叙爵式(じょしゃくしき)
「・・・以上の功績を持って、
各国王による認定会議にて全会一致で、我が国初の英雄認定を受けた冒険者ロックを、
我、ザドス王国国王イカヅチ・トールハンマー・ザドスは、
我がザドス王国の男爵位へと授爵する。」
ザドス王国の王都に構える王城の謁見の間にて、
目の前で、臣下の礼を取り片膝を付いたロックの肩に、
自らが持つ宝剣の刃を乗せながら、イカヅチ国王がそう宣言をした。
「はっ!我ロック・グランディアス男爵は、
この力を御陛下の為、ザドス王国の為、
そして、民を守る為に使う事を、ここに御誓い申し上げます!」
大方の予想通りにロックの英雄認定はスムーズに進み、
ダンジョン攻略の真実を公とする事を諦めたロックは、
素直に自らの叙爵式へと望んでいた。
「うむ、大義であるぞ、
なお、ロックの従者として共にダンジョンへと赴いた水妖精ウィルと土妖精ハニタロウ、
そして、冒険者パーティーの仲間として後方支援の任務を務めていた
アンジェラ、カレン、ファニーらの計5名はザドス王国 雷神勲章を授けると共に、
金一封を与えるものとする。」
若い頃に自らも、身分を隠して冒険者をやっていた経験を持つイカヅチ王は、
仲間の協力の大切さを十分に理解していたので、
ロックが言いだす前に、アンジェラらにも褒美を与える事を宣言した。
「ありがとう御座います!国王陛下」
アンジェラらも報われると聞いたロックが、イカヅチ王へ礼を告げる
「おう!クエストの成功は皆で分かち合うもんだからな、
同じパーティーの仲間も共に労うのは当たり前だぜ、
それから、お前が冒険者を引退して、娘らの騎士団に入団するって聞いたぞ、
大人しいミーアは兎も角として、跳ねっ返りのミールの面倒を見るのは大変だと思うが、
宜しく頼むぜ」
式の最中とは異なり、大分砕けた口調のイカヅチ王が、
ロックにのみ聞こえる程度の声量で、そう呟いて来る
「はい!こちらこそ宜しくお願い申し上げます。
本来、騎士団に入団する資格を持ち得ない土魔法使いの私が、
ミリアンプ姫様とミリボルタ姫様方が率いて居られる、
精鋭揃いとの呼び名も名高き第六騎士団へと拾って頂いたからには、
全身全霊を持って勤め上げさせて頂きます!」
「お前が騎士団に入れたのは、自らで努力を積んで来たからこそなんだから、
余り、あの娘らに恩義を感じる事は無いぞ、
それに、第六騎士団が今、力を付けているのは、
お前が昔、考えた訓練方法を取り入れてからだと娘らから聞いているから、
お前の入団によって一層の底上げがされるんじゃないかと思って期待してるんだよ」
「はっ!陛下のご期待に添える様に鋭意努力致します!」




