需要(じゅよう)と供給(きょうきゅう)
「あれ?随分と早かったですね姫様。」
「副団長、ロックとウィルは今日休みだったんじゃ無いんですか?
2人も護衛に連れて行く事になったんでしょうか?」
ロックとウィルが、ミリボルタ王女とジャンヌ副団長の供をして、
王城にある転移魔導具乗り場へと向かうと、
そこには騎士団の制服に身を固めたトマソン、ガルベスの両先輩が待機して居た。
「ええ、訓練場を見に行ったら、
ウチの団員は皆、魔獣を狩りに行ったとかで居なかったのよ、
それから、ロックとウィル君は暇そうにしていたので、
私の、お供に連れて来たのよ。」
「2人とも、ご苦労!」
「トマソン先輩、ガルベス先輩お疲れ様です。」
「ちゅ~っす!」
「そうだったんですか、気配察知が上手い2人が一緒なら心強いな」
「ああ、そうだな。」
「今日の姫様の護衛って先輩方だけなんですか?」
「いつもは8人くらいは付くっすよね」
「ああ、転移魔導具に使う魔石の消費量はハンパじゃ無いんで、
こちらからの護衛は極力減らして、
後は公爵様の所の兵士をお借りするんだよ」
「まあ、向こうとは、
しょっちゅう行き来してるんで顔見知りの兵士ばかりなんだけどな」
「へ~、そうなんですか、
姫様、自分とウィルが増えましたけど、その分の魔石は大丈夫なんでしょうか?」
「マイ魔石を出した方が良いっすか?」
「あら、そのぐらいは全然大丈夫よ、
ロックとウィル君が魔獣狩りに出る度に大量の魔石を持ち帰るから、
王城の魔石が、だぶつき気味だって宰相も言ってたもの、
ねっ?ジャンヌ」
「はい、その通りであります。姫様、
最近は、その余った分の魔石を王都の商会へと卸しているので、
国庫が潤うと同時に、
民の暮らしが豊かになっていると聞き及んで居ります。」
「その分、魔石の買い取り価格が下がったって、
文句を言ってるヤツらも結構居るがな・・・」
「まあ、最近はロックたちも程々にしている様だから、
時期に値を戻して来るだろう。」
「す、すいません先輩方。」
「ロック先輩がアイテムボックスに死蔵してる分の魔石を、
市場に一気に放出したら価格が大暴落しそうっすね」
「ロックが気にする事じゃ無いわよ、
価格が下がり過ぎそうになったら、商会の人達が流通量をある程度制限して、
価格の安定化を図るでしょうから・・・」
「うむ、商売の事は専門家に任せて置くのが一番だな」
「まあ、それは、そうなんでしょうけど、
人に任せきりってのも気になりますよね」
「談合や、闇カルテルに目を光らせる必要があるっす!」




