直系・傍系
「「「ただいま~(っす!)」」」
買い物を済ませたロック達は、ガッポリ商会の面々に別れの挨拶と、
友達価格への割引の礼を告げるとホテルへと戻って来た。
ちなみに馬車以外の荷物は魔導バックに詰め込んでから、
ロックのアイテムボックスに収納しており、
馬車は、明朝の出発時にガッポリ商会で受け取る事になっている、
ホテルに戻ったロックらは、留守番をしていたアンジェラやファニーも交えて、
明日以降の予定を話し合う為に、カレン達の部屋を訪れる事とした。
「ああ、おかえり」
「お帰りなさいませロック様、ウィル君、
おかえり~お姉ちゃん」
「何か不自由とか無かったですか?アンジェラさん」
「良く無いホテル従業員が居たら、自分が瞬殺するっす!」
「ああ、全くと言って良い程無かったね、
流石、一流と呼ばれるホテルだけの事はあるね、
奴隷や子供と見下す事は一切無く、普通の宿泊客としての扱いだったよ」
「美味しいお菓子とか、果実水を頂きました。」
「そうですか、それは良かったです。」
「ながれいし~っす!」
「そっちの買い物は上手く行ったのかい?」
「ええ、カネーちゃんの所で、必要な物は全部揃えられたんで良かったです。」
「スマイル0ギルっす!」
「アンジェラさん!ロック様が私達の装備も揃えて下さったんだけど凄いんですよ!
ロック様、申し訳御座いませんが魔導バックをお出し頂いても宜しいですか?」
「ああ、良いぜ」
ロックは、アイテムボックスから、
カレン達の荷物が詰め込まれた魔導バックを取り出して、
カレンへと手渡した。
「アンジェラさん、両掌を上にして前に出してくれますか?」
「ああ、こうかい?」
アンジェラが、カレンに言われた通りに腕を出す
「これが、アンジェラさんの新しい武器ですよ」
カレンは、そう告げると魔導バックから出したハルバードを、
アンジェラの両掌の上に乗せた。
「うおっ!重っ!私の新しい武器だって?
この手触りからすると形はハルバードみたいだね、
しかし、この重さは・・・もしかして、黒魔鋼製なのかい!?」
「おお、流石ですねアンジェラさん、
重さだけで黒魔鋼製と気付くとは、お見それしました。」
「ながれいし~っす!」
「冒険者に取って黒魔鋼製の武器は憧れの的だからね、
私も、とてもじゃないが手は出ないものの、
良く武器屋に行っては、親父さんに頼み込んで触らせて貰ったものさ、
しかし、黒魔鋼製の武器とは随分と張り込んだものだが、
良いのかい?まだ、私の目が本当に治るか分からないってのに」
「ああ、そう言えばアンジェラさん達には、まだ言ってませんでしたが、
ウィルの伝手で水妖精王様には、お会いする事が出来るんですよ、
仲良くして頂いてるんで、俺達がお願いすれば多分治してくれると思うから、
その辺は大丈夫だと思いますよ」
「オオフナで降りた心算で居て下さいっす!」
「カネーさんの話を聞いて規格外の水妖精だと思っちゃいたが、
水妖精王様への取り次ぎが出来るって事は、
もしかして、ウィルは『直系』なのかい?」
「そうっす!自分は水妖精王様の『直系』っす!」
「通りでね・・・
ロックの土魔法が幾ら凄いとは言っても、
たった2人で、あのシャッキーン・バードを倒したなんて、
おかしいと思ったんだよ、
前代未聞の優れた土魔法使いのロックと、
水妖精王様『直系』のウィルとで倒したってんなら、私も納得が行くね」
「ウィル、『直系』ってのは何なんだ?」
「水妖精王様に依って生み出された水妖精が『直系』っす!
それとは別に、水妖精王様の御姉妹に依り生み出された水妖精は『傍系』っす!」
「『直系』と『傍系』とでは能力とかが変わるのか?」
「全然、違うっすね、
沢山の水妖精の中から、一番優れた者が水妖精王様と成られるんっすけど、
その時に、この世界を治める女神様から『神力』っていう力を、
分け与えられるんっすよ、
うちら『直系』は、その『神力』を更に分け与えられているんっす」
「おおっ!神の力って書いて『神力』って、何か名前からして凄そうだよな」
「いや~、それ程でも有るっす!」
「まさか、ウィルが『直系』とはね・・・
私も、冒険者って職業柄、何度か妖精を見た事があるけど、
『直系』を見たのは初めてだね」
「へ~、ウィル君て凄いんだね」
「スゴイ!スゴイ!」
「いや~、自分なんてマダマダっす!
ロック先輩の元で、選り高みを目指すっすよ!」
「そりゃ心強いな、私達も負けずに頑張るから宜しくな!」
「私も負けないからね!ウィル君」
「うん、負けない!」
「こりゃ、俺もウカウカしてられないな、
パーティー・リーダーの座を守る為にも、選り精進していかなきゃな」




