チュロス。
すったもんだでエントランスを抜け、僕たちは早速人気のライド系の乗り場へと向かう。
そこで目当てのファストチケットを発券すると、卯咲さんが不思議そうにそれを眺める。
「何それ?」
「このチケットにある時間に行けばそんなに並ばなくてもいいんだよ。卯咲さん知らない?」
「し、知ってる知ってる!」
知らないんだな。
とりあえずチケットの指定時間までにはずいぶんとある。
「今のうちにそれほど並ばなくても乗れるようなの乗っとく?」
「あ、じゃあこれなんかどうかな?」
そう言って、僕の提案に卯咲さんが入口でもらったガイドを開いて指差す。
『白雪姫と七人の小人のゴンドラ。
暗闇の広がる深い森の中。道を進……』
「これはダメだよ」
「こういうの嫌い?」
「僕はなんだっていいんだけど、小毬がムリ」
「え、全年齢対象だよ? じゃあこれは?」
七つの海の海賊船。
「んー微妙。暗い所がダメなんだよ。な、小毬」
確認で小毬に話を振るも、行き交う人たちの食べ物に夢中だったらしく、不思議そうにこちらを見上げる。
「じゃあこれは?」
『小さな世界一周の旅』か。
「これならいいかも。その前に売店寄っていい?」
卯咲さんに確認を取ると、近くにあるワゴンで僕は四人分のそれを買ってそれぞれに配る。
食べながら歩けるしちょうどいいと思ったんだけど……。
「ご主人のこれ固くて甘いです」
「桐島君、これ長くて入りきらないよ。喉の奥まで届いひゃう」
選択を間違えた。
どうしてチュロスなんて棒状のものを買ってしまったんだ僕は。
そして相変わらずどうして二人とも齧ろうとしないのか……。
「き、桐島君のってこれくらい長いのかな……?」
ぼそりと呟いた卯咲さんの言葉は、僕の耳には届いていないことにした。
「き、桐島君! これ以上長いのはナシだからね!」
「何の話かわからないよ! でも心配ないよと言っておく!!」
「そっか……」
何でそこでちょっと残念そうな顔をするの?
「ごひゅじん、この筋のところにいっぱい溜まってる白いのおいひいれす」
「筋って言うな! それは砂糖のかたまりだ!!」
っていうか、お前天才か?
「私も白いのきれいにしてあげるね?」
「卯咲さんも何で僕に確認をとるの?」
「ご主人はこの棒のどこが一番好きですか? さくらはですね、この先っちょの角のところがしゅきれふ」
そういって一番敏感そうなところを舌先で攻め……舐めるさくら。
もう、『チュロス』といいうより『エロス』だ。
いや、それどころか『チュロス』という言葉自体がいやらしいものに思えてくる。
特に『チュ』と『ロ』。
僕は隣で一心にチュロスを齧る最後の良心に声をかける。
「小毬、うまいか?」
「なくてはならない」
「そ、そうか……」
この話……下ネタしか書く事ないかも……〆(・ω・`*)