父の秘密
「ハハハ、語るに落ちたな魔族よ!
朝、この村を出たばかりのロックが、
こんなに早く戻って来る訳が無いだろう!」
「そう言えば、魔族の中には、
人族に化けて潜り込むヤツが居るって聞いた事があるね、
大方こいつも、その類かね?」
「魔族? 何言ってるの父さん、
俺は本物のロックだよ、事情があってダンジョンの攻略が早く終わったんで、
村に戻って来ただけだよ」
「自分らも一緒っす!」
「僕も居るハニ!」
「ほ~、ウィル君やハニタロウ君の役をする者も、
ちゃんと居る訳か、なかなかロック達の事を念入りに調べた様だな」
「ホントだね、声だけ聞いていると本人達みたいに聞こえるぐらいだよ」
「だから、俺達が本物なんだって!
暗くて顔が確認出来ないなら、門を開けて明かりで確認すれば良いだろ!」
「村の防護壁に飛行型魔獣用の耐魔法が付与されていなければ、
自分が飛んでって顔を見せに行けば良いんっすけどね」
「もし飛んでいったら打ち落とされ兼ねない雰囲気だハニ」
「大体、それ程に強力な『闇の魔素』に満ちた魔力を振り撒いていて、
人族や妖精族って言い張るのには無理があるだろうが!」
「ああ、魔法が使えない獣人族の私でも、
ロック達と魔力の質が違う事ぐらいは分かるからね」
「『闇の魔素』に満ちた魔力?
あっ!そうか・・・ウィル、ハニタロウ、魔王の角を返してくれるか」
「了解っす。」
「分かったハニ。」
ロックは2人から魔王の角を受け取ると、
自分が持つダンジョンコアと一緒にアイテムボックスの中へと収納した。
「これで、どうかな?父さん」
「むっ、突然『闇の魔素』に満ちた魔力を感じなくなったぞ!?
これは、どうした事なんだ?」
「確かに感じ取れなくなったね、
普通に考えれば何らかの方法で魔力を隠蔽したって事何だろうけど、
ただ『闇の魔素』の魔力が消えたら、馴染のある魔力や気配を感じる様になったね」
「ふむ、そう言われてみると確かにロック達の魔力や気配の様に感じるな、
私も、それ程魔法が得意とは言えないので確実とは言えないがな・・・」
「そんじゃ、私が村まで行ってカレン達を起こして来ようか?
魔法が得意な、あの子達ならロックやウィルの魔力を良く知ってるだろうからさ・・・」
「いや、寝ている子供たちを起こすまでの事では無いだろう
どれ、私が本物のロックか如何かを一つ確かめてみようじゃないか、
おい!お前が本物のロックだと言うなら、家族しか知らない様な事を何か話して見ろ!」
「家族しか知らない様な事? そうだなぁ~・・・あっ、あれが良いか!
え~と、あれは確か俺が4歳ぐらいの頃かな?
父さんが、俺達兄弟の遠征訓練とか言って大きな街まで連れてってくれて、
俺達兄弟が、街の食堂で普段食べられない様なご馳走を食べてる間に、
父さんは一人で、キレイなお姉さんたちが沢山居る店で「直ちに門を開けろ!!
ロック達が帰って来たぞ!」
ふう~良かった。やっと村に入れて貰えるよ」
「良かったっすね。」
「長い一日だったハニ。」




