悪魔とイモリ
雲ひとつない、どこまでも澄み渡る青い空。太陽の光がさんさんと降り注ぐ中、僕は不快そうに眉をひそめた。
「眩しい…うざい…」
日陰のない屋根の上で、僕は背に生えた黒い羽根を広げ、頭上にかざす。僕は、人間の言うところの悪魔らしい。確かに、悪いこと好きだし人の魂食べるよ…でも、悪魔という言葉でひとくくりにしてほしくない。悪魔にだっていろいろある。筋肉バカ、頭脳派そして…僕みたいな美貌の…
「おちこぼれ~」
誰が落ちこぼれだー僕は胡乱な眼で振り返る。心の中で否定はしても口には出さない。魂収穫のない僕には否定しても笑われるだけだ……ちくしょう!
「なんだよ、お前かよ。ゼン」
振り返った先には、筋肉バカ…もとい、僕の数少ない悪友ゼンが袋片手に舞い降りてきた。
「クロ。また今月成果なしだって?」
「うるさい!どうせ僕は落ちこぼれだよ!」
「そう不貞腐れんなよ。ほら、土産」
ゼンがポンと袋を投げよこす。僕が、袋を開けて中を覗き込むと、中には黒いイモリの姿焼が入っていた。僕の大好物!僕の顔から花が飛ぶ…ように、ゼンの目にはいつも見えるらしい。できるやつとできないやつの違いは、花が見えると見えないの違いだろうか…そんなはずはないと信じたい。
「ありがとうー」
僕は、イモリをほうばる。う…うまい。僕が無心でイモリを食べていると、下から何かが壊れる音がした。何かあったのかと、下を覗き込むと教会の扉をすごい勢いでぶち破ってシスターが飛び出してきた。
そして僕は覗き込んだことを、激しく後悔した。扉のは破片が、悪魔である僕にさえ避けきれぬ勢いで飛来し、僕の額を狙い澄ましたようにぶち当たった。勢いを殺しきれずに、後方に流れていく、凶器……破片。
僕は、イモリさえつかんでいくことなく、真っ逆さまに屋根の下へ。そう!あのこの世のものとも思えぬ凶器(破片)を生みだしたシスターの元へと!




