ベスボルとは・・・
「ちょっと、お聞きしたいんですけど、
姫様、金の玉とサオと仰るのは・・・」
「ロック先輩、聞いても大丈夫なんっすかね?
下手するとノクターン行きっすよ」
「ああ、金の玉とサオというのはね・・・」
ミリボルタ姫から語られたベスボルの競技内容からすると、
全体的には野球と似たスポーツの様で、
競技人数は野球と同じ9人対9人で守備側と攻撃側に分かれて、
先攻と後攻で交互に入れ替わるとの事で、
回数は野球より1回多い、10回制で行われるそうだ。
守備側は、内野手に当たるインサイド・プレーヤーが4人、
外野手に当たるアウトサイド・プレーヤーが3人、
投手にあたるゴールド・シューターと、それを受け止めるキャッチャー役の合計9人で、
金の玉というのは、ゴールド・シューターが投げる球が魔力を通し易い様に、
オリハルコンでコーティングを施してある為に金色をしておるそうだ。
また球に込める魔力の属性に因って質量が変化するとの事で、
火→風→白→水→黒→土の順に重くなって行くので、
一般的には、軽くて早い球が投げられる火属性の魔法を持った者が、
一番ゴールド・シューターに向いていると言われているそうだ。
攻撃側は、野球の様に9人が順番に打席に入って行くのは同じだが、
打者走者は居ないそうで、得点の入り方としては、
インサイド・プレイヤーの守備範囲をゴロで抜ければ1点、
ライナーもしくはフライで抜ければ2点、
アウトサイド・プレーヤーの守備範囲をゴロで抜ければ3点、
ライナーもしくはフライで抜ければ4点とのことだ。
勿論、インサイド・プレーヤーにゴロ・ライナー・フライを、
アウトサイド・プレーヤーにライナー・フライを捕球された場合は0点である、
そして、サオというのは野球のバットに当たる物で、
木の魔獣トレントの素材にミスリルがコーティングされており、
打者は打席に入る前にサオを扱いて魔力を込めるのである、
一般的には、重くなったサオを振り回すパワーを兼ね備えてさえいれば、
土属性の魔法を持った者が強打者となり得ると言われている、
また、そのサオという名の由来は、
トレントの棒に、ミスリルの銀色のコーティングされた物を見た初代勇者が、
『バットというよりは、シルバーの物干し竿みたいだな・・・』と、
呟いたのが起因だそうだ。
「なんか、姫様から聞いた範囲での話では、
俺が、こっちに来る前にやってた野球ってスポーツに似てるみたいだな」
「そうなんっすか?ロック先輩」
「ああ、向こうには魔法が無かったから微妙に所々が違ってはいるが、
大筋に於いては同じ様なルールみたいだ」
「ロック先輩は、そのヤキュウとかいうスポーツが得意だったんっすか?」
「ああ、自慢じゃ無いが、
自分では、同年代に於いては国でもトップクラスだったと自負してるぜ」




