AI「お前はこれを読め」←なんかしっくりこない
【導入】小説を探す、いくつかの方法とその限界
新しい小説を探す方法には、いくつかあります。
読書好きの多くが、まずランキングをチェックするのではないでしょうか。
「みんなが読んでるなら、きっと面白いんだろう」と思える、安心と信頼の印です。王道ですね。
ほかには、好きな作者さんのブックマークを辿っていく手法があります。
個人的にはこれが一番精度が高い。
スコッパーさんのおすすめもいいですね。
最近では、AIに尋ねてみもあるるのもあるあるでしょう。
さっき試しましたが、意外と良い作品をおすすめしてくれました。
ラピスの心臓とか、幻想再帰のアリュージョニストがでてきてビビります。
ジャンプ作品をなろう系と言い張っていた頃が懐かしいですね。
さて、これらの方法には共通の限界があります。
それは、「まだ誰にも評価されていない無名の作品」と出会うことが、そもそも仕組み的に難しいという点です。そして結構めんどくさいという点。ランキングにも載っていないし、AIにも「この人が読んだ」っていうデータがまだない。
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【第1章】「面白い」を判断する、もう一つの材料
ランキングやAIが主に見ているのは、「人気」や「評価」といった、いわば“試験の点数”のような結果です。データでモノを語るタイプですね。
でも、ちょっと考えてみてください。
それとは違う観点、つまり「点数になる前の反応」から何かヒントを得られないでしょうか?
それが、「評価に至る前の、読者一人ひとりの小さな判断」です。
例えば、たくさんの作品リストの中から「うーん、なんか気になるかも」と思ってクリックした瞬間。あるいは、「いや、これはタイトルが中二すぎる」とそっとスルーした瞬間。これ、全部立派な“判断”なんです。
これらの小さな判断を大量に集めることができれば、「人気」ではなく「興味」という、新しい評価のものさしになる可能性があります。評価されていなくても、「あ、なんか気になる」…そういう「フィーリング投票」みたいなものですね。
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【第2章】課題は「どうやってデータを集めるか」
「読者一人ひとりの小さな判断を集めよう」という考え方は、とてもシンプルに聞こえます。
しかし、実際にやろうとすると、すぐに現れるのが“面倒くさがりの壁”です。
人は、星をつけるのすら面倒くさがります。「星4つ?いやでも3.5かも?ああ、考えるのも面倒…」と評価をやめる人、多数です。レビューを書くなんて、「やる気+時間+情熱」が揃ったときの奇跡に近い行動です。
つまり、評価という行動のハードルは、想像以上に高いのです。
この壁を乗り越えるには、「評価している」という意識すら生まれないような、超自然な仕組みが必要です。もはや、呼吸するかのごとく行えるくらいが理想です。「考えるな、感じろ」です。
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【第3章】そのための、一つの仕組み
その課題を解決する一つの方法として、「作品をカードに見立てて、右か左にスワイプする」という、まるでマッチングアプリのような仕組みが考えられます。
興味があれば右スワイプ、なんか違うなと思ったら左へ。これだけです。指一本で判断、脳に優しい設計です。
この単純作業、意外とハマります。気がつけば、「右…左…右…お、これは面白そう!右!」と、自分の読書好みを無意識に炙り出している自分に驚きます。
もはや、小説との出会いをスワイプで決める時代。
しかも、あなたのその「右/左」すべてが、システムには「AさんはB作品に興味を持った」として貴重な判断データとして蓄積されていきます。
評価してるつもりがなくても、立派な“評価”になっているのです。まるで寝言で仕事してるみたいですね。
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【第4章】データから推薦が生まれる流れ
こうして集められた大量のスワイプデータから、推薦が生まれていきます。
まず、あなたのスワイプ履歴を記録。「ユーザーAがB作品を右スワイプした」などの、無数のログが蓄積されます。AI的には、「うんうん、この人、恋愛モノには無反応だけど異世界バトルには反応してるな…」と、勝手にニヤニヤしてることでしょう。
そして、あなたと似た傾向を持つ人たちを探し出します。いわば「趣味が似てる仲間」をAIが勝手に作ってくれるわけです。合コンより効率いいです。
最後に、その仲間たちが「右スワイプしたけど、あなたはまだ知らない作品」を、あなたにすすめてくれます。
つまり、「あんたの友達が読んでたやつ、あんたも好きかもよ?」という、わりと押しの強い紹介です。
従来のように「みんなが読んでるから」ではなく、「あなたと好みが似た人たちが読んでるから」という推薦。なんだか親近感がありますよね。
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【終章】これは、ただの道具の一つ
もちろん、この方法が万能だとは言いません。
でも、ランキングやAI推薦とは違う視点からの推薦ができる、という点では、十分に可能性があります。
たとえば、「ランキングには載ってないけど、10人中8人が“気になる”と右スワイプした」ような、静かに支持されている作品が、見つけやすくなるかもしれません。
世の中には、いろんな「作品探しの道具」があります。これはその中の一つにすぎません。
ところで、小説家になろうを運営しておられるヒナプロジェクトは、けっこう太っ腹です。
このようなマッチングアプリを作る際には、当然作品のデータが必要です。
「なろう」の作品データは、一定のルールを守れば無料で、しかも大容量に取得できます。
サイトの規模を考えると、そこから得られている収益は決して大きなものではないと聞いたこともあります。(余計なお世話か)
にもかかわらず!
ユーザーの自由な活動を開放する道を選んでくださっている運営様に感謝を申し上げます。