オーク狩り
ジョセフさんの止まれの手信号を見て、
動きを止めたロックは、
ジョセフが指差す方向を見てみる。
すると、身長2メートル程の、
2足歩行するブタが3匹歩いているのが、
目に入った。
(あれは、ファンタジーでは定番のオークってヤツらかな?)
ジョセフから、攻撃せよの手信号が出たので、
ロックは、アイテムボックスから岩球を取り出すと、
オークに向かって投擲した。
すると、先頭を歩いていたオークの胸に、
ボコッ!と穴が開いて、
後ろを歩いていたオークたちに、
血飛沫や肉の破片が降り注いだ。
「「ブヒヒッ!?」」
オークたちは、敵を探してキョロキョロしているが、
見付けられない内に、
もう一匹の胸にもボコッ!と穴が開いて倒れ込んだ。
「ブヒッ!?」
ここに来て、漸く最後の一匹は逃走に入ったのだが、
時、既に遅く、5メートル程走った段階で、
他の2匹と同じ様に倒れた。
「良し!完璧だぞロック、
ちゃんと、頭と腹を避けて倒したし、
無駄な戦闘をする必要は無いからな、
魔獣と剣を交えずに倒すのが一番だぞ。」
「はい、ありがとう御座います。
ジョセフさん。」
「じゃあ、俺が素材の剥ぎ取りをするから、
見て覚えるんだぞ。」
「お願いします。
そう言えば、あの魔獣はオークで間違い無いですか?」
「おお、あいつらはオークで合ってるぞ、
ゴブリンと共に、常時討伐依頼が出てるから、
冒険者が受けるクエストの定番だな、
ちなみに、ゴブリンと同じく左耳が討伐証明部位で、
魔石がゴブリンより少し高く売れるし、
肉も美味くて人気があるから、
そこそこの値段で売れるぞ。」
「それじゃ、皆、ゴブリンじゃなくて、
オークを狩る様になっちゃうんじゃ無いの?」
「オーク共の力は、ゴブリンとは段違いだからな、
初心者の冒険者たちが、
返り討ちに遭う機会が一番多いのが、
このオークなんだ、
頭の良い新人たちは、ゴブリン討伐クエストで、
しっかりとした力を付けてからじゃないと、
オーク討伐クエストには挑まないんだぜ。」
「僕は、まだ冒険者デビューも果たしていない、
タダの素人なんだけど・・・」
「ロックの場合は、
俺って言うベテラン冒険者OBが付いているし、
お前が、並みの冒険者以上の実力を持っているのは、
確かだしな。」
「そうなの?
僕も、冒険者に成れるかな?」
「勿論、成れるさ!
お前の兄貴たちも一流冒険者になれる素質を持っていたが、
俺は、ロックが兄貴たち以上の冒険者に成るって、
踏んでるんだぜ。」
「ありがとう御座います。
元A級冒険者パーティーに所属していた
ジョセフさんに、そう言って頂けると、
とても、自信になります。」
「おう!ロックは、
もっと自信を持った方が良いぞ、
ただし、慢心も禁物だぞ、
一流冒険者っていうのは、ただ強いだけじゃなくて、
自分が勝てる相手と、勝てない相手を見極められるヤツらを指すんだ。
年を取って引退するまで生き残った冒険者が、
本当の一流冒険者だぞ。」
「はい、肝に命じて置きます!」
「良し!
じゃあ、オークの解体を始めるとするかな。」
「はい。」
ジョセフが見本として、
1体目のオークを解体し始める。
「まずは、討伐証明の左耳を切り落として、
腹の中から魔石を取り出す。
本当は内臓も煮込むと美味いんだが、
足が早いから、取り出して捨ててから、
肉を切り分けて行くんだ。」
「僕の、アイテムボックスに入れて行けば腐らないから、
内臓も捨てなくて良いんじゃないの?」
「そう言えば、そうだな、
良し、残りの2匹はロックのアイテムボックスに入れてくとするか、
村に帰ったから解体する様にすれば、
血抜きをする時間も省けるしな。」
「うん、そうだね、
じゃあ『収納』っと・・・あれ!?」
「どうしたんだ、ロック。」
「うん、オークをアイテムボックスに収納したら、
『解体』しますか?って聞いて来たんだ。」
「お前のアイテムボックスは、解体機能付きなのか!?」
「これが何か、知ってるの?
ジョセフさん。」
「おお、極稀になんだが、
アイテムボックス持ちのヤツの中に、
魔獣を収納すると、自動で解体する機能を持ってるヤツが居るんだ、
超便利機能だから、パーティーメンバーとして、
引く手数多だぞ。」
「へ~、そうなんだ、
じゃあ、将来、僕が冒険者に成れたら、
パーティーメンバーを探すのには苦労しなさそうだね。」
「おう、そのアイテムボックスの事を聞いたら、
争奪戦が勃発するぞ、
ロック、早速、解体機能を使ってみろよ。」
「うん、『解体』・・・おおっ!」
「どうだ?ロック。」
「え~と、討伐証明の左耳と、魔石と、
肉とモツと油に分かれたみたい。」
「おお!そりゃ便利だな、
ちゃんとモツが残ったし、
抽出するのに面倒な油が残るのは良いな。」
「油って食用に使うの?」
「ああ、食用にも使えるし、
獣脂ランプにも使えるぜ。」
「へ~、ランプにも使えるんだ。」




