ガーディアン
「ど、どうしたんだい?ロック君、
突然大きな声を出して・・・」
「いえ、今のは俺の魂の叫びが漏れ出ただけですから、
どうか気にしないで下さい。
それよりもヴァンさん、今日はベスボルの試合を観戦にでも来たんですか?」
「三角ペナント買ったっすか?」
「いや違うよ、僕はベスボルを見る方じゃ無くて、
プレーする方なんだよ」
「えっ!?ヴァンさんてベスボル・プレーヤーなんですか?
そうすると、冒険者は止めたんですか?」
「そう言えば今日は、あの鉄仮面を付けて無いっすね」
「ああ、冒険者は止めたんだよ、
僕の土魔法はロック君みたいに凄くは無いから先が見えてたしね、
それで、次に何をしようかと考えていた時に、
ここ、ザドス王国のベスボルチームである『ヨコハメ・ギガンテス』で、
プレーヤーを募集してるって小耳に挟んだんで応募して見たら、
運良く受かって入団できたって訳なんだよ、
こう見えて、入団3年目にしてレギュラー・プレーヤーなんだぜ」
「へ~、それは凄いですね、
ちなみにヴァンさんは、どこのポジションを守ってるんですか?」
「自分はボールボーイ希望っす。」
「僕のポジションはホシュだよ」
「え?いま何て?」
「喪主って聞こえなかったっすか?」
「だから、ホシュだよホシュ」
「それって、どの場所を守るんですか?」
「喪主が守るのは普通、葬儀っすね」
「ロック君たちは、ベスボルを見るの初めてなのかい?
ホシュって言ったら、ゴールド・シューターの投げた球を受け止めるポジションさ」
「ホシュって『捕手』なのかよ!
内野とか外野は、インサイド・プレーヤーとかアウトサイド・プレーヤーって、
カッコ良さげな呼び名が付けてあるんだから、
捕手にもガーディアンとか付けてやれよ!」
「おお!ガーディアンってカッコイイっすね」
「そう言うロック君たちは、相変わらず一流の冒険者として、
あちこちで荒稼ぎしてるのかい?」
「いえ、俺達も冒険者は、もう引退しましたよ、
今は王都で騎士団に所属をしています。」
「自分はロック先輩の従者っす!」
「おお!騎士団に入ったなんて大出世も良いとこじゃないか!
僕と同じ、土魔法使いのロック君が騎士団に入ったなんて、
自分の事の様に嬉しいよ、やっぱり相当な努力を積んだんだろうね・・・」
「いえ、俺の場合は偶々運が良かっただけですよ」
「運も実力の内っす!」
「いやいや、そう謙遜する事は「そこに居るのはギガンテスのヴァン君じゃないのかい!」」
ヴァンのセリフを遮って声を掛けて来た人物の方へと目をやると、
そこには、やたらと前髪が長い二枚目の男と、大柄で太目の体型をした面皰面の男が立っていた。




