コードネーム
視点はリクちゃんです。
この章はコロコロと視点が代わります(・・;
閉じ込められた薔薇の檻、その中でボクとソウナはハナ相手にとてつもなく苦戦していた。
「強いっ。ただでさえ足元にトラップ魔法があるのに、植物の相手なんてっ」
「もう降参なのね?」
ハナが魔力を練り、更にたくさんの植物が襲ってくる。
ルナで斬っても強制解除できないし、先程から防戦一方でこちらからハナに近づけたためしがない。
ボクが〈アイスフロア〉で地面を凍らせようとすると、ハナがめいっぱいに急激の温度差による爆発を起こす花(ルナ談)を咲かせるので土を凍らせるわけにはいかないのだ。
〈一の太刀〉を使おうものなら、ハナの居ない部分以外の全面に地雷を咲かせ、爆発させるのだから使えない。今までは魔法を易々を斬れていたから問題なかったが、いざ真正面から戦うとこうも手間取らせるのか。
「何か魔法は使わないのね?」
「使わせてくれるんだったら今すぐにでも使ってやるわ」
「魔法を使うのは勝手なのね。まぁこちらも植物は咲かせてもらうのね」
今まで一緒に居たのが仇となり、ハナはこちらの魔法をほとんど知りつくしている。それに比べ、ボクとソウナはハナの魔法を知らない。
そのハンデがある分。やはりハナに分がありすぎている。
「誰か来てくれれば……」
「残念だけど、見てわかるように私の魔法は大人数を想定した魔法ばかりなのね。何人来ても同じなのね」
そう言われてみればそうだ。植物を咲かせるだけの魔法が個人だけでなく大人数に向けて放てない訳が無い。
僕はそう考えて襲ってくる植物を斬り裂いて行く。
ブツンッと音を鳴らして切れて行く植物だが、しばらくするとすぐに再生してまた戻ってくるので厄介だ。
(せめて魔力供給線を断てれば……っ)
そうすれば全ての魔法が解けてハナはがら空きになる。それだけじゃない。ハナ自身に魔力を断ちきるルナで斬りつけたら、ハナはしばらくその部分は魔力が使えない。魔力回路を断ちきるからだ。
どの道ハナに近づくのが前提だ。ハナに近づけるとしたらここからだと数秒でつけるだろう。
ならば……。
「ソウナさん、しばらく守れますか!?」
「ええ、守るだけだったら誰よりもお得意の自身があるわ。どうするの?」
「ボクがハナさんへと飛んで攻撃します」
「絶対にあの植物に狙われるわよ?」
「そこは何とかできませんか?」
しばらく悩むようにするソウナ。ボクはその間迫りくる植物と、足元に生えてきた爆発する草木を避けながら返答を待つ。
「できない、事は無いわ。でも全部は無理よ」
「お願いします! シラ!」
『わかりました』
ボクがシラを背中へと移すと、背中の羽根を感じ取り、すぐさま空へと飛んで上空からハナへと下降する。
「そんなことできるなんて聞いてないのね。まぁでも、問題は無いのね!」
ハナが植物を操っていたその片手をこちらへと向けると、ソウナへ襲っていた植物の内半分がボクの方へと襲ってこようとする。
「させないわ! あなた達の相手は私よ! 〈武盾〉!」
すぐさまソウナが発動させた本来防御魔法として使われるはずの魔法が壁として使われ、ボクとソウナをそれぞれ隔離した。
「うぅ、邪魔なのね! 〈黒薔薇〉!」
また新たな魔法を発動し、ボクの方へと延びてくる黒薔薇の植物。
ボクはそれを何度も切りはらったり、避けたりしてハナへと近づく。
そして、何とかしてハナの元へと近づくと、武器も何も持っていないハナの両腕へと刀を振るった。
「あ、くぅッ」
「これでもうその手で魔法を操る事はできな――」
ボクは両腕から血が出ているハナへと向き直すと、そこでは笑っているハナが――。
『いかん! 奴は分身じゃ! 離れい!』
「っ!?」
ボクはルナの声を聞いて即座に後方へと飛んだ。
するとハナだったものが急に膨らんで、大爆発を起こした。
「く、うわぁ!」
「きゃぁ!」
その爆風がボクとソウナをそれぞれ対極の場所へと飛ばし、ボクは何とか空中にとどまるも、ソウナは壁に近かったのが不幸だったようで、剣山のように突き出ている薔薇の棘へとダイレクトに当たってしまった。
「ソウナさん!? 大丈夫ですか!?」
「ありゃぁなのね。殺すつもりは毛頭ないから心臓とか脳は突き刺して無いと思うのね」
ハナの声がすぐ隣からする。
ボクはそれに一歩気づくのが遅れて、ハナが持っている緑色の鞭で腹を思いっきり叩かれた。
「ぐ、かぁっ」
そしてどうしたことか、そのあまりにも重い鞭によってボクはその場所から飛ばされ、地面を転がる。連続するかのようにして地雷のトラップ魔法が次々と作動し、大爆発が起きてボクは更にダメージを受ける。
爆発によって上空へと飛ばされたボクはそのまま無様に地面へと受け身も取れずに落ちた。
「がふっ。ゴホッゴホッ」
喉の奥から鉄の味がする何かが戻って来て、ボクは耐えきれずにそれを地面へと吐く。
ベチャッと音がして出された物を見ると、鮮やかな赤色をした鮮血だった。
「う……」
体中痛い。もう立っていたくないなんて思ってしまう。ここまで酷くやられたのは初めてのように感じる。
でもすぐに二回目かそれ以上だと知る。初めて竜田と戦った時も確か手ひどくやられたような気がしたからだ。
「〈治癒の光〉!」
急にソウナの声が聞こえたかと思うと、ボクの体から出てくる血が止血され、そして回復してくれる。
「ソウナさん、よかったです……」
「まだよく無いわ……。ハナさんにひとっつも攻撃が当たっていないのだから」
ソウナが近寄って来て、そして肩を抱いて立たせてくれる。
ハナはその様子を見ていて、ため息をついた後、肩を落として首を振っていた。
「まったく、素直に降参して私についてきたらどうなのね? 二人じゃ私になんていつまでたっても勝てないのね。コードネームの代表魔法も使っていないのね」
「コードネームの代表魔法?」
「ま、此処で捕まっちゃうような人に言っても特に問題ないのね。コードネームのつけ方はそれぞれ三種類あるのね」
なんかいきなり講座が始まった。
「一つ目はその人の職業なのね。まぁ『暗殺者』とか、『執事』とかがそうなのね。これは特に代表魔法なんて無いのね」
確かに風香は風系統の魔法を使っていたが特にこれといった強い魔法を使っているわけでは無かった。これを本人に言ったら失礼かもしれないが。
「二つ目は外見なのね。『黒騎士』とかがそうなのね。これも特に代表魔法なんて無いのね」
それはまぁ……黒騎士は外見に似合わずスピード系統の魔法を使っていた。目で追う事自体がとっても大変だったのだ。
「そして三つ目は……」
そう言って、ハナはその手を地面へとつけた。
すると、地面は段々と腐って行き、次第に周りの草木を全て枯らせてしまった。
「三つ目は代表魔法に則ったコードネームなのね。『追跡者』の竜田は〈浸透真〉。『腐敗花』の私は〈デットエナジー〉。どんな物でも腐らせれるのね。まぁ神具は無理なのね」
腐らせる。そんな魔法なんてあるの……?
『いや、普通人間が使えるような魔法では無いはずじゃ。おそらくあ奴が飼っている悪魔の力じゃろう』
つまり、悪魔が腐らせるような能力を持たせているのか。そう言えば先程倒れたビルは根元が腐っていた。ハナの仕業だったのか。
「ハナさん。そんなことを先に言ってしまったら私達は対抗するようにいくらでも考えを練るわよ?」
ソウナが疑問に思った事をそのままハナへと伝えた。
ボクもそれは気になっていた所だ。わざわざ言わなくても、というか言わない方が知らないから対策を練れない。もしかしてハナはもう勝てると算段をつけて――。
「そうだったのね!? 王からも話すなって言われてたのねぇ!!」
うん、元々敵だったと知っても、やはりハナはハナだった。
でも、容赦はしない。絶対に捕まえる。捕まえて、アキが知らないうちに事をすませたい。
誤字、脱字、修正点があれば指摘を。
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