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06-04.
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〈side 弘臣〉
源臣の店を後にした俺と文乃は、大通りに出てタクシーを拾う。
「大丈夫か?」
タクシーに乗り込む直前に文乃にそう声をかけると、文乃の瞳が街明かりの下で揺れる。
「うん……ありがとう」
「そうか。気をつけて帰れ」
「うん」
文乃の乗ったタクシーが走り去るのを見届けてから、俺も帰宅しようとタクシーを探していると、スマートフォンに着信が入る。源臣からだ。
「どうした?」
『兄さん、ちょっと今いいか?』
「ああ」
『堀田は近くにいる?』
「いいや、今帰ったところだが……彼女に何か用だったか?」
『堀田にではなくて、兄さんに話しておきたいことがあって……』
トーンの低さと歯切れの悪い話しぶりは、決していい話ではなさそうな予感がする。
「どうした?」
『うーん……ちょっと話していいものか迷うんだけどな……』
「ああ」
源臣は少し躊躇うように間を空けてから話し始めた。
『実は……俺のところには既に東都ホテルのチーフの情報が入っているんだ。それで――』
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