異世界ファンタジー
「ダンジョンを発見したとは言っても、
拙者は別件で『最果ての原野』に用が有り、
王都のギルドより魔獣の調査で派遣された
A級やB級の冒険者の方々に帯同していただけなので、
手柄は偶々発見した拙者では無く、冒険者の方々であるぞ」
「そうなんですか、他の冒険者の方々と帯同して一緒に来たって事は、
ショウセツさんはソロで活動している冒険者なんですか?」
「一匹オオカミっすね」
「いや、拙者は冒険者では無いぞ」
「えっ!? 王都の冒険者ギルドから派遣されたんじゃ無いんですか?」
「もしかして、遊び人のショウさんっすか?」
「確かに拙者は王都のギルドより派遣されたが、
冒険者では無く、ギルド所属の薬剤師なのだよ」
「そうなんですか、腰に立派そうな剣を佩刀されてたんで、
てっきり冒険者なんだと勘違いしていました。」
「大小の2本差しっすもんね」
「うん? 腰のコレか?
これは刀では無く、薬剤師としての商売道具であるぞ」
ショウセツは腰の大小2本の鞘から出た柄を両手で掴むと、
スラリと抜き放ちガシ~ン!と合体させた。
「ほれ、この通り、
高い所の枝を切るハサミへと大変わり」
「変わり過ぎだろ!
どう見ても、その鞘に収まってた大きさじゃ無いじゃん!」
「まるで手品の様っすね」
「この一見するところ鞘に見える物は、
収納系の魔導具となっていて、
再び、この高い所の枝を切るハサミを収納してから取り出すと、
ほ~ら、この通り」
ショウセツが、高い所の枝を切るハサミをカシャン!と分解してから鞘に納め、
再び取り出してからガシャッ!と合体させると、
両手で扱う様な大きさを持つ植木バサミへと変化した。
「ハサミの形状が全く違う形へと変化したまでは、
縦しんば魔導具の性能と納得しよう
だが、持ち手の形状が変わってるのはオカシイだろ!
持ち手は鞘から出たままだったじゃん!」
「イッツ・ミラクルっす!」
「そこはソレ、当サイト特有の謎効果と納得していただければ幸いだな」
「だから、サイトとか言うなって言ってるだろ!」
「所謂、ファンタジー作用ってヤツっすね」
「そう言えば、ロックから『最果ての原野』ってのは、
碌な草木も生えない場所って聞いてたんだが、
そんな場所に、薬剤師のアンタが何をしに行ってたんだい?」
ショウセツの職業を聞いたアンジェラが、そんな疑問を投げ掛けた。
「ああ、それは地方のギルドを介し、
ロック殿の兄上の、リック殿が所属するパーティーより、
『最果ての原野』にのみ繁殖する特殊な薬草の採取依頼が入ったからだな」
「『最果ての原野』に、そんな薬草が生えてたんだ・・・ってか、
リック兄ィのパーティーからの依頼だって!?」
「ああ、あのパーティーっすね」




