悪魔と悪魔
鍛え上げられた体がすべて現れ、最後に背中に生えた漆黒の黒い羽根が現れると、片手を上げ軽い挨拶をしてきた。
「よう、クロ」
「ゼン」
僕は胡乱な眼でゼンを見る。僕は忘れてないぞ、お前が僕を見捨てたこと。お陰で魔王シュリにとっつかまったじゃないか。
「何で置いて行ったんだよ」
「何でっていい獲物そうだったからに決まってんだろ。でも、よくやったな。シスターと契約するなんて、神に仕える聖職者なんて最上の魂じゃねぇか。俺はお前じゃ無理かもなと思ってたんだけどなー」
ガハハと大口開けて笑うゼン。本来なら文句の一つも言うところなんだろうが、僕はサッと目を逸らしてしまった。ゼンの眉がピクリと跳ねる。
「契約したんだよな?」
「う…うん」
「対価として魂貰うんだよな?」
「…こ」
「こ?」
「怖すぎて、貰えるわけないだろー」
僕の叫びが辺りに響き渡る。反響してだろーだろーと響く音がすべて欠き消えたころゼンが血走った眼をくわっと開き、僕を怒鳴りつけた。
「バカか、バカなんだな、バカに違いない。魂貰わないなんて、バカだろう!」
4回もバカと言われてしまった。
「だ、だって…こわ…」
大粒の涙がボロボロと僕の目からこぼれ落ちる。そんな僕にゼンは軽く頭をポンポンと叩く。親が幼子にするような仕草に僕が顔を上げ、ゼンの顔を見た瞬間固まった。
お前誰…絶対ゼンじゃないと僕に思わせるような、今まで見たことがない残忍な眼をしたゼンがいた。
口元に笑みを浮かべているから、なお怖い。
「ゼン、なんか怖い」
「お前の為に今から仕事をしようと思ってな」
「仕事?」
今まで忘れていたが、ゼンはトップクラスの悪魔だ。僕とは比べものにならないくらいの魂を狩っている。
いつもこんな感じで仕事をしているのだろうか…こわっ。
「あの…ゼン」
僕が何となく止めようと声をかけたが、ゼンはあっさりと無視をしてシュリに向き直る。
「お嬢さん、願いを叶えてもらうんだ代価を払わないとダメだろ」
「でも、クロは要らないって」
「悪魔にそれはないだろう」
ゼンが壮絶な笑みを浮かべた。




