一般的な移動手段
「やあ!シェイプ君とハーベスト君じゃないか、
今日の試合は宜しくね」
どうやら2人はヴァンの知り合いで、
前髪が長い方がシェイプ、大柄の面皰面の方はハーベストという様だ。
「ああ、こちらこそ宜しく」
「オイどんも、宜しくお願いするでゴワス」
「ロック君、ウィル君、
彼らは今日、うちのチームと対戦する相手チーム所属の、
『ハンチン・タッタース』のシェイプ・フラワー選手と、
『ブカブーカ・カントス』のハーベスト・グット選手だよ」
「ロックです。宜しくお願いします。」
「ちゃ~っす!自分はウィルっす。」
「シェイプ君、ハーベスト君、
彼らは、僕の冒険者時代の同僚で、
今はザドス王国の騎士団に所属しているロック君とウィル君だ」
「おお!冒険者から騎士団入りとは大出世じゃないか、
僕はシェイプだよ宜しくね」
「オイどんはハーベストたい、宜しくでゴワス」
「ヴァンさん、お二人は別々のチームって事だけど、
今日の試合は3チームで戦うんですか?」
「巴戦ってヤツっすね」
「ああ、そうだよロック君、
ベスボルのチームは一つの国に多くても2チームしか無いもんだから、
競技場間の移動が長距離になるんだよ、
だから試合が開催される日は3チームが集まって、
総当たりで対戦するのが通例なのさ」
「最近はコウガ王国が開発した大型の魔導車があるから、
皆での移動がし易くなったとはいえ、長距離の遠征は疲れるからね」
「オイどんは節約の為に馬車で移動しているから大変でゴワス」
「なる程、そういう理由がある訳ですね、
皆さんも、王族の方々みたいに転移魔導具が使えれば移動も楽になりそうですけどね」
「瞬間移動っす!」
「ハハハ、転移魔導具は兎も角、
早く一流のプレーヤーになって『タツノコ船』に乗れるぐらいには成りたいね」
「僕は高い所が苦手だから無理かな」
「贅沢は敵でゴワス」
「その、タツノコ船ってのは何ですか?」
「夢に溢れていそうな名前っすね」
「ロック君達は見た事が無いのかい?
タツノコ船っていうのは、浮龍っていう飛龍の一種の、
龍の体の下に籠をぶら下げた乗り物で、
空を飛んで移動できる分、ビックリする程早く目的地に移動できるんだよ」
「昔は龍籠って呼んでたらしいんだけど、
マッスル王国のライ国王陛下が強硬に主張して今の名前になったそうだよ」
「確かにアノ見た目は、普通の龍とは一線を画しているでゴワス」
「なる程、今のエピソードとタツノコ船という名前で、
何となく形が想像出来る様な気がします。」
「フワフワ感が強そうっすね」




