恩賜(おんし)
「前世での『ヤキュー』なる競技の経験と記憶に加え、
今現在のロックの身体能力があれば一流のベスボル・プレーヤーも夢では無いのではないか?」
「それは、そうかも知れませんが・・・」
「自分は、間違い無くロック先輩が成功すると思うっす!」
「どうも、今一つ歯切れが悪い様子だな、
もしかしてワシに誓った『騎士団員として頑張る』と言った
言葉を気にして居るのか?」
「はい、私は騎士として任命して頂いた
あの時、陛下にお誓いした約束をまだ果たして居りませんので・・・」
「ロック先輩は律儀な性格っすからね」
「それならば、気にする事は無いぞ、
短い期間ではあったが、お前は十分に騎士団に入団させた
意義を示してくれたからな」
「そうなのですか?」
「自分と言う、素晴らしい存在にて騎士団を和ませた功績っすか?」
「うむ、新入りのお前が訓練にて、
先輩の騎士団員をバタバタと倒して見せたものだから、
通常の訓練に加え、個人の訓練にも熱を入れる者が増え、
騎士団全体としての、力の底上げが図られたと各騎士団長らが申して居ったのだ」
「それは、私にとっては大変にありがたいお言葉なのですが、
その程度の事で、陛下とのお約束を果たしたと言うには・・・」
「自分は一時的なものにさえならなければ、
中々の功績だと思うんっすけどね」
「ふむ、そうか、
では、ここは一つアプローチの仕方を変えてみるかな、
ワシは、予てより伯父上やミールより、
我が国唯一のベスボルチームである『ヨコハメ・ギガンテス』に、
初の優勝を齎せる戦力の補充を考えてくれと頼まれて居ったのだ
ワシは、ベスボルの事に伯父上ら程の興味が無いので分からんのだが、
どうだ?ロック、お前の力で初の優勝を掴み取る自信は無いか?」
ここまで言われればロックも、
王の言動が、自分の気持ちを慮っての事と理解出来た。
「・・・・・分かりました陛下!
是非この私めに、初の優勝を御謙譲する機会をお与え下さいませ!」
「自分も、ロック先輩に協力するっす!」
「うむ、2人とも頼んだぞ。」
「はい!ありがたき、お言葉を御頂戴いたしました!」
「あざ~っす!王様、あざ~っす!」




