ホワタ村ブートキャンプ
「では、我が村の冒険者向け訓練方法を順を追って、
ご説明しようかと思います。
まず、朝一番に行うのが準備体操です。」
「ジュンビタイソウ?
ジャンヌ知ってるかの?」
「知ってるかの?」
「いえ、恥ずかしながら存じ上げません」
「マックよ、ジュンビタイソウとは何なのじゃ?」
「何なのじゃ?」
「はい、準備体操とは、
激しく体を動かす前に、筋肉や関節を解す行動です。」
「その様な事が必要なのかの?」
「なのかの?」
「はい、姫様方にお聞きしますが、
訓練で一番多い怪我とは何だと思いますか?」
「それは、木剣による打撲や、
剣や槍などによる傷ではないかのう」
「ないかのう」
「一見そう見えますが、
それらの怪我は目に見えるものなので、
一番多く見えますが、
実際には、無理な体勢から攻撃して筋肉を傷めたり、
足首を捻って捻挫したりなどが多いのです。
これらの怪我は、自分から申し出ないケースが多いので、
表面化しずらいのですよ」
「そうなのか?ジャンヌよ」
「ジャンヌよ」
「はい、申し出ない者が多いのは確かですね、
その場は我慢して訓練を続けて、
症状を悪化させる者を良く見ます。」
「ほう、それは知らんかったの」
「知らんかったの」
「それらの怪我を防ぐには、
筋肉や関節を常に柔軟に保つ事が重要なのですよ、
そして、それに効果的なのが柔軟体操と言う訳です。」
「なる程の、良く分かったのじゃ」
「分かったのじゃ」
「では、次に移りますが、
柔軟体操を終えてから行うのが、
クロスカントリーコースを使ったランニングです。」
「クロスカントリーとは何なのじゃ?」
「何なのじゃ」
「それに付きましては、
実際に見て頂いた方が早いので、ご案内致します。」
村長のマックは、王女らを先導して、
防護壁の内側にロックが土魔法で造ったクロ・カンコースへと、
案内した。
「おお、あれがクロスカントリーなのか、
村へ入った時に、何なのか気になっていたのじゃ」
「気になっていたのじゃ」
「はい、あの様に登り坂や、下り坂、
砂地や水堀などを走った方が、
平地を走るよりも、足腰を鍛えるのに効果的なのですよ」
「ほう、この村の訓練は色々と変わって居るのう、
その様な知識を、どこで仕入れたのじゃ?」
「仕入れたのじゃ?」
「それが、ロックが調べて来たのですが、
どこで、調べて来たかは話さんのですよ、
実際に、効果は上がって居るので、
特別、聞き出す必要もないかと思い、
放って居るのですが・・・」
「ふむ、特別な情報を秘匿するのは大事な事じゃからな、
その辺は良いであろうぞ」
「良いであろうぞ」
「はっ、ありがとう御座います。
では、続きまして筋トレですね」
「キントレとは何じゃ?」
「何じゃ?」
「はい、筋肉トレーニングを略して筋トレと申しまして、
大きな岩を担いで屈伸運動をしたり、
鉄の球を両手に握って、上下に上げ降ろしたりして、
筋肉を鍛えるのです。」
「それは、単純に力を付ける為のものじゃな?」
「ものじゃな?」
「はい、その通りです。」
「うん?あれは何をして居るのじゃ?」
「居るのじゃ?」
王女らの目に留まったのは、
木の枝にロープで、ぶら下がった岩を、
振り子の様に左右に揺らして、
その前で、子供たちが集中している様子であった。
「ああ、あれは目を鍛えているのですよ、
あの、木から、ぶら下げてある岩には文字が書いてあって、
それを読み取ろうとしているのです。」
「その訓練に、どんな意味があるのじゃ?」
「あるのじゃ?」
「何でも、剣の動きなどが良く見える様になるそうです。」
「ほう、剣の動きが見える様になるのか、
それは凄いのう。」
「凄いのう。」
「あちらでは、実際に木剣などを使っての、
戦闘訓練を行って居ります。」
「おお、これは普通の訓練の風景・・・うん?
あの、剣や槍に付けてあるのは何じゃ?」
「何じゃ?」
「ああ、あれは重りであります。
体の負担にならない様に、
半年ごとに1キロづつ増やして行って、
最終的には5年で10キロ増やします。」
「おお、それは力が付きそうじゃな」
「付きそうじゃな」
「はい、子供たちが冒険者に成る為に、
この村を出る頃には、
皆、大剣でも軽々と振れる様になって居ります。」
「何とも、変わった訓練ばかりの村じゃな」
「村じゃな」




