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ビギニングオブテイル  作者: ソルラ
第一章 ~新たなる出会い~
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【1】 ~転校生~

「ふぁ~。ねむ」

 

 星原ほしばらみどりは陽気な太陽の光を浴びながら学校までの坂道を歩いていた。碧の周りには碧と同じように制服を着て学校へ向かう生徒で溢れかえっている。ただ、眠そうに欠伸をしているのは碧だけだ。


「やっぱ、眠い」


 碧がそう呟いたところに走って近づく人影一つ。


「うぃ~す! 碧、おはよう!」


 碧の背中を走ってきた勢いをそのままに平手で叩く少女。思いっきり大きな音がした。


「いっつ~。たくっ、何度も言うけどな、蒼衣、いきなり後ろから叩くな」


 碧の背中を叩いたのは桜井さくらい蒼衣あおい。軽くウェーブがかかった茶髪を背中の真ん中辺りまで伸ばしており、大きく爛々と輝く茶色い瞳が印象的だ。身体つきも出ることろは出て、引っ込むところは引っ込んでいるとても女の子らしい身体つきだ。だが、この容姿に騙されてはいけない。蒼衣はとても可愛らしい容姿をしていながらもその性格は男っぽいさばさばした性格なのだ


「あ~。ごめん。碧のことを見つけたらうれしくなって」

「だからって、叩くなよ」

「だから、ごめんって」


 碧は軽くため息をついてから歩き出した。


「あ、ちょっと待っててば」


 すぐに蒼衣が碧の横に並んで、一緒に学校へ向かう。これが碧の日常だ。

 学校へ着いた碧と蒼衣は一緒に教室へと向かう。二人は現在高校二年生。教室は校舎の二階だ。自身の教室へと着いた二人は自分の席へと向かう。碧は窓側の後ろから二番目という最高の席だった。蒼衣はその前。


「そういえばさー」


 席に着いた碧に向かって蒼衣が思い出したように喋りだした。


「今日、転校生が来るんだって」

「は? こんな中途半端な時期に?」


 碧の言う通り今は五月の中盤、ゴールデンウィークもとっくに終わった頃合いだ。


「でも、そうなんだって。こないだ、先生が話しているのを聞いた」

「ふ~ん」

「ふ~んって、もっと興味ないの?」

「別に」

「碧ってそういうところあるよね。もっと他人に興味持とうよ」

「別にいいよ」

「だから、友達が少ないんだよ」


 蒼衣の言う通りだ。碧に友達らしい友達といえば蒼衣ぐらいしかいない。


「別にいいよ。蒼衣がいれば」


 その言葉と共に碧は蒼衣に小さく笑顔を向けた。すると、蒼衣は顔を真っ赤にしてそっぽを向いた。


「碧ってそういうところあるよね」

「そういうところって?」


 碧が蒼衣の顔を見ようとしたから覗くと慌てて後ろを向く蒼衣。


「な、なんでもない」

「ふーん」


 まだ、小声で何かを言っていたが碧には聞こえていなかった。


「はーい。みんな席に着いて」


 そこに担任が入ってきて、席を立っていたクラスメイトは慌てて席に着く。


「みんな席に着いたわね。はい、今日は皆さんにお知らせがあります」


 教壇にに立った音無おとなし玲於奈れおなが言った途端クラス中がざわめきだす。


「静かに……今日はこのクラスに転校生が来ます。それじゃ、入ってきてください」


 玲於奈が言うと一人の女生徒が入って来た。女生徒を見た途端、静かになっていた教室がまたざわめきだす。

 ざわめきのもとは女生徒の美しい容姿にあった。汚れ一つない美しい金髪は優雅に腰まで流れており、大きなパッチリ二重の目は綺麗な青色。さらにはスタイルも抜群だ。豊かな胸が制服を押し上げ、その下に位置する腰は折れそうなほど細い。。背が標準的だが、それでもこの容姿をした美少女にはとてもじゃないが早々お目にかかれないほどだった。まるで、天使が現れたかのようだ。

 教室中が今しがた入って来た女生徒の容姿にざわめき立っている中、碧は退屈そうに窓の外を見ている。それも、そうだ。碧は本当に退屈だったからだ。


「ほら、静かにしてください……はい。静かになりましたね」


 ざわめく生徒たちに注意をすると、玲於奈は黒板に字を書き始めた。


「セシリア・F・イストリアさんです。今日からこのクラスで皆さんと一緒に勉強します。イストリアさん、自己紹介してください」


 セシリアは玲於奈のほうを向いて頷くと喋りだした。


「セシリア・F・イストリアです。イギリスからやってきました。気軽にセシーと呼んでくれるとう嬉しいです。よろしくお願いします」


 セシリアの声はまるで鈴の音を鳴らしたかのような綺麗な声だった。その声を聞いた瞬間、クラス中の男子生徒は酔いしれたようになる。


「それじゃ、イストリアさんに質問がある人はいますか?」


 玲於奈が言うとクラス中から手が挙がった。玲於奈はその中から適当に当てる。


「イストリアさんは、彼氏いますか?」


 これだけの美少女だ。言わない男子はいないだろう。ちょっと最初の質問にしては無粋だが。


「いえ。いません」


 そんな、初っ端にして無粋な質問にもセシリアは笑顔で答えてくれる。


「それじゃ、次の人」


 玲於奈はセシリアが笑顔で答えたからか、無粋さをスルーして次を促した。


「じゃあ、イストリアさんはなんで日本に来たんですか?」

「それは、父の仕事の都合です」


 これまた、笑顔で処理をしていくセシリア。


「じゃあじゃあ、なんでそんなに日本語が上手いんですか?」

「父が日本の文化を愛していて、それに影響されたからですかね」


 その後も質問は続いていったが、どれも、これも、セシリアは笑顔で答えていった。セシリアに笑顔を向けられた男子生徒は皆、顔を赤くしていた。


「それじゃあ、質問これぐらいで、後は休み時間にしてください」


 玲於奈が質問タイムを終わらすとクラスメイトたちは皆、不満を漏らした。


「はいはい、仕方ないですから。それじゃ、イストリアさんの席は……星原君の隣が空いてますね。そこに座ってください」

「はい」


 返事をすると、セシリアは碧の隣の席へと向かった。


「星原君。これからよろしくお願いします」


 碧の前まで来ると丁重に碧に挨拶をするセシリア。


「ん? あ、ああ、よろしくイストリアさん」


 聞いていないようでしっかりと碧は聞いている。もちろんさっきの会話は全部聞いていた。興味はあまりなさそうだが。

 セシリアはは自分の周りにいる全ての人に挨拶をしていた。

 そして、少しのホームルームが終わり、あまり時間をおかずに一時間目の授業に入る。

 少し寝不足気味の碧は早速、机に伏せて眠りこけてしまう。

 碧の寝不足は思ったよりもひどかったようで、そのまま、最後の授業が終わるまで寝ている碧だった。


「……み……みど……り……碧!」

「う、ううん。なんだ? 蒼衣?」


 蒼衣に強引に起こされた碧はちょっと不満そうに返事をする。しかし、顔は伏せたままである。


「もう、碧ったら、寝過ぎだよ。もう、学校終わったよ」


 碧が顔を上げると、周りが真っ赤に染まっていた。それは窓から差し込む夕日によって染まっているようだ。


「ん、んーん。終わったのか」


 完全に身体を起こして伸びをする碧を見て蒼衣はあきれたような声を出す。


「もう、終わったよ。それじゃあ、あたしはセシーと帰るから」

「セシー?」

「もう忘れたの? 今日転向して来た女の子だよ」


 そういわれて、寝る少し前に転校生が来ていたのを思い出した碧。


「ああ、イストリアさんね」

「へー、碧でも名前覚えたんだ」

「そりゃあ、そうだろ」

「そうだもんね。セシーすごく綺麗だもんね」

「は? 何言ってんだ? 確かに綺麗だけど、俺が覚えたのはこの時期に珍しい転校生だったらだぞ」

「ふ、ふーん」


 蒼衣は恥ずかしくなって少し赤くなった顔を見られないように碧から顔を逸らした。


「蒼衣さん? どうしたのですか?」


 そこに、セシリアが扉から入ってきた。どうやら、待ちくたびれたようだ。


「あ、いや、なんでもないよセシー。じゃ、じゃあ、碧、また明日!」


 そういうと蒼衣はセシリアの手を引っ張って教室から出ていった。どうやら、このまま帰るようだ。


「ちょっ!? 蒼衣さん、どうしたのですか!?」


 引っ張られるセシリアが叫んだことが僅かに聞こえてきた。


「なんだったんだ? まあ、いっか。帰ろ」


 一人、呟くと碧は自身の鞄を持って一人教室を出ていく。

 碧は他の生徒があまりいない学校までの坂を下っていた。

 碧の通う青嵐高校は小高い丘の上に建てられている。そこからは町とその向こうに広がる海が一望できた。

 ゆっくりと坂を下りながらその絶景を見る碧。一人暮らしの碧には門限はないようなものだ。


「あ、いっけね。今日の晩飯買わなきゃ」


 一人暮らしであるがゆえ食事などの家事も自分でこなさなければならない。碧は今日の買い物を忘れていた。ゆえには走って、家の近くにあるスーパーへと向かった。

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