貰(もら)い事故
「さあ皆!ロック達を出迎えに門に行くぞ!」
ロックの父親でホワタ村の村長を務めるマックが、
アンジェラや村の者達と一緒にロックらを出迎えに向かおうと号令を掛けた。
「あなた、ちょっと待ってくれるかしら・・・」
門へと向かおうとしたマックの肩をガシッ!と掴みながら、
妻のミリアが待ったを掛ける
「な、何だよミリア、
俺は、この村の村長としてロック達を迎えに出なきゃならないから、
は、話しがあるなら後にしてくれないか?」
「いいえ、ロック達の出迎えはアンジェラさんや他の村の人達に任せて、
あなたには、昔ロック達を遠征訓練に連れてくって言って、
出掛けた時の話を詳しく聞かせて貰わなければならないので、
家まで一緒に来て貰います。」
「い、いや、それはだな~
ほ、ほら、ロック達が何で、こんなに早く帰って来たのかとか気になるじゃ無いか、
お前だって気になるだろう?」
「それは明日、ロック達から話を聞いた人に又聞きすれば良いだけの事です。」
「ほ、ほら、タイムリーな話が聞きたいとか、
誰かにネタばらしされちゃうとか「ツベコベ言わずに付いてらっしゃい!!」ハイ・・・」
マックは、誰か救いの手を差し伸べてくれる者が現われぬかと周りを見渡してみるが、
誰も自分と目を合わせようとしないのを見て取り、
ハァ・・・と溜息を一つ吐いてからミリアにドナドナされて行った。
「村長もバカだよな、そういう気持ちの良さそうな店に出掛ける時は、
俺らに誘いの声の一つでも掛けてくれれば、助けも出すのに」
「「「そうだそうだ!」」」
「「「「「何だって?あんた達!!」」」」」
「「「「「どうも、すいませんでした~!!」」」」」
「・・・・・ロック達を出迎えにでも行くか」
村の男達が、村長の貰い事故に遭ってるのを尻目に、
アンジェラは、ロック達を迎える為に村の門へと向かった。
村の門番を務めていた男達が、
地方の村には不釣り合いな程に巨大な門に掛けられていた
これまた大きな閂を外して、門扉を外側へと押して行くと、
ギギギ~という低い音と共に門扉が段々と開いて行く、
人が通れる程の隙間が開いた時点で、
松明を手にしたアンジェラら数名が門から出て行った。
「確かに、ロック達で間違い無い様だね・・・」
松明の明かりに照らし出されたロック達の姿を見て、
アンジェラがホッとした様に、そう言った。
「ただ今戻りました。アンジェラさん」
「ちゃ~っす!アンジェラさん、ちゃ~っす!」
「ただ今だハニ!」
「ああ皆、お帰り。」




