第一話,前編「ラビット・エンボディ」
○威秋印 西 (いしゅういん さい) 19歳 「伝説のラビット使い・威炎の白い死神」モチーフ:ホホジロザメ 威秋印家の長男 何でもかんでも突っ走っていく脳筋 何も考えていないように見えるが、威秋印家の英才教育によって学者レベルの学があり、いざという時は護よりも考えて行動している。 しかし、自由に何もできなかった幼年期を過ごしている為、親元を離れたのと同時に勉強を一切しなくなった。威秋印家の落ち零れと周囲から散々の罵られて来た為、実家がすこぶる嫌いで、現在は寮生活で「自分の好きな事をして生きる」をモットーに自由気ままな生活を送っている。 情に厚くやさしい性格だが、感情的で怒りっぽいのが玉に瑕
○星羅衣 護 (せいらい まもる)21歳 「神話の宝剣使い・威炎の守護神」モチーフ:キツネ 星羅衣家の長男にして次期当主、博学多才なオーラを放つが結構脳筋 実は勉強嫌いで単純 幼少期に母親を亡くし、父親に育てられた。内気であまり表には出ないタイプ 何よりも自分の大切なものを守ろうとし、自己犠牲を厭わない。その背景には、幼い頃のとある事件とそれにより妹を亡くした事が大きく関係している。 基本的に視野は広いが一つの事に集中し始めると、周りが見えなくなり融通が利かなくなるのが玉に瑕
○威秋印 凜 (いしゅういん りん)15歳 「影の殺し屋・銀白のヴォーパルバニー」モチーフ:ウサギ 西の妹、普段はアニイ、まじめな時だけアニキ呼び 普段は気だるげな感じであり、他人に興味がない 文武両道成績優秀で威秋印家の期待の星、その為、家庭教師をつけられ四六時中何かしらの勉強をしている。幼少期の頃、そんな妹を見かねて度々一緒に抜け出してヤンチャしてくれた西の事を慕っており、西が家を出てからは、何かと理由をつけては西の寮へ顔を出している。 年齢からは想像できない程戦闘能力もずば抜けており、一切音を立てない素早い動きで、気づいた時には既に首から上が飛んでいる。
○西園寺 澪 (さいおんじ みお)26歳 現役教師 「虹の魔術師・戦場の指揮者」モチーフ:クジャク 真面目な女教師 数年までは、戦場で活躍していた戦闘のスペシャリスト
○オードゥ・ヴィーン・セント28歳 「奪榴駒の先兵・変幻自在のヴィンセント」モチーフ:スカンク 奪榴駒が誇る爆弾隊の先兵 ナルシストで上品な言葉使いを意識しているが高揚すると口が悪くなる。 能力がパッとしないため昔から苦労しており、今の能力を手に入れるまでは、下っ端として雑に扱われていた。 今の部隊に配属されるまでは、その能力が認められず、特攻隊としてダイナマイトを体に巻き付け突撃させられた経験があり、その死に際に「ラビット・エンボディ」を経験、真の能力を開花させた。しかし、現在までその能力を上層部には黙秘している。
○ラ 女神(妖精)っぽい何か
○? 謎の人物
ーーーーーーーーーーーーー
声劇用~役表~
西 不問:
護 不問:
◇凜/N ♀:
○澪/ラ/? ♀:
◆セント ♂:
ーーーーーーーーーーーー
◇N:灰色のコートを身に纏い、銀髪の男が威炎の領地を遠い目で眺めていた。
◆セント:おいおい、今回のミッションはツマラねぇなぁ...敵の輸送物資の強奪って、もっと下っ端にやらせろよってんだ...
護:西くん、こっちこっち!
西:え?なに?今日はいつもと違う場所なの?
護:うん、さっき澪さんが説明してたと思うんだけど・・・
0:間
◆セント:ん?ナーンカ面白そうなことやってんジャーン
◆セント:本部へ通達、目標付近にて敵軍の訓練兵と思われる青年二名を発見。
0:間
◆セント:あの2人、やっちゃっていいっすか?ヒッヒッヒッ
0:間 場面転換 『訓練スタート地点』
○澪:位置に着いたわね。それじゃ、2人とも気合い入れて行くのよ!スタートシグナル発動!
0:効果音
護:お、スタートシグナルが来たよ!
西:オッケー!んじゃ行くぜ?3
護:2
西:1
護:よーい!
西:ドン!
◇N:掛け声とともに二人は勢いよく走り出す、前衛が西、後衛が護である。いまだに、接敵を想定した訓練はしていないはずなのにもかかわらず、お互いの役割をしっかりと把握し、果たしている。まるで、幼き頃から積み上げた彼らの関係値を表しているかのようである。
西:ッシャー!先ずは、直線上に散らばった撒菱を避けるギミック!こんなもん園児でも避けれるぜ?
護:西くん、あんまり調子に乗らない!ほら、次のギミックが来るよ!
西:おぉっとあぶね...
護:言わんこっちゃない...
西:大丈夫だって!当たってないからセーフ!
護:セーフって...まだまだ始まったばかりなんだから気を抜かないで行くよ!
西:おうよ!
護:次のギミックは、床が抜けるギミックだ。どの床が抜けるかわからないから慎重に...
西:床が抜ける?こんなの何もないのと同じじゃん!パパッと突っ切って次行こうぜ~?
護:あ!ちょっと待ってよ〜!
西:ッシャー!この調子で第一関門突破だー!
間 場面転換 『威炎【ロンド】育成施設内 廊下』
◇N:育成施設内廊下、移動中の澪は二人の心配をしていた。すると、どこからか忍び込んだ凜とすれ違うのだった。
○澪:二人、上手くやってるかしら・・・?まぁ、星羅衣くんがいるから大丈夫か
◇凜:アニイー!ったくどこ行ったんだか・・・あ!お邪魔してまーす!
○澪:あぁ、どうも・・・
◇凜:確かにわかるよ?私のかくれんぼの最高神記録、3時間59秒を超えたい気持ちは!でもでも、こんな時にやらなくてもいいじゃん!大人しく出てきてよ~!アニイー!
○澪:なんだか騒がしい子ね・・・
○澪:あっと、いけない!次の試験の範囲をまとめなくっちゃ!
間
◇N:丁度その頃、二人は壁から放たれる衝撃波を避け、転がってくる巨大な意思を粉砕し、着々と進んでいた。
西:いいねいいね~!これで第二関門も突破だ!(いきなり背後から攻撃される)ぃって、あ?なに?いきなり後ろから攻撃されたんだが?
護:ごめーん!操作ミスで誤作動しちゃったー!
西:え?あぁ今のマモくん?いいよいいよ、全然気にしてないから
◆セント:おやおや、2人で楽しそうですね〜?オレもさ、混ぜてくれよォ!
西:誰だオマエ、そこ、邪魔なんだけど?
◆セント:オレか?オレの名はヴィーン・セント!オードゥ・ヴィーン・セントだ!しっかり記憶しておけよ?
西:あーはいはい、オーブントースターさんね、記憶しておくよ
◆セント:おいおい、おまえ難聴なのか?耳鼻科行った方がいいぜ?
西:へえ、そりゃご親切にどうも。じゃあ代わりにお前にはいい葬儀屋教えてやるよ
◆セント:ハァ?そりゃどういう意味だよトゲ頭
西:どうもこうもねぇよ、そのままの意味だろうが
◆セント:へぇ、血の気の多いのは嫌いじゃねぇが・・・ちょいと度が過ぎるってもんだぜ?クソガキィ!
SE:銃声
護:うわーあーなんだなんだ!?今日の実技に戦闘訓練なんてなかったはずだけど...
西:て事はこいつ...ギミックじゃなくて本当の敵?
◆セント:おいおい今頃気づいたのかよ。さぁ、楽しい楽しいオママゴトを始めようぜ?オラシネェ!
西:あっぶね!マモくん、こいつやっちゃっていいかな?
護:いややめとこ、僕たちの勝てる相手じゃないかもしれない。ここはemergency signalで助けを求めた方が賢明だよ。
西:そっかー、まそうだわな!えーと、シグナルシグナル...と、
護:どうしたの?西くん
西:やべ、忘れて来た...
護:え?...ええええええええええええ!?忘れて来たああああああ!?アレだけ肌身離さず持っておけって言われてたのにいいい?
西:しょうがねぇじゃん!座学は退屈なんだもん...
護:なるほど、机に置いて来たのね...
西:無いもんはないんだし、こいつ避けて行くしかないよな?
護:そうだね...お互い、死なない様に頑張ろう...
西:おうよ!
◆セント:おっと、漸くやる気になったか?
西:あん?やる気?生憎だが、俺らはオマエみたいな奴に構ってる暇はないんだよね〜オラアアア!
護:よし!これで瓦礫が足止めになるはず!今のうちだよ!
西:おう!
◆セント:ンダよ、こんな事でオレから逃げられると思うなよ!クソガキ共!
0:間 5分後
西:あーあ、戦闘したかったなぁ〜
護:僕たちはまだ訓練生だよ。どんな相手かわかんないし、実戦経験は皆無、迂闊に手を出すべきではないよ。
西:そうなんだけどさぁ〜?
護:よし、ここまでくれば大丈夫そう!
西:そうだなぁ~、気を取り直してギミック攻略していきますか!____ってか、なんかここ臭くね?
護:本当だ、なんか匂うね・・・
0:間
◆セント:よお!待ってたぜ?クソガキ共
西:あーあ、結局見つかっちまったぜ?どうする?
護:もう逃げ場はなさそうだね。やるしかない...かな...
西:ッシャー!そう来なくっちゃなぁ!やってやるぜ〜!
護:西くん、いつものでいい?
西:あぁもちろん!プランAで!
護:オッケー!
西:ッシャー行くぜー!
◆セント:おしゃべりは終りか?んじゃ、血祭りにあげてやるよ!まずは、そこの生意気なトゲ頭からだ!シャイニングランス、ビームシールド展開!
西:おっと、もしかしてオマエ、中距離タイプか?
◆セント:そうだぜ?だからどうしたっていうんだ?
西:俺の得意分野だって事だよ!オラアアア、イクゼェ!ヴァンガード・ブロークンッ!
◆セント:なんだなんだ?何も起こらねぇじゃねぇか!
西:何勘違いしてんだ?上を見てみな、ヴァーックン!
◆セント:うぉっと、なかなかの威力してんじゃねぇか
西:おいおい、これで終わりじゃねぇぞ!オラオラアアア!シャーク・ヴァンガード!
SE:爆発音
◆セント:なるほどな、でもこれくらいならアレで対処できそうだな。
西:おいおい、戦闘中に考え事か?余裕だなァ!ブラスターフィストォ!
SE:破壊音
◆セント:へぇ、中距離技か。だが、近距離武装型の中距離攻撃なんかじゃこのオレは倒せないぜ?
西:ふん、いってろ
護:西くん!チャージ終わったよ〜!
西:オッケー!いっちょぶちかましてやれ!
護:ハーイ!じゃあ行くよ〜!連続波動包囲網!オートジャベリンッ!
◆セント:なにぃ!?何じゃーこりゃああああ!!!
◇N:浮遊する無数のジャベリンによる包囲網、この技から抜け出すには、四方八方から飛び交うジャベリンを避け切らなければいけない。護の得意技である。しかし、凄まじい威力、攻撃範囲と引き換えに技のチャージに時間がかかり、尚且つ無防備になってしまうというわかりやすい弱点を抱えている。そう、彼らのプランAとは、その弱点を西が補い誘導する。彼ら二人の十八番である。
護:トドメ行くよ~?
西:オッケー!
護:オートジャベリン、一斉攻撃だ!
西:俺もいくぜェ!ブラスターフィストォ!!!
◆セント:ぬぅううん!!!
西:シャーク・オーラ!フルマックス!!!―――おらよォ!
◇N:凄まじい爆発と共に、セントの周囲が吹き飛ぶ。
西:っふ、この技をくらって無事に立ってた訓練用ロボットはいないんだぜ?
護:それ、なんかカッコ悪いな...
◆セント:この...ガキ共...大人を...舐めるなよォ!!!
西:おいおい、あいつなんか様子がおかしいぞ!?
護:あの光、まさかッ!?
◆セント:いくゼ?来い「freely smell」
西:っな!アレはッ!!!
護:そんなッ!アレは、感情の具現化【ラビット】だ!!!
◆セント:そうだゼ?そこまで知ってるなら言わなくても分かっているとは思うが、ラビットに装備による攻撃は通用しない。そして、このオレのラビット、freely smellの能力はッ!触れた対象の一部分にニオイを付着。もしくは、その部分のニオイの強さを自在に操る能力!!!
西:フン、自分から能力を相手に教えるなんて、こいつバカなんじゃねぇの?
護:違うよ西くん!これは...能力の開示!聞いたことがあるんだ、能力の開示をするとその能力はパワーアップするって...
◆セント:へー、後ろのオマエは物知りだな?だがもう遅い!
護:西くん、僕たちはラビットを使えない。ここは慎重に...
西:っへ、能力の開示が何だってんだよ!そんなもの、俺が力でねじ伏せてやるよッ!
護:西くんッ!?1人で突っ込んだら危ないよ!
西:ダイジョブダイジョブ〜!能力がわかってんだ!触れられなきゃいいんだろ?俺の得意分野じゃねぇかよッ!それに、ラビットには勝てなくても、その使用者に直接攻撃すればダメージは入る筈だ!イックゼェ!!!
◆セント:ほう、早いな...
西:このスピードについてこられたやつはッ!今までに一人もいないんだぜ!?オラオラどうしたよ!
◆セント:面白い、ではこれはどうかなッ!
護:床に手をついて...まさかッ!?西くんッ!そこは危険だ!下がってッ!!!
西:何言ってんだよマモくん!相手の手は床についてる、てっ事は!触れられる心配がねぇって事だ!即ちッ!ここが最大の攻撃チャンスだろッ?
護:いいから!早くッ!!!
西:ッチィ、しゃーねーな。
◆セント:フン、簡単には引っかからないか...
西:っな...!?床が無くなった!?何故だッ!!!
護:落ち着いて西くん。彼はニオイを変える能力、そう言ってたよね?
西:あぁ...でも、ニオイを変えたくらいであんな事にはならないだろ?
護:そう、ニオイを変えたくらいじゃあんな事にはならない
西:じゃあ何があったんだよ
護:触れたモノの『三態の物質』三相変換だとしたら?
西:なッ!?て事は...
護:そう、おそらく触れた地面の物質を固体から気体へ変換させたんだ。「能力の開示」をした事で、触れたモノの三相変換まで可能となった。と考えるのが妥当だね。
西:何だよそれッ!インチキじゃねぇか!...でもよ、何でそんな事までわかったんだ?
護:うん、確証は無かったんだけどね。ニオイを変える、もしくはその強さを自在に操るって聞いた時に、これは「気体」の性質を操る能力だと思ったんだ。だが、それでは直接的な攻撃する事ができない、戦闘には不向きな能力だ。だから、能力の開示によってできることを増やした。あの感じだと、おそらく今は触れた場所の地形変換、変換した固体による投擲攻撃、それと____
西:あー、まぁ何となくわかったからもういいや!まぁ、種が分かればなんとかなる!そうだろ?相棒
護:そうだね、対策は練りやすい。
西:そうと決まれば、サクッとヤッて夕食と洒落込みますか〜!とんかつトンカツ〜!
護:あれ?何でとんかつ作るって知ってるの?もしかして授業中のアレって...寝たフリだった...てコトッ!?
西:へへん!先生には内緒で頼むぜ〜!
護:ふふ、全く...
◆セント:オイオイ、敵が目の前にいるってのに二人で楽しくおしゃべりかァ?おれも仲間に入れてくれよォ?
西:あ?何言ってんだおっさん
◆セント:辛辣だなァ、オイ!まぁいい、先ずは奥のガキからだ!さっきのお礼、たァ~っぷりとさせてもらうぜェ?
西:そんな事、俺がやらせねぇよ!オラアアア!ヴァーックン!
SE:破壊音
◆セント:ほお、相変わらず凄まじい破壊力だ。だがッ!これはどうかな!?ハァ!
護:西くんッ!上!!!
西:なッ!?グアアア!!!
◆セント:っフ、うるさいガキには少し寝てもらおうか
西:クッソ、なんだよこれ!
護:西くんッ!!!ック、あのラビットは何もない空間から瓦礫を降らせることができるのか!?
◆セント:ふぅ、これで前線を張ってたうるさいハエは、当分出てこれまい。さぁ、この状況。オマエならどうするッ!?
護:ッく!来るッ!!!
間
○澪:んー、そろそろコンプリートシグナルが来てもいいはずなんだけど...
間 場面転換 『威炎【ロンド】育成施設内 廊下』
◇N:育成施設内廊下、移動中の澪は二人の心配をしていた。メインモニターに表示された二人のバイタルサインは正常。だが、通信が一瞬途絶えたのが気にかかる。ただの機材トラブルか、それとも…。
○澪:(ため息)「二人、上手くやってるかしら…。あの二人が組むと、どうも面倒事を引き寄せる傾向があるから…。まあ、星羅衣くんがいるから大丈夫か。彼がいれば、威秋印の無鉄砲な行動にも多少はブレーキがかかるでしょう…」
◇N:彼女が思考に沈んだ、その静寂を破るように。不意に、すぐ背後の天井の通気口カバーが、音もなくスライドした。
◇凜:うんしょっと…そのブレーキ、壊れてるかもよ?
○澪:えっ!?
◇N:澪が驚いて振り返ると、そこには天井から逆さまにぶら下がり、気だるげにこちらを見下ろす少女、凛の姿があった。その瞳は眠たげだが、油断なく澪の動きを観察している。
◇凜:アニイー!ったくどこ行ったんだか…あ!お邪魔してまーす!
○澪:あなた…威秋印の妹…!どうやってここに!?警備はどうしたの!?
◇凜:んー?警備の人たち?みんな気持ちよさそうにお昼寝してたから、そっとしといてあげた。それよりさ、うちのアニイ知らない?
○澪:(舌打ち)…はぁ。あなたも兄に輪をかけて面倒なことをしてくれるわね。ここは訓練施設よ、部外者の、それも子供が遊びに来ていい場所じゃないわ。すぐに出ていきなさい
◇凜:子供じゃないし。それに、遊びに来たんじゃない、任務なの。かーさんからの、超重要任務
○澪:任務ですって?あなたのような子が?
◇凜:確かにわかるよ?私のかくれんぼの最高神記録、3時間59秒を超えたい気持ちは!でもでも、こんな時にやらなくてもいいじゃん!大人しく出てきてよ~!アニイー!
○澪:話を聞きなさい。なんだか騒がしい子ね…。とにかく、威秋印は今、実技訓練中。ここにいるはずがないわ。用件は私が聞いておくから、さっさと帰りなさい
◇凜:えー、やだ。アニイに直接言わないと、うちが怒られちゃう。それに、あなたに言っても、どうせ丸め込まれて終わりでしょ?
○澪:…なんですって?
◇凜:だって、あなたはアニイのこと、ただの『教え子』としてしか見てない。でも、うちは違う。アニイの『家族』だから。家族の言うことの方が、絶対なんだよ
○澪:……面白いことを言うのね。その『家族』とやらの用件を聞かせてもらえるかしら。内容によっては、規則違反としてあなたを拘束する必要があるのだけれど
◇凜:うちのアニイを連れ帰ってこいって、かーさんが言うんですよ!何でも、セーリャクケッコン?とかいうののオミアイをさせたいらしくて…
○澪:ハァ?…政略結婚…ですって?あの威秋印が?…生憎ですが、今彼は実技で出払っているの。そんなくだらない理由で、国家の防衛任務を中断させるわけにはいかないわ
◇凜:くだらなくないし。威秋印家にとっては、それこそが国家の防衛みたいなもんなんだから。…じゃあ、戻って来たらでいいんで!一度家に帰らせてもらってもいいですか?このままじゃ、うち、かーさんに怒鳴られて蔵に閉じ込められちゃう
○澪:んー、まぁ…親御さんには逆らえないわね…。わかったわ。戻って来たら本人に伝えておきます。これで満足?
◇凜:うん、ありがと!よかったぁ、これで怒られないで済む!それじゃ、アニイによろしくね、カタブツ教官さん。失礼しました〜!
○澪:ハーイ…って、誰がカタブツよ…!全くアイツがいると面倒ごとが絶えないわね…
◇N:凛は軽やかな身のこなしで天井裏へと消える。その気配が完全に消えたことを確認すると、澪は再び深い溜息をついた。
○澪:…政略結婚…。本当に、あの一家は…。ただでさえ面倒な時期に、これ以上問題を増やさないでほしいわ…。(ため息)それにしても遅いわね、二人とも…。本当に、何か事件に巻き込まれてなければいいけど…
○澪:あっと、いけない!次の試験の範囲をまとめなくっちゃ!
間 場面転換 (護は、瓦礫の裏に隠れて敵の能力を考察している)
護:幾らラビットでも、万能ではない。どこかに能力の穴がある筈だ。だが、このままではそれを見つける前に僕がやられる。気体を変換できる以上、距離をとっても不利だ。ここは近づいて...待てよ?距離?
◆セント:どうした?オレの視界に入らなければ攻撃ができない。とでも思っているのか?だとしたら、その考えは間違っているゼ?隠れてばかりいないで姿を現せ!
護:なら、なぜ攻撃してこないんだい?本当は攻撃できないから、ハッタリで誘き出そうとしてる。違うか?
◆セント:フフフ、やはりテメーは鋭いな。だがッ!場所がわかればこっちのもんだッ!ハァ!
護:おっと、ラビットがいるっていうのにわざわざ武器を投げてくるなんてね。僕相手には武器もいらないって事かい?
◆セント:あぁそうだな、オレは槍投げが得意なんだよ。しっかり狙いをつけて投げたっていうのに・・・当たらないとはねぇ・・・
護:ふーん、そうかい!それは残念だったね!(あのまま隠れていれば、西くんが出てくるまで時間を稼げたかもしれない。でもそれじゃあ、結局全て西くん頼りじゃないかッ!それじゃダメなんだ、僕はッ!)
◆セント:ま、本命はこっちだがな!いくぞfreely smell!標準安定ッ!freely cannon
護:ッくぅ・・・確証はない、だけど・・・なんとか、確認しないと・・・ッ!
◆セント:ソラソラソラ!テメーはさっきのトゲ頭と違って、身体能力は並みだッ!狙いやすくていいや!ハッハッハァ!
護:さっきの床が消えた場所、あそこだ!っく、攻撃を避けながらではちゃんと確認できない・・・しょうがない、あれを使おう。
◆セント:ソラソラ!そろそろ当たってくれても良いんだぜ?
護:フフ、そう簡単には当たらないよ!あった!目くらましだ!それ!
◆セント:あん?どこ行きやがった!?っくっそ、さっきからちょろちょろと!うざってぇんだよぁ!
護:ふぅ、これで少しの間時間を稼げる筈だ、えっと・・・ここだ!ん?やっぱりそうだ!これがアイツの使う能力の射程距離!ええっと、自分の足場を残して半径三メートル前後ってところか・・・?けど、西くんの頭上への攻撃...あれは明らかに三メートル以上離れていた・・・その秘密も探らないとッ!
◆セント:オイオイ、テメーはかくれんぼ好きだなぁ!そうやってずっと隠れてうじうじしてんなら、こっちにも考えがあるぜ?
護:へぇ、それは是非とも見てみたいものだね!
◆セント:ほう、オレの考えに興味があるか?なかなかいい趣味してんじゃねぇか
護:今度は、僕も戦う。やられっぱなしじゃ西くんに顔向けできないからね!
◆セント:ほぉ、なかなか・・・いい目をするじゃねぇか・・・
護:いくよ!ビームジャベリンッ!展ッ開ッ!浮遊型真槍戦術配置、八岐の布陣!
◆セント:さっきはトゲ頭に気を取られてまともに喰らったが、もうさっきの様にはいかねぇぞ?
護:フフ、それは僕が、単独での戦闘ができないと思っている。という事かな?
◆セント:あぁ、テメーはラビットを使えねぇみたいだしな、どれだけの使い手でも装備のみじゃラビット使いには勝てねぇ
護:そう、じゃあ、見せてあげるよ!威炎にて星羅衣家が成り上がってきた所以をね!星羅衣家に代々伝わる神話の宝剣、それは実体無きラビットさえも真っ二つにする。故に対ラビット戦において、星羅衣家の戦士たちは、一度も敗北したことが、ないッ!(間)極限解放、武装展開、能力覚醒ッ!秘剣・天之群雲!星羅衣家次期当主、星羅衣護。いざ参るッ!
◆セント:へぇ、気合入ってんじゃねぇか!喰らえッ!freely Canon!
護:その技はもう僕には通用しないよ!ふっ、ハァ!
◆セント:剣で器用に弾きやがった・・・なるほどね・・・じゃあこいつはどうかなッ!三相変換From gas to solid「気体から固体へ」ッ!
護:来るッ!上か!?
◆セント:残念、後ろでした
護:ッ!間に合えッ!破ァ!!!
◆セント:あーあー、まーた弾かれちまった。今度のやつは当たると思ったんだけどなぁ、よっと
◇N:護が必死に攻撃を捌いている隙に、セントは初撃で放ったビームランスの元まで移動し、拾い上げていた。
護:(呟き)ん?あのビームランス...いつの間に!?確かさっき、僕に向かって投げてきた筈・・・
◆セント:なーにぶつぶつ言ってんだよ!次はもっとド派手なので行くぞ!ハァ!freely smell!標準安定ッ!freely Canon!one.two.three.tri angle!
護:まただ、能力を発動する時...初撃の直前に攻撃対象にビームランスを投げつけてきた...
◇N:彼は考察する。彼の戦闘タイプは遠距離波動型だ。確かに、中距離型の相手からすれば、射程範囲負けている為、距離を詰める必要がある。その為、遠距離攻撃の一環として武器の投擲は十分に考える事ができる上に、能力を発動するための隙を埋めるけん制だと考えれば納得はできる。だが、相手はビームランスを一本しかもっていない、能力の発動をする隙を埋める為なら、複数本持ち運べる小型の投擲アイテムを用いるのが一般的だ。一回の攻撃で一度しか使えないメイン武器の投擲は、その都度自身がその場まで行き拾う手間がある為、その攻撃力を生かすなら能力で足止めした後の追い打ちの方が効果的な筈である。
護:相手視点、僕の波動による攻撃は盾で防げる。距離を詰める為なら盾を使った方が確実だ。それなのに、態々一本しかもっていないメイン武器を投擲する意味はなんだ?もしかして、ビームランスに向かって攻撃をすることで、標準を安定させている・・・?
◆セント:ソラソラ!いいんだぜ?このままくたばってくれてもよ~!
護:っく、直線状に飛んでくる攻撃は見切った。だが、この攻撃・・・四方八方から鋭い個体が飛んでくる・・・死角がないッ!このままじゃいずれ逃げ場を失い捌ききれなくなる!何とかしないとッ!ん?トライ・・・アングル・・・?攻撃が、あのランスを中心に...そうか!わかったぞ!この能力のトリックが!
◆セント:よっと、さぁて!フィナーレだ!ソラヨォ!
0:爆発音
0:間
◆セント:っと、やりすぎちまったか?まぁいっか!んじゃ、後は生意気なトゲ頭を絞めるだけだな
護:それは違うよ!
◆セント:なにッ!テメーッ!どうやってあの完璧なtri angleから抜け出してきたッ!
護:さぁ?運がよかったんじゃないかな?
◆セント:それぞれのアングルは完璧に配置され、逃げ場はなかったハズッ!なのになぜ!
護:何故だろうね?そんな事どうでもいいじゃん。今度は僕の番だよ!浮遊型真槍戦術配置、大蛇の布陣、ジャベリン射出ッ!大蛇の包囲網!
◆セント:なんだ!何が始まろうってんだ!
護:覚悟はいい?いくよ・・・天之群雲、奥義ッ!須佐之王ッ!ハァアアアアアアアアアアアアアア!!!
◆セント:っな!?こいつぁオレのシールドじゃ防ぎきれねぇ!
護:ハァハァ・・・
◇N:護の渾身の一撃が発動する。それは、凄まじいオーラを放ちながらセントに向けて一直線で飛んで行く。セントは、その凄まじい迫力に圧倒されるも、間一髪のところで回避に成功するのだった。
◆セント:ふっはっはっはっは!テメーの技、すんげー迫力だったぜ?いいもん見せてもらったよ
護:そんな・・・避けられた!?狙いは完璧だったはずなのにッ!
◆セント:ふぅ、あぶねぇところだったぜ・・・まさか、あんな大技を隠し持っていたとはな!敵ながらアッパレってか?ハッハッハ!だが!俺様には通用しないぜ?っま、こいつがなきゃ今ごろ地べたを這いつくばってただろうがな
護:それは、まさか!・・・ウグッ!反動が、こんな時に・・・!
◆セント:ヘヘヘ、攻撃したってのに満身創痍ってか?まぁいい、大技を披露してくれたお礼にオレもオレ史上最高で最強のFull powerを見せてやるよ。あぁ、感謝はしてもいいんだぜ?ま、オレなりの敬意ってやつだよ。ソォラ!しっかりと受け取ってくれよ!?Feely Canon Full power!!!
護:っく、避け切れない___ウアアアアアアアアアアアアアア!!!
◆セント:もういっちょオマケだッ!charge開始ィ!
護:っく・・・僕は・・・もう・・・ごめん、西くん・・・
○ラ:自分の力を信じなさい。貴方はもう、その力を持ち合わせているのだから...
護:何だ?今の声は...
◆セント:よそ見ィしてるだなんて、随分と余裕がありそうじゃねぇか!それなら遠慮はいらねぇな!?最大出力だッ!喰らいやがれィ!!!
◇N:とてつもない攻撃が護目掛けて放たれる、その破壊力は凄まじく辺り一帯の物質を取り込みながら大きくなっていく。目の前の絶望的な状況に諦めかける護であったが、突如頭の中に響いた声により正気を取り戻す。
護:自分の力...?そうだ!まだあきらめる訳にはいかない!自分の力を信じるんだ!僕だって!負けるつもりはないよ!来いラビットォォォオオオオオオオ!!!!
○ラ:貴方の叫び、強き思いに呼応して…
○ラ:貴方の「力」は、目を覚ますッ!!!
護:僕は自分の力を...信じるッ!!!僕はもう何も失わない、この命に代えても!≪LOVE IT≫僕にも、護りたいモノが―――あるんだッ!≪COMPLETE≫天現!出てこいッ!僕のラビットッ!
○ラ:そして感情の具現化は成す【ラビット・エンボディ】
SE:出現(間)
護:きたッ!これならッ!シールド展開『ABSOLUTE』!
◇N:護の意志が形となって顕現する。そして、能力を発動した。その名も『ABSOLUTE』、護の強い想いによって作られた絶対的守りの盾である!彼は間一髪のところでそのシールドを展開し攻撃を防いでいたのだ!
◆セント:ッな!?オレのFull powerを全て防いだだとッ!?
護:これが...僕のラビットの能力...ABSOLUTE【絶対の盾】
◇N:ついに覚醒した護のラビット。今まさに、最強の盾の誕生の瞬間である。自身の全身全霊を込めた攻撃を軽々と無傷で防がれたセントは、この状況を理解することができず、呆気にとられていた。
◆セント:なんだと・・・?ラビットの能力か?いや、そんなはずはねぇ!このガキはラビットを使えなかったハズ・・・まさか!この土壇場で能力に目覚めたっていうのか!?いいや、そんなことはあり得ない!あり得て言い訳がねぇ!この俺様だって、やっとの思いで手に入れた能力だぞ!?幾万の戦を戦い抜き!下種な仕事を幾度もこなし!死ぬ気で戦い抜いて手に入れた能力だぞ!!!___こんな青二才の戦場の"せ"の字も知らねぇガキが!簡単に覚醒する訳がねぇ!覚醒して良い訳がねえだろうが!!!
護:すごい…これなら、勝てるッ!!!
◆セント:あ?勝てる・・・?今、勝てるって言ったのか?
護:どうしたんだい?もしかして、今のが全力だった?
◆セント:ッ!このッ!ガキィ!!!調子にィ!乗るなァアアア!ウオオオオオオオオ!freely smell !Feely Canon full burst!ウォォォォォォォォオオオオオオ!!!
護:次の技が来るッ!さっきのをもう一回だ!シールド展ッ開ッ!『ABSOLUTE』
◆セント:ソラソラソラソラ!ドンドン行くぞォ!!!ソラヨオオオオオ!!!!!!
護:大丈夫だ!このくらいの攻撃なら『ABSOLUTE』で防ぎきれるッ!
SE:爆発音
◆セント:ハァハァハァ…やったか…?
護:すごい…あれだけの攻撃をモノともしないだなんて!
◆セント:なん・・・だと・・・俺様の・・・とっておきだぞ・・・?
護:相手は今ので戦意を失ったようだ!今ならッ!ムービングジャベリン、セットアップ!
◆セント:この・・・おれの・・・オレのぉぉぉおおおおお!!!
護:射出ッ!星羅衣家秘技、八岐大蛇!!!ハアアアアアアアアアアアアア!
◇N:なんどやっても、どんな攻撃を放っても、全て軽々と防がれてしまう。この屈辱的な状況に、セントは空を仰ぎ叫ぶ。護の攻撃が飛んできているとも知らずに・・・
◆セント:オレのぉオォォ(被弾)ウオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァ!!!
護:よし!命中!これならッ!!!
◆セント:ア・・・アァ・・・パタ
◇N:燃え尽きたかのように倒れる。それは、護の攻撃が原因ではない。自身の積み上げてきた物を、プライドをズタズタにされた事による精神的なモノである。そうとも知らずに、勝ちを確信した護は西の元へ駆け寄る。
護:やった!僕の勝ちだ!!!っと、そうだったそうだった。西くんを助けないと!
西:くっそ・・・なんだよこれ・・・身動きが・・・ウゥン!無駄にくせぇしよォ・・・
護:西くーん!大丈夫~?
西:マモくん?あれ?マモくん!さっきのヤツはどうなったの?
護:さっきの人なら、僕が倒したよ~!
西:おぉ~!流石マモくん!
護:こう!しゅぱしゅぱぱぱぱ~って!ってそんなことどうでもいいや、僕も外からこの瓦礫を退かすの手伝うよ~!
西:サンキュー!助かる!
護:よっと・・・ふぅ・・・なんだかこの瓦礫、匂いがおかしい気がする・・・
◆セント:ふふふ、よく気付いたな?小僧
護:ッな!?なんで・・・!!!
◆セント:このオレがあの程度の攻撃で、くたばる訳がないだろう?つけあがるのも大概にしろよ?クソガキッ!!!
護:ック・・・僕も本気で攻撃したはずなのに・・・やっぱり僕には・・・
◆セント:普通に攻撃してもシールドに防がれる事はわかった。ならば、シールドでは防げない攻撃をするまでだ!いくゾ、freely smell !
護:っく、来るッ!!!
◆セント:三相変換の極み!見せてやるよ!!!
護:ッな、地面が・・・震えて・・・
西:オイオイ!何が起こってんだよ!くっそ、なんでこんな時に俺はァ!
◆セント:先ずは!テメーの足元に液体変換だ!喰らいやがれ、三相変換From solid to liquid「固体から液体へ」ッ!
護:うわッ!っく・・・足元が安定しない・・・これじゃあ立ってるだけで、精いっぱいだ・・・
◆セント:ヒッヒッヒ!沼で足を取られる気分はどうだ?そしてェ!その沼はさらに深くなる、ドンドンドンドン深くなりッ!一生出られない、底なし沼の完成よ!ヒヒヒ
護:まずい、このままだと本当にこの沼から出られなくなる!何かいい方法はないのか?抜け出す方法ならあるにはある、だけど、抜け出したところを狙い撃ちされたら、今の僕には耐えられない。どうすればいいんだ・・・
◆セント:へっへっへ、底のない沼で溺れ果てるがいいわ!ふぅ、クソ生意気なガキだったが、これでテメーもお終いだなァ_______
西:ウオオオオオオオオ、アァ!!ふざけんじゃねぇぞ!俺をこんな臭い瓦礫に閉じ込めやがってッ!
◆セント:何ッ!?
護:今だ!
◆セント:しまったッ!
西:ふぅ、やっと出られたぜ・・・
護:西くん、ありがとう!おかげで抜け出すことができたよ
西:ん?なんかわかんねぇけど、全然大したことないぜ?
◆セント:あの瓦礫の下敷きになって抜け出してきた奴は今までに一人もいねぇ!なんだってんだよッ!何がどうなってやがるッ!
西:あん?あの瓦礫がどんなモノなのかは知らねーけど、俺にそんな小細工は通用しねぇんだよ!これで形勢逆転ッ!2対1なら負けるわけねぇよなぁ!そうだろ?マモくん
護:うん!そうだね!僕の盾と君の矛が合わされば、負ける道理はないよ!一気に叩こう!
西:おうよ!いつでも行けるぜ、相棒!
◆セント:ふ、フフフ...
西:なんだなんだ?何笑ってんだよ
◆セント:フハハハハハハハ!!!
西:この状況で狂っちまったのか?
◆セント:全く、勘違いも甚だしい。いつから『2対1』になったんだ?
西:お前、絶望的な状況で数も数えられなくなったのか?
◆セント:ふっ、後ろを見てみろ。
西:ん?っな!?
◆セント:残念だがオレの“freely smell”は既にテメーのオトモダチに触れてるぜ...
◇N:「触れている」それは、能力によりいつでも攻撃できるという事である。二人が話をしている一瞬の隙をつき、護に触れていたセントは、能力により護を石へ変化させていた。
護:なんだ...これ...西く...カラダ...が.............
西:マモくんッ!!!
◆セント:フハッハッハッハッハ!!!
西:マモくんの身体が...石に...
◆セント:これでテメーのオトモダチはピクリとも動かねぇ石ころと同類だッ!形勢逆転?もう一度聴きたいなぁ?どこが形勢逆転なのかを、サァ!!!
西:てっめぇ...よくも!!!
◆セント:盾を失った矛・・・ククク、これほど倒しやすいものは、無いッ!そうは思わないか?
西:いってろ、全部避けたら、盾なんてなくたって矛が最強だろ
◆セント:そうかそうか、ならば見せてもらおうかッ!その最強の矛とやらをなァ!freely smell !
西:ラビット相手にどこまでやれるか分かんねぇけど・・・全力で叩くッ!待っててくれよ、マモくん...
◆セント:そういや、お前はラビットを使ってこないな。まさか、使えないのか?
西:だから何だってんだよ、お前なんてラビット無しで十分って事だろ?勘違いするなよ三下
◆セント:三下だァ?・・・テメーが、三下だろうがァ!喰らえクソガキ!freely Canon!
西:っと、あぶねー
◆セント:いつまで避けていられるかなァ!俺様のfreely Canonは、オレの周囲、能力の射程圏内にある気体を固体に変換して相手に放つ技ッ!即ちッ!気体が枯れない限り、無限に打ち放題って訳だァ!ソラソラソラァ!
西:ッチ、てことは永遠に弾切れしねぇって事じゃねえか!このままじゃ埒が明かねぇ・・・____それならッ!隙を見て一気に近づき、一撃で仕留める。ジェットブーツ点火!ッシャー!いくぜェ!
◆セント:ヒャヒャヒャヒャヒャ、ヒャヒャヒャヒャヒャ!これで終わりだァ!
西:隙ッみーっけェ!ブースト最大出力ッ!いっけぇぇぇええええええ!!!
◆セント:なにッ!速いッ!!!
西:横、ガラ空きだぜ?シャーク____
◆セント:なーんてな!この時を、待ってったんだよォ!!!喰らえ、freely Canon second angle!!!
西:ッな、やべ、回避が間に合わねェ・・・グアアアア!!!
◆セント:ククク、ご自慢のスピードもルートがわかってりゃ対処しやすいなァ?へっへっへ
西:っくそ、まんまと誘い込まれたって訳か・・・
◆セント:今はテメー1人、後方からの遠距離攻撃も飛んでこねぇからよ?装備の相性だけじゃ埋められない壁、教えてやるよォ!ヒャヒャヒャヒャヒャ!
西:フン、さっきから言ってんだろ。お前なんて、これくらいのハンディキャップで丁度いいってよ
◆セント:この状況でもまだ強がるか、良いだろう。じゃあよ、お遊びはここまでだ・・・トットトシネェ!
西:(息を吞む)俺は、こんなところで負けてらんねぇんだよ!(必ず助けるから・・・待っててくれ、マモくん)
◆セント:へっへっへっへ!テメーには特別仕様だッ!三相変換の極み、三位一体を見せてやるよ!
西:ギャーギャーうるせぇぞ?はやくかかって来いよ
◆セント:その強がり、いつまでもつかなァ!先ずは、テメーの足元からだッ!三相変換ッ!『液』どうだ?動きづらいだろ?ククク
西:しょーもねぇ、こんなもんで終わりかよ
◆セント:ナァニ、これからだよこれからァ!先程変換した液体を再度固体へ変換ッ!これで、テメーの足は完全に地面に埋まっちまった!即ちッ!今のテメーは動かねぇ的って事だよ!サンドバックくん
西:くだらねぇ、こんなもの!
◆セント:オイオイ、戦闘中に足元ばかり気にしてたらよォ?避けれるものも避けれなくなっちまうぜ?三相、変換ッ『固』!落石注意~ってな!
西:グアァ・・・くっそ、どうにかしてこの状況を打破しねぇと・・・
◆セント:そして、テメーの周囲の気体を液体に変換ッ!このままだと酸欠で倒れちまうぜ~?
西:うっぐ...
◆セント:ハッハッハ!これぞ「固体」「液体」「気体」物質の三態で織りなすオレのアート!どうだ?美しいだろ?
西:っくそ・・・(護の方を見る)マモくん・・・ん?なんだ、あれ・・・
◆セント:よそ見してんじゃねぇよ!・・・まぁいい、反撃してこないんなら、面白くねぇし終わらせちまうか。生死は問わないらしいしよ
西:転がってるジャベリンが一点を中心に・・・これって、まさかッ!
0:間 「回想」
護:いい?西くん、ラビットには使用者との繋がりがあるんだ!
西:繋がり?なにそれ、なんか意味あんの?
護:「繋がり」それは____
0:間 「回想おわり」
西:(呟く)切っても切っても、決して切れないモノ・・・ありがとうマモくん、俺やってみるよ!
◆セント:惜しいなぁ、ま、少しは楽しませてもらったけどな・・・
西:おいクソ野郎・・・
◆セント:あ?なんだよ~!死ぬ覚悟はできたかァ?ククク
西:オマエの倒し方がわかったぜ
◆セント:何を言うかと思えば、この期に及んで世迷言を抜かしやがるとは・・・死を前に狂っちまったか?
西:そんじゃ、試してみるか?
◆セント:試すも何も、お前はもう死ぬんだよ!オレのビームランスには、特別な機構が備わってる。それは____
西:ラビットが本来の射程圏外でも「能力」三相変換が使える。ちがうか?
◆セント:ッな!テメー!何でッ!それをどこでッ!?
西:教えてくれたんだよ、相棒がな
◆セント:相棒?あそこで石になってるあいつの事か!?でも、アイツは既に石になってて何もできないはずッ!なぜだ!
西:ラビットには、使用者から離れて能力が使える距離には限度がある。オマエのラビットはせいぜい三メートルが限度ってとこか?それを超えるとまともな能力は使えなくなる。使用者から離れれば離れる程能力の質も落ちる。だがオマエのラビットは本来の射程圏外でも能力を遺憾なく発揮していた。それはなぜか?そいつ、そのビームランスに「繋がり」隠してんだろ?そうしてラビット本来の射程を武器との繋がりで補ってるって訳だ。
◆セント:そこまでバレちまうとはな・・・こりゃ、生かしてはおけねぇなァ・・・
西:要するに、ラビットと武器の繋がりを絶てばいい
◆セント:ッフ、簡単に言ってくれるじゃねぇか。言うだけなら誰にだってできるんだぜ?
西:口だけかどうか、やってみたらわかんだろ
◆セント:ふん、この繋がりを絶つっか・・・テメーにできるかな?
西:できるできないじゃねぇ、やるんだよ
◆セント:ほう、面白い。きな、第二ラウンド開始だ
西:言われなくてもッ!
間 場面転換
◇凜:ふぃ~!さてさて、かーさんからの任務も果たしたことだし!うちも帰りますかねぇ~!
○?:そこのお嬢さん、ちょっといいかしら?
◇凜:ん?なんだい!うちはいま忙しいの~!
○?:そう、じゃあ手短に・・・
◇N:黒装束で黒いフードを深々と被った人物はぼそっとつぶやきいきなり凜に切りかかった
◇凜:っは!?危ないじゃないか!
○?:・・・(武器を構える)
◇凜:おしゃべりは嫌いって?へー、気が合うじゃん!バトルモードスタンドアップ、いくよ?
○?:・・・(凜に向かって走り出す)
◇凜:アンタ、何もんなんだい?
○?:結紮
◇凜:おっと、そう簡単には捕まんないよ!
○?:次は外さない
◇凜:おー、こわ!そっちがその気なら、うちだって黙っちゃいないよ!「影の殺し屋」ヴォーパルバニーの力、見せてあげる!
○?:フフフ
◇凜:スピード勝負ってかい!うちにスピード勝負を挑むだなんて...舐められたもんだね!ハァ!
○?:結紮
◇凜:うおっと!さっきと同じ技、その技はもう見切った!当たらないよ!
○?:フフフ
◇凜:技を放つとき以外まともにおしゃべりできないなんて、気色悪い奴だね。これでもくらいな!ラビィーシュート!
○?:・・・フッ
◇凜:へぇ、意外に身軽なんだね~!簡単に避けてくれるじゃないか!じゃあこれならどうだい!ラビィースラッシュ!
○?:ッハ!
◇凜:よし、掠めた!
○?:掠めただけではダメージには、ッく・・・なんだ・・・これは・・・
◇凜:アンタ、おしゃべりできたんだね~!それで?掠めただけではなんだって?うちの刃は掠めただけで相手を戦闘不能にする強力なトリックを仕込んであるのさ
○?:・・・なるほどな
◇凜:さて、それじゃ尋問といこうか。(声色が変わる)アンタ、どこのもんだ?
○?:・・・
◇凜:ここで答えた方が賢明だと思うんだがねぇ~
○?:・・・
◇凜:答えないんなら、とりあえず家までついてきてもらおうかな
○?:・・・
◇凜:ふーん、アンタ、沈黙は了承って言葉、知ってる?
○?:・・・
◇凜:なるほどね、んじゃ行くよ
○?:隙、あり
◇凜:ん?なんかいった?
○?:結紮
◇凜:あれ?もう動けるの~?それは聞いてないよ~
○?:次は当てる
◇凜:何度やったって、その技はもう当たらないよ?
○?:それはどうかな?お前はもう、術中だよ
◇凜:え?なッ!?きゃああ!
○?:捕まえた
◇凜:っく・・・まさか、設置される時限型の技だったとはね・・・うちとしたことが、ぬかったね・・・
○?:これを見ろ
◇凜:なんだい?
○?:これに見覚えがあるんじゃないか?
◇凜:え?ッ!?それは、アニイのッ!
○?:ふふふ、やっぱり・・・
◇凜:______目的はなに?
○?:話が速くて助かるわ、一緒についてきてもらおうかしら
◇凜:わかった、けどアニイには手を出さないで
○?:わかってるわ
◇凜:かーちゃんごめん、うち当分帰れないかも・・・
0:間 「場面転換」
西:もらったァ!シャークヴァンガード!
◆セント:何ッ!オレのビームランスが!!!
西:これで、オマエはもう射程圏外で能力を使えない
◆セント:それはどうかな?
西:ッな!オレの体が...石に...ッ!俺とアイツの距離は3メートル以上離れているはずッ!なのに、なんでだッ!?
◆セント:フフフ、冥途の土産に教えてやるよ。後ろを見な
西:後ろッ!?・・・?ッハ!まさか・・・ッ!
◆セント:そのまさかさ
西:あれは・・・幻影ッ!!!今まで一度も使ってこなかった幻影のイリュージョンをここで使ってくるとはな・・・
◆セント:よくわかってんじゃねぇか!その通りだ!ふっはっはっはっは!テメーもあの間抜け面のオトモダチみてぇに、変顔で石にしてやるよォ!
西:あ?オマエ、今なんつった?
◆セント:オイオイ、聞き取れなかったのかァ?やっぱり、テメーは耳鼻科に行った方がいいかもな!
西:もっかい言ってみろつってんだよ・・・
◆セント:アァン?なんだよ、二度も言わせるんじゃねぇよ!テメーも、あの間抜け面の「オ・ト・モ・ダ・チ」みてぇに、変顔で石にしてやるって言ってんだよ!
西:もう、許さねぇぞ・・・
◆セント:許さねぇって?許されなくても、いいヨーン!
西:プッツン)許さねぇぞ!ハァアアアアアアアアアアアアアアアアア!ラビットエンゲージッ!トランスミッション!!!
○ラ:新たなる自分との遭遇、その思いは伝達され_____そして感情の具現化は成す【ラビット・エンボディ】
◆セント:うッ!なんだこの光ィ!
◇N:西の体が黄金に輝く、それと共に西の体を蝕む固体は、蒸発し消え去った。
西:もう謝っても許してやんねぇからな?
◆セント:なんだなんだッ!あの光はァ!眩しくて前が見えねぇ!くっそッ!またかよ!何がどうなってやがんだよォ!!!
西:この光が何か?とっくに、ご存じなんだろ?
◆セント:(息を呑む)たッ、ただのラビットじゃない・・・ッ!なんだ、あの体から放たれる神々しい程の光は!あの内から溢れんとする迫力は!なんなんだ!あの!先程とは比べ物にならないほどの威圧感、あの眼光!______まさかッ!(自分の体の震えを感じ取り)このオレが圧倒されている・・・?何故だ!いったい何が起こってんだよァ!
西:これはな、ダチを想う心が形になったモンだ。まっ、ダチのいなそうなお前には無縁の話って事だよ。
◆セント:んなッ!テンメー!泣いて謝っても許してやらねぇからなァ!
西:そっくりそのままァ!返してやるよ!いくぞ!Friendear!
◆セント:んだとー!このクソガキィ!大人を舐めるなよ!Freely smell !
西:・・・あーっと、勢いで飛び出したけど、こいつってどんな能力があるんだ?
◆セント:オマエ、自分のラビットの能力も知らないで戦ってたのか?トンだバカだな
西:あ?バカ?
◆セント:オイオイ、真に受けてんの_____(顔面にグーパンがクリーンヒット)ブルグヘイ____
西:おせぇーよ、バカが
0:間(セントが立ち上がる間)
◆セント:舐めやがってェ!Freely smell !Tricky smell!
西:またニオイかよ
◆セント:今度のヤツは強力だぜ?少し嗅いだだけで悶絶するレベルの___(脇腹にサイドフックがクリーンヒット)グギュグバァ______
西:ごちゃごちゃうるせぇよ、〇すぞ?
0:間(セントが立ち上がる間)
◆セント:ハァハァ、畜生!チックショー!!!(みぞおちにアッパーカットがクリーンヒット)グフッ...カスタモゥ..._________
西:口臭ぇんだよ、ごみが
◆セント:テメー...何もんだ..............
西:俺が何もんか?いいぜ、特別に教えてやるよ。純粋でまっすぐな心を持ち、想いの力で覚醒した伝説のラビット使い、威秋印西だ。
◆セント:ッな...威秋印...威秋印って、あの威炎の名門名家であるあの・・・
西:んだよ、知ってんのか。結構有名なんだな、俺ん家
◆セント:っぐ、ガハァ・・・じゃあそいつは・・・まさか・・・神速のラビットッ・・・威秋印家の・・・あの伝説は・・・おとぎ話じゃ・・・なかったのかよ・・・パタ
西:ふぅ、手古摺らせやがって・・・
護:西くーん!
西:ん?マモくん?元に戻れたの!?
護:うん、西くんがあいつを戦闘不能にしてくれたからね!
西:ん?どゆこと?
護:えーっとね、ラビットの能力は基本的に使用者が戦闘不能になると解除されるんだよ
西:そうなんだ~
護:そうそう、それで、どうやって倒したの?
西:ん?あぁ...よく分かんねぇけど、倒せてた
護:倒せてた?すごいね!無意識だったんだ!流石西くん!
西:へへへ~だろだろ~?ん?これって褒められてるのか?
護:さてと、とりあえず気絶したこの人をもって帰還しよう
西:へ?いやマモくん?話聞いてる?
0:間
0:~To Be Continued~