終演(しゅうえん)
「ロック頑張れ!俺の息子の、お前ならきっと勝てるぞ!」
「ロック、お母さんもスタンドから応援してるわよ~!」
「ロック、勝ちを急ぎ過ぎるなよ~!」
「ロック、ケモ耳は最高だぞ~!」
「ロック、リック兄ィの言う事は気にしなくて良いぞ~!」
「ロック、今日はウチのパーティーの連中も連れて応援に来たぞ!」
「ロック、優勝シューターになったら、
俺の田んぼで採れた米を一年分プレゼントするぜ!」
「最高級のドボルニシキだハニ!」
「ロック、ここでカレンとファニーと共に応援するから、
元冒険者の根性を見せるんだよ!」
「ロック様、頑張って下さい!」
「ファニーも応援してるよ~!」
「自分もベンチから、ロック先輩を応援してるっす!」
ザドス棲多慈亜無のスタンドには、ロックの大一番という事もあり、
家族や、知り合いなど多数の応援者が駈け付けていた。
『さあ、ギガンテスのマウンド上のロック選手、
この回、先頭のタッターズ2番打者マユユ選手をインサイド・ゴロに打ち取りワンアウト、
続きます3番トメフクトメ選手も同じくインサイド・ゴロでツーアウト、
チーム悲願の初優勝まで、あとアウトカウント一つとなりましたが、
ここで迎える打者は、今日ここまで一人で3打点を上げている、
タッターズの若き主砲シェイプ・フラワー選手です。
解説のカズヒゲさん、ここは、すんなりとは終わりそうもないケースですね』
『そうですね、シェイプ選手も目の前での、
優勝の胴上げは阻止したいでしょうね』
「僕は、今日この場面で君と対戦できる事を神に感謝するよ、
さあロック君、掛かって来たまえ!」
「ああ、行くぞシェイプ!」
『マウンド上、ロック選手が投球動作へと入る前に、
じっくりとホシュのヴァン選手が出すサインを見て居ります。』
(ロック、ここは簡単にストライクを取りに行かずに、
際どいコースをついて行くぞ)
(オッケーだぜヴァン)
『ロック選手がゴールデン・ボールを握り締めて徐々に魔力を込めて行きます。
対するシェイプ選手も打席の中でサオを扱いて待ち構えて居ります。
さあ、大きく振りかぶったロック選手が第一球目を投げた!
ボール!非常に際どいコースでしたが主審の右手は上がりませんでした。』
『ここは、簡単にストライクを取りに行くケースでは無いので、
ホシュのヴァン選手のリードは正解ですよ』
その後、ロックとシェイプの対戦は、
見逃しのストライク、ボール、ファウル、ボール、ファウル、ファウルと続き、
勝負は8球目へと及んだ。
『カウントは3ボール、2ストライクとなってからファウルが続き、
次の投球で8球目となります。
どうですかね?解説のカズヒゲさん、ここはストライクしか投げられない分、
打者のシェイプ選手の方が有利でしょうか?』
『そうですね、ここはフォアボールでも同点の場面ですから、
ストライクゾーンで勝負をしなくてはならないバッテリーには苦しい場面ですね』
(ロック、もう、こうなったら力勝負だ!
お前の最高の直球を、ど真ん中に投げ込んで来い!)
(オッケー、そう来なくっちゃ!
俺の残りの全ての力を込めて投げ込むぜヴァン)
『ホシュのヴァン選手との、サインの交換が終わりましたマウンド上ロック選手、
ゴールデン・ボールをギュッと握り締めて魔力を注いでいます。
特別なのか、いつもより多めに注いでいる様に見受けられます。
さあ、魔力の充填も終わり、
第8球目を大きく振りかぶって投げた!・・・空振り三振!
シェイプ選手のサオは大きく空を切って、
ゴールデン・ボールはスッポリとヴァン選手が構えるミットへと納まりました!
試合終了です!ヨコハメ・ギガンテス悲願の初優勝が、
今ここに達成されました!』
「ヴァ~ン!」
「ロック~!」
「自分も仲間に入れて欲しいっす!」
『マウンド上では、滂沱にむせび泣きながら、
熱く抱き締め合う漢と漢と水妖精、
ここに、ベスボル史に残る新たなページが一つ追加されました!』 (完)
ご愛読ありがとう御座いました。




