ロックの立ち位置
「こ、これはミリボルタ姫様!?
大変に、だらしが無いところをお見せ致しまして、申し訳御座いません!」
「ちぃ~っす!ミール様ちぃ~っす!」
ロックとウィルが、後ろから掛けられた声に振り返ると、
そこにはロックが所属する第六騎士団の主の一人であるミリボルタ姫が、
副団長のジャンヌと共に佇んでいた。
「あら、今日のロックはお休みの日なんでしょう?
休みの日ぐらい少しはリラックスしていても良いわよね?ジャンヌ、
それから、ごきげんようウィル君」
「はい姫様、リラックスするのは一向に構いませんが、
出来れば人目に付かない場所にした方が宜しいかと存じます。」
「すいません!副団長」
「しゃ~っす!」
「もう、ジャンヌったら相変わらず固いわね」
「姫様、ロックが我が騎士団に入団してから半年程が経ったとはいえ、
まだまだ一番の新入りなのは変わりません、
我が団には、そんな不心得者は居りませんが、
他の団には、新入りのロックが多大な実力を有しているというのを、
面白く思っていない者が少なからず居ると聞き及んでいます。
その様な者達が、付け入る隙を見せない様にするのも、
今後のロックには必要となって来るのです。」
「なる程ね、自分の技量に磨きを掛けるのでは無くて、
人の粗を探すっていうのは情けがないと思うけど、
確かにロックの実力は群を抜くものですものね、
なまじ力の程を感じ取れる者ほど、
ロックが、自分では到底辿り着けぬほどの高みにいると、
気付いてしまうのかも知れませんね」
「はい私達、第六騎士団員一同も、
昔見た幼き日のロックに追い付こうと、日々研鑚を積み重ねては来ましたが、
久々に見た新入団員として現れたロックは、
更に、その全ての技量に置いて磨きを掛けて来ましたからね」
「いえ、俺の場合は運良くランクが高い魔獣と戦う機会があったり、
共に実力を伸ばせる人達と出会えたりしたからですよ」
「ロック先輩は、豪運の持ち主っすからね」
「でも、運も実力の内というわよね?ジャンヌ」
「はい姫様、実力が拮抗した戦いなどに置いて、
その最後に、生死を分ける境を決めるのが運であったりするのは、
よくある事で御座います。」
「じゃあ、戦闘能力が優れたロックに、
強い幸運まであるっていうんじゃ、まさに鬼に金棒ね」
「ありがとう御座います。ミリボルタ姫様」
「自分も、ロック先輩に引っ付いていれば今後も安泰っす!」




