白く光り輝く・・・
「さってと~、レック兄ちゃんとの約束の時間には、
まだまだ、余裕があるから、
武器や防具を見に行ってみようかな」
ロックは、ヒデブの街での暮らしに、
慣れるまでの間、
兄レックの冒険者パーティーに、
加えて貰う予定となっていたのであるが、
あらかじめ連絡を取って決めて置いた時間までは、
まだ余裕があったので、
ジョセフに紹介された鍛冶屋を訪れてみる事とした。
「確か、『鍛冶師ウッカリーのウッカリ屋』だったよな」
「おい!」
「鍛冶屋ってぐらいだから、
店頭に剣とか防具が飾ってあるのかな?」
「おい!お前だよ、お前!」
「誰かに、店の場所を聞いた方が早いかな?」
「無視してんじゃねえよ、そこのルーキー!」
「俺?」
ロックは、ルーキーと呼ばれて、
漸く、自分が声を掛けられている本人だと気付いた。
ロックが、声が聞こえた方へと振り返ると、
そこには、趣味が悪い金ピカの軽鎧に身を包んだ
3人の男たちが立っていた。
「俺に何か用ですか?」
「おう、お前のカッコからすると、
この街に、冒険者になる為に来たばかりの新人だろ?
俺達が、カッコイイ防具や剣が売ってる店を紹介してやるから、
一緒に付いて来いよ」
「俺達の軽鎧カッコイイだろ?」
「剣だって、この通りだぜ!」
剣を抜いて見せるが、
拵えは金ピカで立派そうに見えるものの、
肝心の刃の部分はナマクラにしか見えなかった。
「いえ、間に合ってます。」
「そうそう、新人は素直に・・・って、おい!
お前、もしかして、
今、断ったのか?」
「ルーキーが、先輩の好意を断るなんて、
あり得んだろ!」
「そうだそうだ、俺達に紹介料が入らないだろうが!」
「「お前は、もう黙ってろ!」」
「お、おう。」
「あの~、俺は、
もう行って良いかな?」
「「良いわきゃ、無いだろ!」」
「・・・・・。」
「武器や防具だったら、
もう、お世話になる店が決まってるんで・・・」
「何!?どこの店だ?」
「ウッカリーさんの店です。」
「ああ、あの地味な武器や防具ばっかり、
売ってる店かよ」
「あんな地味な防具じゃ目立たないよな」
「・・・・・。」
(こいつらアホなのか?
目立ったら魔獣に狙われるだろうが・・・)
「じゃ、そう言う事なんで、
俺は、この辺で・・・」
「「待て!」」
「・・・・・。」
「何なんですか、
まだ、俺に何か用があるんですか?」
「あるに決まってるだろう!
折角、俺たちが店を紹介してやるってんだから、
そっちで買えば良いんだよ」
「そうそう、
ルーキーは先輩に言われたら、
黙って言う事を聞いてれば良いんだよ」
「・・・・・。」
「俺はもう、ウッカリーさんの店で買うって決めてるんで、
先輩方、
ここは、大人しく行かせてくれませんかね」
「強情なヤツだな」
「おう、先輩として指導が必要だろ」
「・・・・・。」
「「お前も、何とか言えよ!」」
「もう、話して良いのか?」
「「良いよ!」」
「おい、お前!
生きて帰れると思うなよ!」
「「悪過ぎだろ!」」
「どうやら、大人しく行かせてくれそうには、
無い様ですね」
「当たり前だろ!
お前には、俺たちが先輩としてキッチリと、
躾ってヤツをしてやるから、
覚悟するんだな」
「泣いたって、許してやらないからな」
「ここを通りたければ、
俺達を倒してから行くんだな!」
「「お前、それはフラグだろ!」」
「そ、そうか?
じゃあ、俺達のバックには、
凄い人が付いてるんだぜ?」
「「それもだ!」」
「あの~、あんた達を倒せば、
行っても良いのかな?」
「フフフッ、お前に倒せるのならな!」
「「お前、それを言っちゃ!?」」
「じゃ、遠慮無く『ロックショット!』×3」
ロックは、アイテムボックスから、
ダミー用に肩から下げているバックを介して、
岩球を取り出すと、手加減をしながら投擲した。
バゴッ!×3
「「「うっ!エレエレエレエレ・・・」」」
3人組は、軽鎧の鳩尾の部分を大きく、
へこませながら岩球を受けると、
白く光り輝くゲロを吐き出しながら、
地面に倒れ込んだ。
「じゃ、そういう事で・・・」
ロックは、漸くウッカリーの店へと足を向けた。




