フラグ回収?
「魔法を使って足場を作る、しかないね。ユウの炎はこんな距離作れないし……」
ユウが呟きながらこちらを見る。ボクの魔法〈氷柱〉ぐらいしか届かないのだろう。アキは阻害魔法しか持っていないのだから。
でも……さすがにこの距離を作ったことは無いので届くかどうか心配だ。それでも、やらないよりはましだろうと思い、魔力を練る。
「届いて……〈氷柱〉!!」
シラの魔力を最大限使い、魔法を放つ。氷が勢いよく伸びていく。
そして、あっという間に一キロメートルぐらいはありそうな反対側に到達。
「すごい! こう言うのだと大体橋をかけるような魔法を使うのに、まったく別の魔法で出来ちゃったね!」
「え!? 何でそういうのがあるって教えてくれないんですか!?」
驚くべき事実を言うアキに、ボクは勢いよく振り向いた。
「いや、届くかなぁって。ユウちゃんだってわかってたんじゃないの?」
「え? うん。だって〈フレイムロード〉だったら簡単に向こうまで乗って行けるからね♪」
この二人は……。
心の中でちょっと握り拳が作られるが、表には出さないようにした。
「それじゃあ、進もっか」
ユウがそう言うのでボクはさっさと〈氷柱〉の橋の上に足を乗せた。
その後をユウとアキが続けて渡ろうとすると……。
「つめたっ!?」
「え? そう? ユウ」
別になんにも冷たくは無いが。それより、ひんやりしててボク的には丁度いいのだが……。
すると、今度はアキが言ってくる。
「リクちゃんは冷たくないの!?」
「いえ、別に冷たくないですけど……」
そういえば、シラと契約していると人に害があるほどの冷たさにはなんにも感じないんだった。今なら海王星に行っても空気さえあれば立てる自身がある。
ユウもアキも〈氷柱〉の上から土の方へと戻って行った。
「これじゃあユウとアキさんは通れないね……炎の道通る?」
「私にとって丁度いい道は無いの!?」
そういえば、どうして〈氷柱〉がこんなにも冷たいのだろうか。
普段は他の人が当たっても別に冷たいとは感じても足が付けないほどではなかったはずだ。
氷の力が増大されている? そんなことは無い。いつもと同じように魔力を練った。魔力量が少し違うだけだ。
(ルナ、何かわかる?)
『そうは言われてものぅ……』
『るな。わたしは『冷気』をすこしもさげていません。つまり、かのじょらの『体感温度』。もしくは『魔法耐性』がなくなっているのではないでしょうか?』
『いや、まさか……。そうじゃな……相手は八千年も前の伝説。ありえるかもしれん』
勝手に二人で考えて結論を出しているルナとシラ。
(ルナもシラも、二人で納得してないで教えてよ)
『むぅ。すまん。リク、辺りを見回してくれんか?』
ボクはルナに言われて周りを見る。すると、所々に魔力粒子が残っている。その粒子がどことなく文字になっているよう感じがする。
『読めるか?』
(えっと……)
一つ一つ読んでみようと頑張ってみる。
だが、どれを見てみも、みた事も無いような文字。というか、模様?
そう言うのばかりで、とてもじゃないが読めそうにない。
(ごめん、なんて書いてあるかさっぱり分からないよ)
『すると、古代文字かのぅやはり。とすると、このフィールドはおそらくシラが言った様に魔法耐性を弱まらされておる。それもゼロ以下になるほどじゃ。気をつけた方がよいかもしれん。そうするということは、どこかに魔法を放つような化け物がおると考えた方が妥当じゃ』
魔法を放つ化け物……。
ボクはルナにそう言われて周りを見回す。でも、それらしき化け物が見当たるはずもない。
先に進まなければ出てこないと言ったところだろうか。ここら辺でユウ達に教えておいた方が言いだろう。
「ユウ……って、あれ?」
いつの間にかユウが後ろに居ない。
「ユウちゃんならもう行っちゃったよ?」
「…………へ?」
「だから、ほら。炎の道があるでしょ?」
アキに言われて気がつく。隣に炎の道が出来上がっており、氷が溶けている。しかもかなり熱い。氷が足元にあるのが救いだと思うほどとても熱かった。
「アキさん、ルナやシラに訊いたんですけど、ここ、魔力耐性をゼロ以下にするような魔法がかけられているみたいです。だから、普通は大丈夫のような魔法でも危険みたいです」
「うわっ。なにその魔法。そんなのやられたら兵士だけじゃない、魔法使いだって危ないじゃない」
防衛任務専門の炎を司る守護十二剣士。
そうか。一人で防衛をしなければいけないと言うことは、それなりに罠がたくさん欲しいということだ。
相手にバレず、どれだけ罠にかけるかが仕事、という事なのだろうか。
戦力増量である魔法生物もそのうちの一つ。強力で無いはずが無い。
「ユウちゃん。いつ戻ってくるんだろう……」
アキが心配そうな目でずっと先を見据える。深夜なハズなのにフィールド魔法のおかげで日が高いので、ユウの姿が見えるには見えるのだが……一体何をしているのだろう? そう思った時だった。
ユウが急に後ろに。つまりボク達の方に向かって高速で戻ってきたのだ。
「どうしたんでしょうか?」
「さぁ?」
ボク達はそんなユウを見ながら、その後ろに出てきた大きな……それはもう大きな物をみてぎょっとした。
だって……。
頭は蛇のようで、鋭い牙に鋭いニ角。
四足の足には鋭い爪。
体には鱗、背中に体ぐらいありそうな翼。
しっぽは少し膨らんでいて、棘がある。
それはつまり……。
「なんでこんな所に飛龍種がいるのぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおお!? フラグ!? ヘレスティアにつく前に妃鈴さんが話したあれがフラグだったのぉ!?」
どう考えても、ファンタジーに出てきそうな龍でした。
「って言うか、イノシシの次はゴリラとか、もっとマシな奴でしょ普通ぅぅ!!」
氷の上を走っているのではなく、低い低空飛行でユウを追っている。ユウは魔法を使ってギリギリで逃げれていて、時折来る龍の吐く炎を巧みに避けている。おかげで〈氷柱〉が物凄い速度で溶けて消えてしまった。
このまま〈氷柱〉の上に居たらやばいだろうと思い、ボクはすぐに後ろへと下がる。
そしてどんどん迫ってくる龍。その龍はボク達に気がつくと、こちらにも炎を放ってきた。
「うわわっと! 〈ジャンプ〉!」
「〈二の太刀 雪麗〉!」
炎が移動した後を通過。でも、確かに避けたのだが大量の熱気がまるで炎に焼かれているようだった。
『あ、あついです! こおりのてんかいをおねがいしますりく! わたしのたえれるおんどをこえています!』
「う、うん。〈フローズン・クリスタル〉!」
ボクの体から数センチの場所に氷の空域を展開。
一気に涼しくなるが、それでもまだ暑さが取れない。
当たったら絶対に溶けてしまいそうだ。いや、蒸発するかもしれない。
炎が通った後を見てみると、ユウが放った炎では燃えなかった木々が消えていた。黒い跡地だけが残っていて、他の物は何も無い。
当たっていたらと思うと、ボクは背筋が寒くなった。
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