出発
コン!コン!とアンジェラらが使っている自宅の客間のドアを、
ロックがノックすると、
「は~い!」という元気が良い返事の後に、
ファニーがガチャッ!とドアを開けて顔を覗かせた。
「あっ、ロック様だ、こんばんは~」
「おうファニー、アンジェラさん達に話があるって伝えてくれるか?」
「は~い、ちょっと待っててね~」
少しすると、ファニーが再び戻って来て、
ロックを部屋の中へと案内した。
「何だいロック、話ってのは?」
「ロック様、こんばんは」
「おうカレン、寛いでる所悪かったな、
アンジェラさん、話ってのは明日からの事なんですけど、
ダンジョンには、俺とウィルとハニタロウのみで向かおうと思うんですよ」
「そうか、分かった。」
「後の事は私達にお任せ下さい」
「みんな、頑張ってね~」
「えっ!? 良いんですか?」
「何がだい?」
「いえ、もっと一緒に行くって粘られるのかと思いましたんで・・・」
「ああ、それでかい、
昨日、ハニタロウも一緒に行く事になったって聞いたんで、
夜にカレン達と話し合ったのさ、
ロックとウィルとハニタロウが一緒に行くってんなら、
下手なA級冒険者パーティーより実力的には上だからね、
私らが一緒じゃ、返って足手纏いになるって結論付けたのさ」
「私達は後から来る冒険者の方達と合流して、
村やダンジョン周辺の魔獣を討伐していますね」
「ファニー達待ってるから、みんな元気で帰って来てね」
「そうだったんですか、ありがとう御座いますアンジェラさん、
これで、俺達も後顧の憂いも無くダンジョンアタックに集中出来ます。
カレンもファニーもありがとな、
俺とウィル達で、ダンジョンを見事攻略して戻って来るから待っててくれよな」
こうして、翌日のダンジョン攻略には、
ロック、ウィル、ハニタロウの3名で向かう事となった。
「そんじゃ行って来るよ父さん、母さん」
「ロック先輩の事は、自分が楯となって守るっすから、
安心して待ってて下さいっす!」
「行って来るハニ」
「ああ、お前たちの実力なら大丈夫だとは思うが、
決して油断だけは、するんじゃ無いぞ」
「気を付けて行って来るのよロック、
ウィル君もハニタロウ君も、ロックの事をお願いね」
「アンジェラさん、カレン、ファニー、それに村の皆も、
冒険者ギルドの人達が応援に来るまでは魔獣に注意して下さいね」
「団体行動が基本っす!」
「大人数で囲むハニ!」
「ああ、こっちは無理はしないよ」
「行ってらっしゃいロック様、ウィル君、ハニタロウ君」
「みんな、ケガしないでね~」
「頑張れよロック!」
「ロックの仲間の、ちっこいヤツらも気を付けてな」
「皆、元気で帰って来いよ」
「村の事は俺達に任せろ!」
「結果が気になるが、拙者も王都に帰るとしよう、
ロック殿、ウィル殿、ハニタロウ殿、御武運をお祈りして居るぞ」
ロック達がダンジョンに向かうのと同じタイミングで、
王都への帰路へ着こうとしていたショウセツが声を掛ける
「ええ、ありがとう御座います。
ショウセツさんも、お元気で!」
「しゃ~っす!」
「また逢う日までハニ」




