(5) アイリス強化inダンジョン
「トマトの天ぷらで」
「リオネル様、トマトの天ぷらって?」
「俺もよく分からん(笑)
ここ、奴隷商に入るための合言葉的なアレらしい」
「おやおや、あの時の
本日はどういったご用件で?」
「この二人と主従契約を結びたい」
「ほほお これはオークションでうまくいったようですなあ ひひっ」
「ま、まあそんな感じですよ」
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「はい、これで完了ですよ」
特に変わった感じはないが...
「アイリスたちは大丈夫か?」
「リオ坊が少しかっこよく見える気がするな...」
「はははっ…苦笑」
主従契約2人分で1000タリス...
意外と高いな......
「さて、どうしようか」
「嬢ちゃんの里を探すのがいいんじゃないか」
「昨日あんたの頭ん中少し覗かせてもらって、あんたの野望はわかった
そのためにはまず、嬢ちゃんを最強な美少女にすることが最優先じゃないか?」
「たしかに...」
「そこでアイリス、お前の武器なんだが...
とりあえずこれでどうだ?」
「大斧?こんなに重いの...」
「猫神族は本来武器を使わないらしいが、今のアイリスはその力が使えないようだしな
力が戻ってからも大斧なら猫神族にぴったりだろう
とりあえずは軽くなるスキルを掛けておく
ちなみにそれはA級武器だ
これでも俺は勇者だからな(フンスッ)」
俺は一応でも斥候な訳だから勇者パーティーでの
ダンジョン攻略の際には斥候らしく下見なんかを頼まれる...やらされる...
その時に隠し部屋なんかを見つけては、レア装備品を集めてきたのだ
「よし!それじゃあ、行くか!アイリスの故郷へ!」
「お、おー!」
「残念だが私は同行できない
あんたの今の実力じゃあ、私は足手まといでしかない」
「だが代わりにこれを預けよう」
「これは?」
「霊獣族と猫神族との友好の証とされるペンダントだ
これを見せれば猫神族たちもいきなり攻撃してきたりはしないだろう...多分......
小さいころから持っていた、家族の、一族の、唯一の形見ともいえる
信用はしてるが無くさないようにな」
「ありがとうございます!!じゃあ、行ってきます!」
「おうっ!」
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「リオネル様...まずはどこに向かわれるのですか?」
「そうだな...セレナさんから地図をもらってる
いくつか目星をつけてくれてるようだな」
「まずはここから行ってみるか!
俺につかまれ!」
「えっ?ちょっ!リオネル様ああ~~」
シュウウン
「よしついた!」
「うわーーー!え、えっ?ここは...?」
これは俺のバグスキルの一つ
《転移》だ
ランクはない!なぜならこのスキルは人類で俺だけが持ついわばユニークスキル?
だからだ!!
人も物も一瞬で目的地まで飛ばせる!チートすぎるっ!っっが、
一回の使用で最大MPの5割近くを持っていかれる...
他で節約しまくっても1日に2回が限界だ...
それに俺が触れていることが条件
このスキル実はめちゃくちゃ悪用できるんじゃね?って、そんな風に考えていた時期が俺にもありました...
魔王城に転移して最強スキルで魔王討伐!
王城にワープして王女様を襲ってみたり!
女湯に入ったり!!
(野望の規模が小さくなっていく...(笑))
だが...人生はそう甘くなかった...
この俺の転移スキルに似た、召喚スキルなるものがあるらしく
王都内や、貴族の家、でかい商会、とにかく重要な建造物には、召喚封じのスキルが張られていて
なぜか俺の転移スキルもそれに引っ掛かってしまう...
まあ、焦るな俺、そのうち召喚スキル封じ封じもできるようになることだろう
...むふふ...
「さて、地図ではここら辺ってことになってるが...
何もないな...」
「リオネル様あっち!」
「ん?ダンジョンかっ!」
「ここに猫神族がいるのかー?
そんな感じはしないけどなあ」
「まあ、アイリスの戦闘訓練も含めて入ってみるか」
入り口は古びた遺跡のようだったが…
中も雰囲気はありきたりな感じだ
ダンジョン内はひんやりとしていて何度入ってもいい気はしない
まして、今回は戦闘経験皆無のアイリスを連れてるわけだから...
「なにか来るぞ」
「ここは通路で狭いから、アイリスは後ろで待機してろ」
「...はいっ!」
ザッ
ガキンッ
「さ、さすがです、リオネル様」
「まあなっ」
一応にも俺は斥候な訳だから短剣がメイン武器だ
だからこういう狭い通路の戦いには慣れている
もちろん、大型のボスが俺の天敵だから
そのうち大剣も使えるように...と思っていたが
アイリスが本来の力を取り戻してくれたらその必要はないかな...
「また、さっきと同じモンスターだ
アイリス、いけるか?」
「えっ、で、でも…」
「そうやってビビってても何も成長しないぞ?
初めてで怖いのは分かる
俺も支援スキルをかけてやるから挑戦してみろ」
「は、はい!私やってみます…!」
敵はウッドマン
そのままの通り木がモンスター化したものだ
森の中のダンジョンではよく出る、
雑魚の分類だろう
《身体強化》をアイリスに…
《重量倍加》をウッドマンに…
これでよほどのことがない限り攻撃は喰らわないはずだ
あとはアイリスの勇気だけだが…
「うっ……行かなきゃ、私がやらなきゃ…」
うーん、まだアイリスには厳しかったかな?
アイリスは呼吸が速くなり、冷静さを失ってしまった
この状態で無理に戦わせるのは良くないか
「アイリス、お疲れ
下がってていいよ」
ジャキン
グゥワアアアア
「まだアイリスには早かったな」
「......め...、だめ...です
このままじゃ私...」
「ん?無理しなくていいから休んでろ」
ボソッ
「リオネル様、ああ言ってくれてるけど絶対怒ってる、戦えない奴隷なんてなんの意味もないし...
このままじゃ私、リオネル様にす、捨てられちゃう...!
奴隷...初めは怖かったけど、リオネル様はすごく優しいし大切にしてくれて...リオネル様と離れたくない...!」
「あ、あの!もう一度挑戦させてください!」
そう言い放ったアイリスの目からは強い意志と決意が感じられた
「そ、そうか?...うーん、
じゃあ、もう一回頑張ってみろ
無理はするなよ?
「はい!ありがとうございます!」
ワシャワシャ
「ん?あれは?……デススパイダーか!
それも、三体...!」
「行きます!」
「待て!アイリス!そいつは危険だ!
下がっt......」
ジャキン
シャパッッ
ゴガガガ
ペチャっ
「.........はあ...はあ...や、やりました
リオネル様!私出来ました!!」
「す、すごいなアイリス!
さすが俺が見込んだだけある!
疲れただろ?この回復薬を飲んでおけ」
驚いたな
デススパイダーは単体でも脅威度Bはあるだろうに...
それも3体同時に...全部ワンパンか...
しかも俺はバフもデバフもかけてないぞ?
アイリスにどういった事情があるのかは知らないが
猫神族としてのポテンシャルは隠しきれないみたいだな
体力は回復薬で回復したが、まだ心は落ち着かないようだな…
初めて倒した喜びと罪悪感と、初めて見る血や内臓に
様々な感情が込み上げてきたんだろう
しばらくはそっとしといてやろう
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「この部屋...大きいです...!」
「ボスの部屋かな?
よし!次もアイリス一人で戦ってみよう!」
だいぶ落ち着いたようだしここは勢いも大事だ
「え?私一人で?」
「そうだ!アイリスには身体強化のスキルをかけておくから」
さっきは動きもぐちゃぐちゃだったし
無駄も多かった
今回の敵はゴーレムだ
動きも遅いし今のアイリスでもなんとかなるだろう
それに最悪、大ダメージを負っても
この間拾ったしたS級の回復薬を使えば即死でない限りは大丈夫だろ...
念のために敵にも弱体化を付与しておこう
「よしっ!とりあえず相手の足を狙ってみろ!」
ガキンッ
「きゃあぁ!」
ズザザザ
「大丈夫か!」
しょうがない
さっきみたいにブンブン振り回すだけで勝てる相手じゃない、
仮に記憶と同時にその力も戻るなら、戦闘について俺が教えられることはない
だとしたら...
本来武器を使わない猫神族に大斧の扱い方を教える!!