ザドス棲多慈亜無
「ねぇ、ロックとウィル君、
あなた達、今暇みたいだし、
ベスボルに興味がある様なら一緒に見に行く?」
「えっ!?良いんですか?姫様」
「ちょ~興味あるっす!」
「ええ、別に構わないわよね?ジャンヌ」
「はい、ロックとウィルなら自分の身は自分で守れますし、
姫様の護衛の層も厚くなりますから大丈夫ですよ」
「だって、ロック」
「では是非とも、お供させて下さい!」
「あざ~っす!」
「それじゃ、まだ少し早いけど、
始めて行くロックやウィル君は競技場の見学とかもしたいだろうから、
これから向かうとしようかしら?」
「そうですね、あの競技場は色々と面白い場所が多いですから、
始めて行く2人には、見学の時間を設けてあげた方が宜しいかもしれませんね」
「ありがとう御座います。
それは、とても楽しみです。
そう言えば、その競技場って何処にあるんですか?
王都をウィルと見物して回った時は、
それらしい建造物は見当たらなかったと思うんですが・・・」
「そう言えば、そうっすね」
「我が国で唯一のベスボル競技場である『ザドス棲多慈亜無』は、
ここ王都じゃ無くて、ビシバーシ城塞都市にあるわよ」
「ビシバーシ城塞都市と申しますと、
確かズバーン・ビシバーシ侯爵閣下の御領地ですよね?」
「『鉄壁のビシバーシ』との異名をお持ちのビシバーシ閣下っすね」
「ええ、その通りよ、
お父様は、余りスポーツに関心がありませんので、
大のベスボル好きで知られるズバーン大おじ様の街に造られたのよ」
「不勉強で申し訳が無いんですが、
確か、ビシバーシ城塞都市って結構、王都から遠いんじゃありませんでしたっけ?」
「自分は全く知らないっす。」
「ええ、そうよ、大おじ様のビシバーシ城塞都市は、
アルビナ王国との国境に近い場所に位置してるわね」
「それでは、着くまでには、
かなりの時間を要するのでは無いのでしょうか?」
「自分らが全速で飛ばしても2日は掛かりそうっすね」
「ああ、それだったら心配は要らないわよ、
王城にある転移魔導具を使えば一瞬で向こうに行けるから」
「えっ!?そんな便利な魔導具があるんですか?」
「自分も初耳っす!」
「ええ、お爺様の御友人でもいらっしゃる、
コウガ王国のサスケ国王陛下が造られたと聞いているのだけれども、
非常に高価な魔導具だから、各国でも王族の関係者ぐらいにしか使えないそうよ」
「へ~、流石は魔導具造りで知られるコウガ王国ですね、
多分、無闇に量産しないっていうのは、
今は国同士の争いとか無くて平和で良いですけど、
万が一、戦争でも起きたら利用され兼ねないからかも知れませんね」
「確かに、いきなり兵隊とかが現われたら大変っすね」




