも多い様じゃな、

しかし、所詮しょせんは一級品と言えども道具は道具じゃ、

使われてこそ、その真価しんか発揮はっき出来るのだからな、

お客様商売という事を忘れては、

いつまでも、良い物を作り続ける事など出来まいてのう」


「はあ・・・そうですね、

確かに、ウッカリーさんがおっしゃる通りだと思います。」


「フォフォフォ、ついついかたってしまった様じゃな、

それで、ロックが欲しいのは、

革鎧とショートソードじゃったな、

革鎧は、一先ひとまず置いておいて、

ショートソードは、これで、どうじゃ?」

ウッカリーは、たなに置いてあった

一振ひとふりの剣を手に取ると、

ロックへと、差し出した。


「抜いて見ても良いですか?」

ロックは、剣を受け取ってから、

ウッカリーに尋ねた。


勿論もちろんかまわんぞい、

抜いて振って見るが良いぞい」


「では、失礼して」

ロックは、剣をさやから抜くと、

まずは刃の部分をながめて見た。


(これは、とても切れ味が良さそうだな、

それに、この美しい刃の造り方は、

もしかして・・・)


「ウッカリーさん、この剣の刃って、

中央の部分と、その両側の部分で、

別の金属が使われているんですか?」


「ほう、良く気が付いたのう、

確かに、その刃は、

中央の部分が『黒魔鋼こくまこう』で、

それを、はさむ様な形で、

普通の『魔鋼』を使こうて居るわい」

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