国内ランク
「ロック様、ホワタ村の防護壁が見えて参りました。」
「暗くなる前に着いてよかったね~」
「これも、自分の普段の行いの良さのお蔭っすね!」
ゴーレム馬車の御者を務めていたカレンと、
御者台の隣に座って居たファニー、
そして、定位置となっている馬車の屋根に座って居たウィルが、
御者台と馬車の内部を隔てている壁に付いた会話用の小窓から、
馬車内に居るロックへと声を掛けて来た。
「おお、思ったより速かったな」
「普段の旅とは違って、碌に休憩時間を取らずに来たからね」
「強行軍の成果が出たハニ!」
疲れ知らずのゴーレム馬車を飛ばして来た甲斐もあって、
馬車の横にある大き目な窓を開けて、街道の前方を見たロックらの目にも、
ホワタ村をグルッと囲む防護壁が見えて来た。
ハバラの街にある『アンラク食堂』へと、
定期的に納入する契約をしている肉を届ける際、
何度か足を延ばしてホワタ村を訪れているので、
村を囲う巨大な防護壁を見てもカレンらが驚く事は無い、
尤も、最初に村を訪れた際には、
地方の村とは思えない規模の防護壁を見て、
それなりに驚きの声を上げた面々であったが、
ロックの「土魔法の練習に使っていたら、いつの間にか巨大化していた。」との言葉に、
「「「あ~、ロック(様)なら考えられるね(ますね)」」」と其々が納得をしていた。
「なかなか立派な防護壁だハニ!」
今回が初見のハニタロウが感心の声を上げる
「褒めてくれるのは嬉しいんだが、ハニタロウとドボルさんが造った
ハバラの街の防護壁の方が立派だろ?」
「それは、そうハニけど、
あの壁を造った頃のロックは子供だったんだハニ?」
「ああ、10歳ぐらいの頃だったかな?」
「その年で、あの高さの壁を造ったのなら大したもんだハニ、
かなり精密な魔力操作が出来なくては、直ぐに崩れてしまう筈だハニ」
「何しろ俺は、冒険者に向かないと言われている土魔法持ちだったからな、
余程のレベルまで、土魔法の腕前を引き上げて置かないと、
冒険者に成れないと思って必死だったんだよ」
「その甲斐もあって、今じゃ冒険者に成れたばかりか、
チョイデルの街の冒険者ギルドの稼ぎ頭だからな」
「ロック様なら、ザドス王国全体で見ても上位の稼ぎじゃないんですか?」
「そうだよね~」
「ロック先輩のアイテムボックスに入れてある数々のお宝を、
全部、現金化出来ればトップも夢じゃ無いっす!」
「いや、上には上が居ると思うぞ、
特にA級の冒険者パーティーの面々なんて、
相当の強者揃いなんだろうから、
その稼ぎもハンパじゃ無いんじゃないのか?」




