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ギガンテスのスター  作者: シュウ
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ツインのじゃ姫

何故なぜ、騎士団に入る事が出来ないのじゃ?」

「のじゃ?」

馬車の中から、

見るからに高そうな衣装に身を包んだ、

少女が2人出て来て、ロックに問いかけた。


「姫様方、不用意に表に出られては困ります。」

女性騎士のジャンヌが進言した。


「姫様方?」


「ああ、ロック君、

こちらにられる方々は、

ザドス王国の国王でらせられる、

イカヅチ・トールハンマー・ザドス王が御息女ごそくじょ

ミリアンプ・メアリィ・ザドス王女様と、

ミリボルタ・ポリアンヌ・ザドス王女様だ。」

王女様方は見た感じ双子ふたごらしく、

髪と目の色以外はソックリであった。


「そうなのですか、

王女様方、お初にお目に掛かります。

私は、近くのホワタ村に暮らして居ります

ロックと申す者で御座います。」


「うむ、ロックか、

わらわの事はミーアと呼ぶが良いぞ。」

「ミールと呼ぶが良いぞ。」

どうやら、髪が緑色で、目が青色なのがミーアで、

髪が青色で、目が緑色なのがミールの様だ。


「ミーア様と、ミール様で御座いますね、

よろしくお願い申し上げます。」


「うむ、苦しゅうない、

それで、先程の質問の答えは、どうなのじゃ?」

「どうなのじゃ?」


「はい、先程の答えですが、

私は戦闘スキルを持たず、

魔法も土魔法しか御座いませんからです。」


「ジャンヌ、それだと騎士団には入れんのか?」

「入れんのか?」


「はい、騎士団への入団資格は戦闘スキルを所持しているか、

白・火・水・風魔法のいずれかを、

所持していなければりません。」


「そうであったのか、

では、先程のジャンヌ達の会話を、

馬車の中で聞いて居ったのじゃが、

盗賊共を倒したのはロックとの事じゃったが、

如何にして倒したのじゃ?」

「倒したのじゃ?」


「はい、盗賊共は、

土魔法で造った泥の球を、

投擲スキルで投げて倒しました。」


何故なぜ、泥の球なのじゃ?

ロックは土魔法で岩の球は造れんのか?」

「造れんのか?」


「いえ、造れますが、

岩の球では、盗賊共を殺してしまいますので、

意識をうばために、泥の球にしたのです。」


「盗賊ならば殺しても問題なかろうに。」

「なかろうに。」


「姫様方、ロック君は冒険者の卵ですよ、

冒険者が盗賊を討伐とうばつするさいは、

懸賞金の他に、盗賊を犯罪奴隷として売却ばいきゃく出来るので、

生け捕りにする冒険者も多いのですよ。」

ジャンヌが、ロックのフォローを入れてくれた。


「何と、奴隷として売れるのか、

それは知らなかったのじゃ。」

「知らなかったのじゃ。」


「それにしても、

ロック君の手際てぎわは見事でしたよ、

私共が、道に落ちていた盗賊共を拘束こうそくしながら来たのですが、

どの盗賊も障害が残らない程度の力加減で、

キッチリと気絶して居りました。」

他の騎士もロックの手際を褒めてくれた。


「ほう、それ程の手際であったのか・・・

ロックよ、もし岩の球を投げておったとしたら、

盗賊共を生かして置くのは難しかったか?」

「難しかったか?」


「はい、私の投擲は強力過ぎるので、

魔獣ならかく、人では生け捕りは難しいと思います。」


「ほう、投擲とは、それ程に強力なものなのか・・・

それならば、投擲スキルで騎士団に入れんものなのかな?

ジャンヌよ。」

「ジャンヌよ。」


「いえ、普通、投擲では、

余程、当たり所が良くなくては、

敵を仕留める事が出来ませんので、難しいと思われます。」


「そうなのか?

ロックよ、そなたの投擲スキルとは、

どの程度の威力いりょくを持つものなのじゃ?」

「ものなのじゃ?」


「え~と、

あちらの山が見えますでしょうか?」


「山と言うと、

あの遠方えんぽうに見えている、

天辺てっぺんの一部が欠けておる山の事か?」

「の事か?」


「はい、その山の事であります。

あの天辺の一部は、私が投擲した岩で欠けたのですよ。」


「「「「「え~っ!?」」」」」

ロックの言葉に、

ジャンヌを始めとする騎士団の面々が、

驚きの声を上げている。


「ジャンヌ達の様子を見ると、

ロックの投擲スキルは普通じゃ無い様じゃな。」

「様じゃな。」


「当たり前ですよ姫様方、

ロック君をうたがう訳では、御座ございませんが、

実際に、この目で見てみない事には、

到底とうてい信じる事が出来ません。」

流石さすがにジャンヌも信じられない様だ。


「では、実際に見れば良いだけの話じゃ、

ロックよ、わらわたちに見せるのじゃ!」

「見せるのじゃ!」


「実際にですか・・・分かりました。

ご覧に入れましょう。」

(父さんには禁止されてる全力投球だけど、

王女様に命令されたんじゃ仕方ないよなぁ・・・)


「ハッ!」

ロックは、アイテムボックスから岩球いわだまを取り出すと、

大きく振りかぶってから、思い切り投げた。


ロックの手からはなたれた岩球は、

キーンという音をはっしながら、標的の山へと飛んで行くと、

その天辺を大きくけずり取り、

バコン!という音が、遅れて聞こえて来た。


「おお!ロックが申した事は真実であったな!」

「であったな!」


喜びの表情で、はしゃぐ王女たちに対して、

「「「「「・・・・・・。」」」」」

騎士団の面々は、驚愕きょうがくの表情のまま、

形が変わった山の方向を、ただ見つめるばかりであった。


一方、その頃のホワタ村では、

「ロック~!!」

ロックの父マックが、いかりの雄叫おたけびを上げていた。

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