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ヒスティマ Ⅳ  作者: 長谷川 レン
第二章 ヘレスティア
13/72

海なのに更衣室ってあるんですね……



「うみだーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

「ビーチだーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

「映えわたるにょた――」


 最後の言葉は女性陣により全力でボコられて途切れた。


「あいかわらずだな雑賀……」

「は、はい……。どうしてああも揺るがないのでしょうか……」


 ちなみに最初の二つはアキとユウの言葉である。

 雑賀はとっても熱い砂の中に体の半分を埋められ、すぐに這い出て来ていたところだった。


「さっそく着替えよっか!」


 妃鈴が着替え専用の更衣室があると言うので、雑賀以外がそちらに向かう。

 雑賀は先に場所を取っていると言うのでユウが出したシートとパラソルを持って先に浜へと向かっていった。ちなみにその後をこっそりと着いて行こうとしたボクとキリは捕まっている。


「ちょっと待てお前ら! 俺らが入ると何かとマズイだろうが!」


 キリが白夜に掴まれた腕を振りほどこうとしながら反抗してくるが、アキが首を傾げながら他のみんなに訊いた。


「何か問題ある?」

「無いわ」「無いね~」「別に無いですわ」

「……むしろ見る度胸があるとは思えない」

「「「うんうん」」」

「テメェ等今すぐにでもぶち殺すぞ!?」


 口ではそういう物の、キリは絶対にそんなことはできないだろうことは此処に居る誰もが知っている。

 更衣室へと無理やりに入れさせられ、買った水着を問答無用で渡された。

 周りに他の女の人もいるので絶対に見ないようにして隅を確保する。


「…………」


 どうしようか迷っていると、あまり周りを見ずに同じく考えていたキリと目があった。


「……〈シャドー〉。……見張ってて」


 白夜が魔法を発動。お目付け役が付けられる。


「「…………はぁ」」


 ボクとキリは、二人して同時にため息をついた。

 もう諦めたのである。これ以上抵抗しても無駄だろう。なにせ、白夜が出した〈シャドー〉。なんか強いのだ。魔力がいつもよりも込められているのだ。

 本気を出さない限り倒せないだろう。


 そして、今この場でそんなことをしようものなら怪しまれる事間違いなし。〈シャドー〉は他の人に気づかれないようにして、ボク達だけに見える角度で鎮座しているので逃げれないのだ。

 それにしても……これを……着なければならないのだろうか。


 手に持つのは水玉模様のセパレートで、ボトムの方にはちょっとしたスカートのような物もついている。それでも、肌の露出がかなり広いのでボクはこの上になにか着たいと思うが、生憎と、着れるような衣服は持っていない。今着ている服が濡れると、今度はなにを着せられるかわかった物じゃないからだ。


 キリは、胸が以上に大きいために、初め店主がとてもきわどい水着やらを持ってきた。一瞬で断られたが。

 結局、キリの水着はほんの少し黒の混ざった黄色で統一された。が、キリの水着は少し面積の狭いと感じるビキニタイプ。それしか着れるような物は無かった。

 一応黄色だからそこまで魅惑的には感じないが、それでも少しは感じてしまう。体格からして。


「……キリ、エロい」


 着替え終わったキリの姿を想像したのか、白夜がキリに言う。


「はぁ!? テメェ等が勝手に選んだんだろ!?」


 確かに。あの時もほとんどキリに拒否権なんて与えられなかったような気がする。きわどい水着はキリでは無い人が拒否して断られたのだから。


「どうやったらあそこまで……」

「あの胸欲し~。……もぎ取ってみようかな」

「胸の大きい女なんて死ねばいいのよ……」


 キリが大声を出したので周りの女の人がキリを妬むようにして睨んでいた。

 別に女と言う訳でもないのに……かなり理不尽だと思う。


「……リクちゃん、可愛い」

「可愛いくありません!」


 白夜が今度はボクに向かって言ってきた。

 さすがにここでは男だと言えない。言ったら周りの人の目に敵意が浮かぶだろうし。


「可愛わよね……あの子」

「羨まし~。あの足とかすべすべしてそ~」

「いいなぁ。モテるんだろうな~。あんなマスコットほしなぁ」


 ボクが反論するとなぜか、先程までキリを悪く言っていたような周りの女の人からそう言われた。

 それと最後の人。マスコットなんかに絶対になってたまりますか。


 とりあえずさっさと着替えようとし、ボクはすぐに手をかけると、一つずつ衣服を脱いでいく。なるべく早く着替えてこんな場所さっさと出るのだ。

 そしての服を全て取り去って、すぐさま水着を持って身につけ始める。

 アンダーはホックとなっているので着なれた仕草ですぐに留める。首後ろは紐となっているので丁度いい所で結ぶ。

 うん。きつくも無いし丁度いい。男のプライドはとてつもなくズタズタだが。


「ふぅ……」

「いや、安心してるとこわりぃけどよ、早すぎねぇか!?」


 そうだろうか? 周りを見るとポカーンとしている人が複数人。


「早着替え……だと!?」


 アキがカメラを構えていたようだけど、そういえば着替えている最中一度もフラッシュは見えなかった。

 アキが残念そうにしていると、とたんにキリをキランと光った目で見た。


「撮った瞬間、お前砂の中に埋めるからな」

「ガーン! 弱みが握れると思ったのに……じゃあ胸を揉ませて!」

「ブン殴るぞ!?」


 キリにそう言われ、アキが落ち込むが諦めていないようにも見える。カメラをまだ握っていつでもシャッターをきれるようにしている。

 おかげでキリがそのカメラを取り上げた。

 今度こそアキが落ち込んで倒れ込む。


「わりぃ、リク。あいつら見張っててくれ」

「わかりました」


 キリはボクの影へと隠れて着替え始めた。とはいってもボクとキリの身長差は20ぐらいある。完全に隠れるわけではないが、それでも白夜たちからは見えないように立つ。


「むー。あれじゃあ頭の中身にも記憶できないよ」

「……リクちゃん。……どいて。……キリの裸を見れない」


 主に二人がキリの着替えを覗こうとする。

 アキは写真目的か、そのヌードモデルを記憶して他の紙に書きうつしたりして売る気だろうが、白夜は完全に興味本位だろう。

 ボクが居て絶対に見えない事がわかると、さすがに諦めたのか、二人とも水着に着替えるために服を脱いでいった。


「ってえぇ!? ちょ、ま、待ってくださいよ!」


 ボクは急いで逆方向を向こうとすると――。


「ちょ、リク!?」

「わぁ!? ご、ごめんなさい!」


 キリが水着に手こずっている姿を見た瞬間すぐに目を瞑ってまた別の方を向いた。


「……計画通り」

「白夜さん!?」


 今頃白夜はしてやったりと言うドヤ顔だろう。心の中では。白夜はいつも無表情だからわからないが、最近はなんとなくでわかるようになってきている。


「…………リク。紐縛ってくんねぇか? やり方がわかんなくてよ……」

「え? あ、はい」


 ボクは目を開けてキリの方へと向くと、キリは壁側を向いていた。キリのほぼ裸といっていい後ろ姿を見てボクは少し顔を赤らめるが、さっさと終わらせようと、キリの水着に手をかけると、アンダーで紐を締めてから首後ろの方も締めた。


「きつくないですか?」

「さっきまで着てたのよりはきつくねぇ」


 つまりさっきまで身につけてた下着はきつかったのか。


「にしても……、これ、お前恥ずかしくねぇのか? ほとんど下着じゃねぇか……」

「う……。恥ずかしいですよ……でも、一応ボクのはスカートついてますし……」

「俺は今すぐにでも脱ぎたいんだが」

「が、我慢してください」


 それしか言えなかった。

 ボク達は着替え終わったので、先に行くと言って女性陣の着替えを待たずして外に出ようとする。

 いつまでもあの空間に入れないからだ。


「みなさん。先に行ってますね」

「……待って、リクちゃん」


 白夜にそう呼びとめられ、ボクは不思議に思いながら先程脱いだと思われた服を着たままの白夜を見る。

 すると、白夜が一点に集中したまま、動かない。


「あ、あの……なんです、か?」


 白夜のその目に不安を覚え、キリを探したが、そのキリはすでに更衣室から出ているのか、周りに見えなかった。


「……リクちゃん。……動かないで」

「え?」


 そう思ったのもつかの間……。



 ――するりとまるで手慣れた手つきで胸と水着の間に手を入れてきた。



「ふぁっ!? い、いきなり何する……ひゃうっ!」

「…………」

「ちょ、っとぉ……。や、やめて……くださぁんっ」

「……くださんって何? ……よくわからない」


 「わかってて訊いてるでしょ!?」というような抗議の声をあげることもできずに、白夜に変な所を触られたりして手は止まらず、声が次第に熱を帯びてくる。体全身が少し火照ってきた所でようやく白夜が手を納めてくれた。


「はぁ……はぁ……な、なにするん……ですか……」

「……ズレてたカップを直しただけ。……ナイス反応」


 ボクは先程まで冷たかったはずの体全体は火照り、熱を帯びると同時、呼吸が少し早くなり、熱のこもった吐息が漏れていた。

 ボクは答えた白夜を見るが、その顔はとても満足した顔に見えた。


「い、行きますからね!」


 ボクは暑くなった顔をうつむけながら更衣室の外へと出て、キリの後を追っていった。





「……アキ、リクちゃんは正真正銘、Bカップ。……でも、もう少し成長するとCカップ」

「いや~。ありがと白夜ちゃん! スリーサイズは?」

「……71、48、72と言った所」

「綺麗な線だもんね……そんなもんか~。てかリクちゃん、イロっぽかったぁ。マナちゃんよりも小柄な体格なのに……これは売れる」


 にやけているアキをよそに、白夜は冷静に着替えをし始めた。



 その手に揉んだ感触を覚えときながら。

…………リクちゃんがイロっぽい声を……(・・

最後だけでしたが……作者である私が思いっきりこのベタな展開を忘れていたのです……(;・・

読者のみなさんごめんなさいm(_ _)m


誤字、脱字、修正点があれば指摘を。

感想や質問も待ってます。

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