その競技、危険につき・・・
「それはそうと、うちの団員が誰か訓練しているかと思って見に来たんだけど、
今日は誰も居ない様ね・・・」
「そうですね、私が見た感じでも見当たらぬ様です。」
「先輩達なら、今日は皆で森に魔獣を狩りに行くって言ってましたよ」
「マウンテン・アッコを討伐するって言ってたっす!」
「あらそうなの、確かにマウンテン・アッコの討伐なら、
多人数で向かわないと返り討ちに遭うわね、
誰も居ないなら、今日はスポーツ観戦にでも行こうかしら」
「はい、私もお供します。」
髪色と、瞳の色を除けば瓜二つの、
双子のミリアンプ姫とミリボルタ姫であったが、
成長するに従い、その行動に違いが現われて来て、
姉のミリアンプ姫は、学者肌タイプで王城の書庫に籠り好きな魔法の研究に勤しんでいる事が多く、
妹のミリボルタ姫は、自ら体を動かしたり戦闘訓練やスポーツ競技を観戦するのが好きな様だ。
地球とは違い15歳で成人を迎える、この世界シエラザードに置いて、
両姫とも今年20歳となり共に独身であるが、
一昔前の様な、国同士の争い事が途絶えて久しい昨今では、
友好国との政略結婚的な婚姻は行われて居らず、
各国の王子や王女の晩婚化が進んでいるので、
特別、両姫が行き遅れているという訳では無かった。
「ミリボルタ姫様、時折スポーツ観戦へと出掛けられて居られる様ですが、
どの様な競技をご覧になられて、いらっしゃるんですか?」
「カバティとかペタンクっすか?」
「そうね、スポーツは何でも好きなんだけど、
一番好きって言ったら、やっぱりベスボルかしら?」
「そうですね、姫様が一番観戦されて居られるのはベスボルでしょう。」
「ベスボルですか?
ウィル、お前ベスボルって競技知ってるか?」
「知らないっすね、ボルダリングなら知ってるんっすけど」
「あら、貴方たちベスボルを知らないの!?
あれだけ世界的に競技人口が多くて人気があるスポーツなのに」
「姫様、ベスボルは競技する場所や道具に決まりが多いスポーツなので、
主に都市部を中心に試合が行われていますから、
地方で生まれ育った者は割と知らないのですよ」
「あ~、確かに俺もウィルも地方出身者だからな、
それで、ミリボルタ姫様、そのベスボルっていう人気スポーツは、
どんな競技なんですか?」
「ベスボルっていうのはねぇ・・・金の玉を握って、サオを扱くのよ」
「女の子が、そんな事を言っちゃいけません!!」
「衝撃発言っす!」
「び、吃驚した~
どうしたのよ?ロック、突然そんな大声を出して・・・」
「い、いや、だって姫様が突然あんな事を言いだされるものですから・・・」
「ねぇジャンヌ、私、今そんなに変な事を言ったかしら?」
「いえ、姫様のお言葉は実にベスボルの協議内容を、
的確に表現されて居られたと思います。」
「マジですか!?」
「自分もベスボルが見てみたいっす!」




