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ヒスティマ Ⅳ  作者: 長谷川 レン
第二章 ヘレスティア
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水着公開



「あ、妃鈴さんもあそこに居るから、たぶんあそこですよね」

「だろな。ヘルもいるし……。んで、何で雑賀は倒れてんだ?」


 キリが倒れている雑賀を見ていると、ボクは妃鈴が持っている大盾に注目した。

 何かしらの事をした雑賀を妃鈴が天誅を下したのではないだろうかと物凄くわかりやすい状況だった。

 キリもそれに気がついたのだろう。それ以上は何も言わなかった。


「妃鈴さん、先に着替え終わっていたんですね」

「はい。天童さんだけに場所をとらせるのもと思いまして」


 妃鈴はあいかわらず雑賀の補佐という役割で行動しているらしい。

 いつでも雑賀の事が頭の中にあると大変ではないだろうか。


「それに、場所を取るとかいっときながら、他の女性をナンパしていたらと思い、なるべく早く着替え終わったのです」


 うん。雑賀の事では無くてナンパされていた女性の事が心配で早くこちらに来たらしい。

 まったく信用されていない雑賀であった。実際ボクもその事に関しては信用できないが。


「う、いてて……妃鈴……少しは加減と言う物をだな……」

「天童さんが変な事を言うからです」


 どうやら雑賀が起きたらしい。

 雑賀は後頭部を摩りながら顔を妃鈴へと向けた後、ボク達の方へと向いてきた。


「おぉ、リクちゃんたち、来て――」



 ――ブシャァァァァァアアアアアアアッッッッ!!



「雑賀さん!?」


 普通の人なら死ぬであろう致命的な血を鼻から噴水の如く出して雑賀は倒れた。


「雑賀さん!? 雑賀さん!? しっかりしてください! どうしたんですか!?」


 血はボク達にかかることはなかったが、シート、そして砂へとべっとりと付いた。

 こんな量の血を出して雑賀は大丈夫なのだろうか。


「て、天使が……俺の目の前に天使が……この人生……悔いは、無い……」

「雑賀さぁぁん!! 起きてください! どうしてそんな死んでしまうような遺言を言うんですか!?」


 ボクは必死に雑賀を起こそうとしている間。キリと妃鈴とヘルは白い目で雑賀を見ていた。

 一体雑賀の身に何が起きたのかは分からない。だが、何かしらの魔法を受けたわけでもなさそうだし、物理的に攻撃されたわけでもないだろう。


「リク。あんま雑賀に触れてやるな。病人はそこに寝かせとけ」


 キリにそう言われて、ボクは雑賀を横にする。

 なぜか幸せそうな顔で寝ているので命には別条はないと思うが、一体何が……。


「あれ? なんで雑賀寝てんの? って何これ!? 血!? お兄ちゃん此処で何があったの!?」

「ユウちゃん。雑賀さんなら、リク君とキリさんを見れば十分この状況を作れるわ」


 ボク達が更衣室を出た後に出た人達も集まった。


 ユウはあまり目立たないスポーツブラのような水着で、スパッツタイプを履いている。どちらもふちの部分に赤い線が入っていて、他は紺色だ。頭にはシュノーケルがついているので海の中に行く気満々だろう。


 ソウナは青色のセパレートを着ていて、腰には水色の膝下まで隠れるようなパレオを撒いている。とってもシンプルなのだが、ソウナにはそれで十分だと思ってしまうほど綺麗だと感じる。透き通るような水色の髪が眩しい。


「……やっぱり、キリえろい」

「ハァ!? 望んでこの姿になったんじゃねぇンだよ!!」

「でも、やっぱり思うところがありますわ……。わたくしの方が女歴は上ですのに……」


 イメージカラーが黒だという白夜は、そのまま黒色のビキニを着ている。前にデルタが白夜は着痩せしていると言っていたのが当たり、服を着ていた前と今では、胸の部分が更に押し上げ、キリほどではないが豊満な胸を覗かせている。


 レナは藍色のフリルのついた水着を着ていて、麦わら帽子も被っていた。レナの場合、それだけで周囲の雰囲気が違っており、お金持ちを連想させていた。


「海って残酷だよ~……。どうしてこうも現実を突き付けてくるの~……」

「マナ姉。ユウも思ってた……。だってあれ、凶器じゃん。何よあれ。今すぐにでも消し済みにしたいんだけど……」

「大丈夫だよ二人とも! ひんぬーはステータスだから!!」

「「今ここで一番初めに燃やされたい?」」


 マナとユウに睨まれたアキはすぐさま離れて逃げた。


 マナは赤い花柄のタンキニでショートパンツを履いている。下にビキニタイプを着ているという、2パターンを楽しめるような水着と説明されていたが、マナはおそらく脱ぐつもりはないだろう。


 アキはシマシマの入ったビキニを着ていて、スカートを履いている。ボクの履いているスカートは横に線が入って足が見えるようになっているが、アキのは入っていない。


「リクお姉ちゃん、可愛いぃ。寝虚もお姉ちゃんみたいに育つかなぁ?」

「うん。寝虚ちゃん。ボクみたいに育つことはできないから」


 寝虚が眠たそうな目でボクを見ながらそう言うのでボクは素直にそう言ってあげた。ボクだってこんなふうに育ちたくはなかった。

 寝虚はフリルのついたワンピースタイプの水着を着ている。さまざまな色の鮮やかなデザインとなっている。


 そういえば、先程まで寝虚はフード付きの寝間着姿だったのでこうやって見るのは初めてだ。

 くるんっと丸まった茶色い毛先に黄色の瞳。幼さを感じるその顔。ちょっと見方を変えれば何も考えていない幼子に見える。こんな子が強大な力を持っているのだから、初見で驚くのは間違いないだろう。

 ボクはそんな寝虚を抱きかかえ、用意されていたテーブルの椅子へと座らせた。


「それじゃあ、なにで遊ぶんです?」


 ボクが振り向いた時だった。


「あぁ、リク。あいつらもう行ったぞ?」

「へ?」


 いつの間にか、此処に居るのがボク、キリ、妃鈴、雑賀、寝虚だけとなっていた。

 …………自由だなと思ったけど何もボクは言わなかった。


「えっと、どうします? キリさん」

「俺はしばらく此処に居る。正直、どっこも行きたくねぇ……」


 キリがそう言うので、ボクは「わかった」と言って、寝虚の手を取って他の人達を探しに行く事にした。そう遠くには言っていないとは思うが、とりあえず、一番探しやすいだろうユウを探しに行く事にする。


 ユウは確かシュノーケルを持っているはずだから、海のどこかで泳いでいると思ったからだ。

 ボクと寝虚は海までくると、波が来て足元が濡れる。サンダルも買っているので別に濡れてもいいが、とっても冷たくて気持ちがいいと感じる。


「冷たぁい」

「そう? 寝虚ちゃん、入るのやめる?」


 ボクがそう言うと、寝虚が首を振る。ボクはその仕草に微笑んで、それから海に少しずつ入っていく。


「ひゃぁ……」


 やっぱり冷たいのか、寝虚がボクへとしがみついてくる。眠たそうな瞳は海へと向いている。もしかして海に入るのは初めてなのだろうか。


「寝虚ちゃん。海に入るのは初めてなの?」

「初めてぇ。だと思うぅ」


 どっちだよと言いたかったが、初めてというのだから初めてだろう。

 ボクはゆっくり海の中に入ると、寝虚がしがみついてきた所まで水がきた。


「ふわぁ……」


 やっぱり冷たいのか、寝虚は熱を求めてボクへと更にしがみついてくる。

 残念、ボクはシラが居るので体温がいくらでも下がる。だからあんまりしがみついても意味が無いのだが……。


「何してるの? お兄ちゃん♪」


 寝虚と一緒に海に入ると、そこには探していたユウが居た。


 いや、いくらなんでも早くない?


 ユウはやっぱり潜っていたようで、髪が濡れていて、光に照らされている白銀の髪が薄赤い光を反射している。

 今はシュノーケルをあげていて、こちらを不思議そうに見ていた。


「ユウを探していたのも合ったけど、今は寝虚ちゃんに海を慣れさせる事かな……」

「ユウを探してたの? じゃあじゃあお兄ちゃん♪ あそこに見える岩まで泳いで競争しようよ♪」

「今聞いてた!? 寝虚ちゃんに海を慣れさせようって――」

「寝虚慣れたよぉ?」

「早っ!?」


 いつの間にか寝虚は先程よりもボクにしがみついておらず、ボクの肩を掴んで浮いているぐらいだった。


「よし! じゃあ競争しよ♪ 先についた方が出店のヤキソバ奢るの♪」

「えぇ!? ちょ、ユウ、寝虚ちゃんどうするの!?」

「ん? じゃあ、寝虚ちゃんは先にあの岩の所まで行って、先にどちらがついたか教えてね♪」


 ユウがそう言うと、寝虚は「わかったぁ」と言って海の上を走って岩の上に乗った。

 うん。海の上って走れるんだね。初めて知ったよ。

 すると、いきなり寝虚が手をあげた。


「よぉ~い~」


 魔法か何かでボク達に聞こえる寝虚の声。どうやらあの手はスタートを切る合図か何からしい。


「どぉん」


 寝虚がそう言うと、手が下に下ろされた。

 その瞬間、ユウが水しぶきを上げながらクロールでまるで人魚の如く泳いでいったのに対し、ボクは慌てて追うようにして泳いでいった。


 どうしてこうなったって思いながら……。

あまり水着について突き止めないでください……。

私のファッションセンスなんてそんな物です……(。。;


誤字、脱字、修正点があれば指摘を。

感想や質問も待ってます。

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