通りすがりの戦闘機乗り
「ホントっすね、冒険者ギルドで聞いた文言とは、
大分、実際に岩に掘り込まれている文章の内容が違ってるっすね」
「ロック達が聞いた内容から、大分表現が柔らかくなってるハニ」
「う~む、ギルドに伝わった内容が間違ってたのか、
この岩に掘られた文字が変化したのかは分からないが、
取り敢えず、当初の予定通りにダンジョンに入るとするか」
「賛成っす!」
「分かったハニ!」
ロックらは、文字が掘り込まれた岩の横に開いた
縦2メートル、横1メートル程の穴をロックを先頭にして潜り、
なだらかに地下へと下って行く道を進んで行った。
「うん? 何か物音が聞こえないか?」
ダンジョンの入り口を入り、200メートル程進んだ辺りでロックが尋ねる
「何かガシャガシャって音が聞こえるっすね」
「枯れ木がぶつかる様な音だハニ」
「あっ! あれはアンデット系の魔獣としては定番のスケルトンじゃないのか!?」
ロックが指差す方向を、ウィルとハニタロウが見てみると、
人体の骨格標本の様なガイコツが3体ガシャガシャと歩いて来るのが見えた。
「いいえロック先輩、アレは『ホネホネ君』っすね」
「そうだハニ」
「ホ、ホネホネ君? スケルトンとは違うのか?」
「ええ、全くの別物っすよ、
アレは死んだ弱い魔獣の霊が、
人を驚かせる為にイタズラで動かしてるだけっから、
ビックリするぐらいしか害は無いっすね」
「この通りだハニ、『ロックバレット』」
ハニタロウが土魔法で石の弾丸を飛ばすと、
3体のホネホネ君はバラバラになって崩れ落ちた。
「・・・・・また元に戻らないのか?」
ロックは暫くバラバラになったガイコツの様子を見ていたが、
何の変化も無い様なので2人に尋ねる
「そのうち戻る場合があるみたいっすけど、
大分時間が掛かるらしいっすよ」
「大体2~3か月ぐらい掛かるハニ」
「ホントにビックリさせるだけなんだな・・・」
「ロック先輩、ホネホネ君たちの抜け殻の先に、
下へと降りる階段が見えてるっすよ」
「いくらも戦わない内に1階層が終わりだハニ」
「手応えが無さ過ぎて逆に不安になるが、
取り敢えずは、降りて見るしか無いな」
ロック達は、それからも・・・
「あれはゾンビかっ!?」
「違うッす。
アレは『骨付きカルビーナ』って魔獣っすね」
「素材の熟成肉が人気だハニ」
「何!? レイスだと・・・」
「アレは恋人を残して死んだので成仏出来ずにいる、
通りすがりの軍人『フォッカーさん』の霊っすね」
「確か大佐だったハニ」といったユルいダンジョン探索を続けて、
次々に下の階層へと下って行くと、
地下5階層への入り口に豪華な装飾が施された扉が現われた。
「どうやら、ここからが本番らしいな」
「小ボスが出て来そうな扉っすよね」
「気を引き締めて行くハニ!」




