多分、説教が待っている
「何事ですか?アンジェラさん」
村の若者の連絡を受けたホワタ村の村長にしてロックの父親であるマックが、
村の防護壁の上にある監視場へと駈け付けて来た。
「ああ村長さん、それなんだけどね大きな魔力を持った何かが、
あっちの方から、この村へと近づいて来てるんだよ、
村長さんも感じないかい?」
「あっちの方向と言うと、
ロック達が行っている『最果ての原野』の方ですね・・・これは!?
何ですか!?この魔力量の大きさは!
もし、これが魔獣だとしたら、かなりのクラスと思われますが・・・」
もう随分と前に引退をしたとはいえ、歴戦の戦士であったマックは、
暗闇の先より近づいて来る魔力の大きさを感じ取って戦慄を覚えた。
「ああ、私らもロック達と一緒に、何度かA級の魔獣を討伐したけど、
今回のコレは、それらを遥かに凌駕してるね・・・」
「A級を遥かに凌駕するというと、
S級若しくは、それ以上と言う事ですか・・・
もし、これが『最果ての原野』に生まれたダンジョンから来たのだとすれば、
ロック達の身に何か起きたのかも知れませんね・・・」
「ええ、もし、この気配がS級以上の魔獣だとしても、
ロック達が、そうそう後れを取るとは考えられませんが、
やって来る方向から考えてダンジョンと無関係という事は無いでしょうね・・・」
「ロック達と一緒に普段からパーティーを組んで活躍をしている、
貴女に、そう言って頂けると、
何だかロック達は大丈夫だと思えて来ますね・・・分かりました。
ロック達の状況が何か分かるまで我々も頑張るとしましょう!
今から、村の者達を集めて来ますので一緒に村を護って頂けますか?」
「ええ勿論ですよ!私も今からカレンとファニーを起こして来ます。
ああ見えて、あの子らは貴重な戦力となりますからね」
「彼女たちの実力はロックから聞き及んでいますから知っていますよ、
若くして現役バリバリの冒険者ですからね、
この村の、冒険者の卵たちよりも遥かに頼りとなりますとも」
アンジェラやマックが、村の者達やカレンらと協力して、
防衛線を固めてから暫くした後、
ロック達が、漸く村の近くへと辿り着いた。
「あれ?何か村の防護壁の上に大勢の人達が居るんじゃないか?」
夜目の利くロックが、その両手にダンジョンコアを抱えながら、
ウィルとハニタロウに問いを掛けた。
「何か、そうみたいっすね、
もしかして、自分らを出迎えてくれてるんっすかね?」
同じく、夜目が利くウィルが魔王の角を持ちながら、
ロックの問いに返事を返した。
「それは、違うと思うハニ、
防護壁の上に居る人達は皆、とても怖い顔をしてるハニ」
夜目プラス遠見が利くハニタロウが、
これまた魔王の角を持ったまま、ウィルの意見を訂正した。
「皆、怖い顔をしてるって?
もしかしたら、村に何かが起こったのかも知れないな・・・
よし!俺達も急いで村に戻るとするぞ!」
「了解っす!」
「急いで戻るハニ!」




